TRIP
コンピュータ抱えた渡り鳥
「コンピュータ抱えた渡り鳥」こと、鍬形貴志、通称ごんちが、
東南アジア方面へ行くと言って餞別をせびりに来たのは、
この前の梨の季節だった。
餞別が、「二十世紀」だったから憶えている。
電話の一本もないから、
もう熱帯の腐土になってるかと思っていたら、
重たい添付ファイル付きのメールが来た。
珍しい話なので、ほぼ日に転載することにした。


糸井さん、ごぶさたッス!
いやあ、まいったまいったッス。
俺、病気になっちゃって、熱出ちゃって、
マジやばかったんですよお。
もうだいぶ良くなったんですが、
まだ足元がふらっとします。

熱でもうろうとしてる時、斉藤さんの夢見ちゃったッス。
プラットホームが何百本も並んでる
すげえ大きな駅の夢なんス。
俺はその中の一番狭いプラットホームにしゃがんでて、
小雨が降ってるんですよ。
そしたらSLが静か〜に入ってきて、
インドのお姫様みたいな姿の斉藤さんが窓から見えるんス。
きれいだったなあ〜。すんげえきれー。

ここはマンダバじゃないんです。
3週間くらい前にマンダバを出て、
海沿いの方へ向かったんです。
その途中、山を越えるのにバスに乗ったんですけど、
そのバス、運転手の家族が住んでたんですよ。
バス家族ッス。 客は俺だけで、家族に歓迎されちゃって。
子供たちと遊んだり、下着を洗濯してもらって、
窓から干したりしながら、山を越えてったんです。

山越えて、海に向かって歩いてたら、
くらくらくらくらしてきちゃって。
あれ? 腹減ってるのか? と思ったけど、熱出てたんス。
村の人が宿屋に連れてってくれて医者呼んでくれて、
あとはおぼろ〜ッス。
宿の家族の人が看病してくれたみたいで、
俺、おぼろながらも感謝したッス。
こんな金あるかどうかわかんない奴にさあ、
親切にしてくれて。

感謝はしてるんだけど、この宿の人、
わけわかんないことすんですよ。
熱でもうろうとしてる時、腹がにゅるにゅるするんで、
首上げて腹見たら、タコ乗ってるんス。
タコ乗ってるんスよ! 人の腹に。
なんすかコレって? 冷てーーんッスよ。

でもこんなヘンなの糸井さんに見せたいなと思って、
片手でベットの下のリュックまさぐって、
デジカメ取り出してシャッター切ったんス。
高熱状態の俺の決死の映像ッス。
そのあとまたもうろうとして眠っちゃって。
タコ乗せたまま。
誰がやったのかなあ? まじないみたいなもんスかねえ?
でもタコ以降治りは早かったみたいで。
効いたのかもしれないですよ。
糸井さんも熱出た時試してみてください。
じゃ、また〜。

タコとへそ。
タコとへそッス。
クリックしても動かないのは当たり前ッス。
今回病み上がりで写真撮るので精一杯ッスよ。



1998/10

鍬形貴志さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「鍬形貴志さんへ」と書いて、
postman@1101.comに送ろう。

1998-10-08-SUN

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1998-09-10 「マンダバの飲み物」
1998-08-22 「なぞの品物」
1998-08-11 「あくびの木」