こんにちは、「ほぼ日刊イトイ新聞」の山下と申します。
とつぜん失礼いたします。
沖田監督の映画『滝を見にいく』の試写会を
糸井重里といっしょに見させていただきました。
それはもう、こころから、好みのタイプの映画でした。
きっとぼくの相棒も、
この映画を好きになるにちがいないと思いました。
相棒の名前は、福田利之さんといいます。
人気のイラストレーターです。
福田さんを連れてぼくはもう一度、試写会にいきました。 |

▲試写会場にて。左が福田利之さん。右が「ほぼ日」山下。 |
思った通り! 福田さんもこの映画を好きになりました。
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、
福田さんと山下のふたりは「ほぼ日」で、
「カッパとウサギのコーヒーさがし」
というコンテンツをやっています。
福田さん(カッパに似ている)と、
山下(うさぎを飼っていた)のふたりが、
いろいろな場所でコーヒーを飲んだりするという、
たいへんゆるいコーナーです。
ぼくらは、この映画に出てくる滝の前で、
コーヒーを飲みたいと思いました。
映画会社の人にお願いしてみたら‥‥
快くその場所を教えてくださいました。
しかも、なんと、
『滝を見にいく』で主役をつとめた、
根岸遥子さんが案内をしてくれるとおっしゃるのです!
さあ、もう、前置きはほどほどに、
いざ妙高へとまいりましょう!
東京駅から新幹線で長野駅まで、ビューン。
長野駅から信越本線で、関山という駅までガタンゴトン。
改札を出ると‥‥
ジュンジュンが、そこに! |
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映画の中で「ジュンジュン」と呼ばれる
根岸純子役を演じた、
根岸遥子さんが出迎えてくださいました。 |
山下 |
はじめまして、根岸さん!
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福田 |
こんにちは、よろしくお願いします!
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根岸 |
ようこそ妙高へ。
おふたりがいらっしゃるのを
とてもたのしみにお待ちしてました。 |
初対面なのに根岸さんはとても気さくで。
「わたしの車でご案内します」
と軽やかに、
ぼくらを愛車に招き入れてくださるのでした。 |
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しばし、ドライブ。
映画出演が決まるまでのいきさつなどをうかがいながら、
走ること約30分。
目的地の看板が見えてきました。
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「幻の大滝」と、はっきり書いてあります。
やがて、もよりの駐車場に到着。 |
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看板に、堂々ときっぱりと、「幻の大滝」。
幻なのに‥‥。
車をおりて、ここからしばらく歩きます。 |

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散策路の入り口にも、
くっきりと「幻の大滝」の文字が。 |
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行きましょう、滝へ。
根岸さんの案内で歩きます。
案内していただいているので、
映画のように迷子になる心配もありません。 |
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季節は秋。
もうすぐ紅葉というシーズン。
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お天気は最高です。
ちょっと冷たい秋風が頬にあたりますが、
登りの山道はそんなに寒くはありません。
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まだまだ歩きますね。
あと30分。
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景色を楽しみながらゆっくり歩いて、
歩きながら根岸さんに、いろんなお話をうかがいました。
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今までの人生のこと、
お仕事のお話、
妙高での暮らしのこと‥‥。
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「人生はなにがあるか、ほんとうにわからないです。
とにかく今がたのしい。自由です」
と、根岸さん。
すこしだけしみじみとしたそのとき、
いきなり山下が、
本日のコーディネートについて語り出しました。
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山下 |
えー、いま、おもしろいことに気づいてます。
まず、このズボンの茶色は樹木です。
で、ジャンパーの緑は葉っぱですね。
そこに、くびまきと帽子の赤色。
つまりこのファッションは、紅葉のイメージです。
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福田 |
いいから早く行きましょう、山下さん。
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山下 |
はーーーい。
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しばらく歩いていたら、
福田さんがカマキリを見つけました。
なんて猛々しい昆虫。
福田さんはそれをつかまえると、山下の手に乗せるのです。 |

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福田 |
はい、山下さん、カマキリ。
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山下 |
うん。大きいね。
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福田 |
かっこいいです。
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山下 |
あ‥‥‥
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山下 |
これ、痛くなるかもしれない。
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カマキリ |
(ギューーーっとカマで挟む)
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山下 |
いっ! いっったーーーーーーっ!!(やまびこ)
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そうこうしているうちに、
「幻の大滝」まであと10分です。 |
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あ‥‥滝が見える! |
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ほら。 |
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この、滝が見えてきたあたりでのことでした。
ここで、3人で話したその内容が、
今回のレポートの、重要なポイントになったのです。
お聞きください。 |
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根岸 |
福田さんはどうしてカッパなんです?
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福田 |
ふぉふぉふぉ(←笑い声)
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山下 |
昔からお友だちとかに
言われているそうなんです。
福田さんはカッパに似てるって(笑)。
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根岸 |
わたしカッパを見たことがあります。
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山下 |
そうですか‥‥
‥‥‥え(足を止める)、カッパを?
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根岸 |
はい。カッパを見ました。
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山下 |
本物を、ですか。? |
根岸 |
ええ。ちっちゃいころの話です。
「裏の池には、ぜったいに行くな」って、
おじさんからきつく言われていました。
でも、そう言われるほど、行きたくなりますよね。
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山下 |
はい。
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根岸 |
ある日の夕方、こっそり行ったんです。
そしたら、池の中から、
濃ーい緑色の、
ヌルーっとした気味のわるいのが、
こうやって、ずるーっと出てきました。 |
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山下 |
‥‥そ、それは、頭にお皿は?
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根岸 |
ありました。
びっしょり濡れた、ざんばら髪というか、
シャンプーハットをかぶったみたいな髪の毛で‥‥。
そのカッパと、わたし、
ばちーんと目が合ったんです。
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根岸 |
きゃーーーー! って、
飛んで帰ってきたんです。
「カッパがいた!」っておじさんに言ったら、
「ふん」と言われました。
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山下 |
はあーー。そうですかぁ‥‥。
根岸さんの、カッパの思い出。
そうかぁ‥‥(何か考えている)。
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福田 |
‥‥山下さん、どうかしました?
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山下 |
いえ。
さあ行きましょう、滝へ。
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根岸 |
まもなくです。
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山下 |
おおー。
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福田 |
おおー。
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根岸 |
到着です。
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山下 |
ああ‥‥。
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福田 |
映画で見た滝だ‥‥。
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根岸 |
先日たくさん雨が降ったので、
水量が多いでしょう?
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▲シャッタースピードを変えて絹糸のように撮影。
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山下 |
はい。
映画で見たときより、勢いがすごいです。
‥‥それにしても、この‥‥
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山下 |
はあーーーー。
マイナスイオン感、ありますねー。
‥‥ん? 福田さん、なにしてるの?
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福田 |
太極拳。
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山下 |
ああ(笑)、映画でやってたやつだ!
おばさんたちがここで思い思いに、
好きなことをやるんですよね。
さあ、ぼくらもコーヒーを飲みましょう!
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福田 |
飲みましょう!
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根岸 |
飲んじゃいましょー!
(たのしい! つづきます!) |