平野レミさんと、和田誠さんのことを話そう。 平野レミさんと、和田誠さんのことを話そう。
イラストレーター、映画監督、
グラフィックデザイナー、そしてエッセイストとして、
さまざまな活躍をした和田誠さんが
2019年10月に逝去されました。

糸井重里もほぼ日も、
和田さんにはとてもお世話になりましたが、
思い出を大きく語ることをしませんでした。
ご家族をはじめまわりのみなさんもほとんど、
そうしていたのではないかと思います。

あんなに偉大な仕事を数多くのこし、
憧れている人も感謝している人も山ほどいるのに、
みんなを大袈裟にさせない「和田さん」って
いったいどんな人だったの? 

いま、たっぷり話したいと思います。
平野レミさんといっしょに、和田誠さんのことを。
第8回 ああ、しょうがねぇな。
写真
レミ
和田さんは、私にはほんとうにやさしかったです。
テーブルに飾ってある和田さんの写真を見て、
私は毎日、
「和田さん、ありがとね、
私と結婚してくれて、ほんとにありがとう」
と言ってます。



それからね、和田さんに毎日、
おいしい、いいお茶を淹れてるの。
ちょっとぬるくして、
夫婦茶碗で私とふたり分。
「はい、お父さん、かんぱーい、チーン」って、
写真の口もとに持っていくの。
糸井
ああー、
そんなんしてもらえる旦那は、
なかなかいないですねぇ。
レミ
だってほんとに、ありがたくて。
糸井
レミさんは、
和田さんが元気なときから、
いつもそうおっしゃってましたね。
レミ
あ、言ってました?
糸井
ぼくは何回もレミさんから
「和田さんはいい人だ」という言葉を聞いてます。
ずーっとおんなじなんだなぁと思って、
うらやましいです。
レミ
いやぁ(笑)。
糸井
土地買ってフイにしたり、
ピカソ買ったりした甲斐が
あったなぁ。
一同
(笑)
写真
レミ
ほんとにねぇ。まったく。次回はちゃんとします。
糸井
こんなにうらやましいこと、
ないんじゃないでしょうか。
レミ
だからね、私は来世も、
また和田さんと結婚するの。
糸井
あ、そうですか!
レミ
絶対そうだからね。
私だって死ぬじゃないですか。
そしたらさ、和田さんの骨の壺を開けて、
私の骨と合体して、
カシャカシャってやってほしいのよ。
糸井
ミックスを。
レミ
そう。
和田さん、嫌がんないかなぁ?
えっ‥‥
糸井
それはどうだろうね。
レミ
うわー、はっはっはっは。
一同
(笑)
写真
レミ
どうしよう、ダメかなぁ。
和田さんに訊けないし。
でも平気でしょ。平気平気。
たぶん苦笑いして、
何も言わないと思います。
糸井
「レミがそう言ってるの?」ってね。
そしておそらく、
「しょうがねぇな」って言うと思います。
糸井
「俺、もう死んじゃってるから、いいか」(笑)
レミ
わはははは。いいね。
私は和田さんと一心同体になりたいの。
糸井
はぁーー、すごいなぁ。
あのね、レミさん、
世の中の夫婦みんながそうだと思ったら、
大まちがいですよ。
レミ
そうなの?! 
和田さんはどうなのかなぁ。
写真
糸井
ロマネ・コンティもあげちゃったし、
お墓の日付もまちがっちゃったからなぁ。
だけど、物語というのは、
いろんなまちがいがないと、
おもしろくないんですよ。
レミ
そう? 
糸井
「よりによって、これはないよ」
というようなことがないと、
やっぱりおもしろくないです。
和田さんはそれを、
よーく知っておられたのではないでしょうか。
はい、フツーのことは嫌いでしたからね。
糸井
最近思ったんだけど、
みんながふだん応援するのって、
ちょっとかなしい人たちばかりなんですよ。
テレビのドラマでも、物語でもそうでしょう。
「毎日たのしいです」というドラマは
見たことがありません。
かなしくないドラマだったら、
せめて失敗をしてほしい(笑)。
そうでないと、おもしろさは、
なかなか生まれないんです。
レミ
ああ、だからみんな、
ブロッコリーが倒れるとよろこぶんだ! 
写真
糸井
そうだ!
レミ
あっはっはっはっはっは。
そうか、そうか、そうなんだ。
人の不幸は蜜の味。だから、
失敗がいいんだ。
糸井
倒れないレミさんは、
見たくもないのかも。
レミ
あははははは。あーあ、そんなもんですかね。
糸井
和田さんも、そう思ってたにちがいない。
結婚っていいものですね。
ほんとにそう思うなぁ。
レミ
うん、結婚はよかったなぁ。
糸井
時間が経って、こういう時期に、
こんなふうに笑ってしゃべってるということも、
ほかの人だったらあんまりない気がする。
和田さんって「なんつう人だ!」と思います。
写真
(明日につづきます)
2020-09-08-TUE
和田誠さんの「ほぼ日手帳2021」
2021年のほぼ日手帳のラインナップには
和田誠さんのイラストレーションをデザインした
カバー「時を超える鳥」と
weeks「星座を抱いて」が仲間入りしています。



「時を超える鳥」は、
和田さんが1977年より描きつづけている
「週刊文春」の表紙絵の第1作。
コンセプトは「表紙は読者へのおたより」です。
写真
「星座を抱いて」は、
2002年11月7日号の表紙絵。
和田さんが400年前の星座図を参考に
描いたものだそうです。
写真
和田誠さんのほぼ日手帳について、
くわしくは「ほぼ日手帳2021」のページ
ごらんください。

また、40年以上にわたって描かれている
「週刊文春」の表紙絵の初期作品をあつめた画集
『特別飛行便』も、ほぼ日ストアで販売しています。
※『特別飛行便』は完売いたしまして、再販売はございません。
(9月2日追記)
和田誠さんの
メッセージカードが届きます。
このコンテンツへの感想や、
和田さん、レミさんにむけたメッセージを
ぜひ「往復はがき」でお寄せください。
返信はがきに和田誠さんのスタンプ
(生前にご自身で作られたものと、
今回のために和田さんのイラストレーションで
和田さんのご家族とほぼ日が作成したもの、
ふたつのスタンプを捺します)
の返信はがきをお送りいたします。
写真
※往復はがきとは、
往信と返信がつながったはがきです。
必ず「往信」と「返信」の両方の宛先をご記入ください。
返信の宛先が未記入の場合、
スタンプを捺したはがきはお手もとに返ってきません。
ポストに投函するときには、
往信の宛名が外側になるようにふたつ折りにしてください。
往信はがきの裏面には、ぜひコンテンツの感想や
和田さん、レミさんへのメッセージをお書きください。
<ご注意>返信はがきの裏面には何も書かないでください。



※いただいたはがきの内容は、
平野レミさん、ご家族、ほぼ日が拝見します。
ほぼ日刊イトイ新聞で内容を公開することがあります。
返信はがきに記載された個人情報は、
はがきを返信するためにのみ使用します。



※返信はなるべくはやめに
お出しするようにいたしますが、
みなさまからいただく数によっては
時間をいただくことがあります。
また、郵便事情等による不配につきましては、
責任を負うことはできかねます。
どうぞご了承ください。
往信の宛先:

107-0061

東京都港区北青山2-9-5-9階

株式会社ほぼ日

平野レミ様



返信の宛先:

ご自身の住所、お名前



締め切り:

2020年10月7日消印有効