- ──
-
このことを知ると
驚く人もたくさんいると思うんですが、
いま『VOW』は、
おしゃれな女性ファッション誌である
『sweet』に載っています。
- 古矢
- 懐の深い雑誌ですよ、本当に。
- 藪下
- たいへん理解のある編集長なんです。
- 古矢
-
だから『週刊宝島』が休刊になって、
どうしようってなったとき、
藪下さんが、
「たしか『sweet』の編集長が
好きらしいから、
ちょっとかけあってみますよ」と。
- ──
- それを聞いて、2代目総本部長は?
- 古矢
-
「無理じゃねえの?」っていうか、
「怒られるんじゃねえ?」と。
- ──
-
でも、結果的には電撃移籍されて。
おしゃれな女性読者の反応は、どうですか。
- 藪下
-
楽しんでくれていると思います。
少なくともクレームはないです。
- ──
-
引き受けた『sweet』も素晴らしいですが、
どんな環境でもしぶとく生き延びる、
そのあたり非常に『VOW』らしいですね。
- 古矢
- 人を雑菌みたいに言わないでよ。
- ──
-
それに、昔から2代目総本部長、
うら若い女性からのネタ投稿に対しては、
すごく嬉しそうにされますしね。
- 古矢
- え、わかるの。
- 藪下
- わかりますよ。
- ──
-
とりわけ、若い女性が、
ちょっとエッチなネタとかを送ってくると、
筆が冴え渡りますもの。
- 古矢
-
「筆が」ってなんかいいね(笑)。
でも、わざわざ『VOW』に
投稿してくる女性って、
どれだけ奇特な美女なのか。
もう、本人の顔が見てみたいですよね。
- ──
- ああ、よく見ます。そのコメントも。
- 藪下
- 投稿人は顔写真を同封すること、って。
- ──
-
これは‥‥曖昧な質問になるんですが、
そうやって、
時代も、掲載媒体も変わりゆくなかで、
あらためて今、
『VOW』って何だと、思われますか?
- 古矢
-
ええー、そんなこと聞くの?
『VOW』とは何か。何なんだ一体。
じゃあ、藪下さんの奥さんにとって、
『VOW』とは何ですか。
- 藪下
- 深過ぎますよ。
- 古矢
-
何か言ってよ。
「青春時代の忘れ物です」とか。
- 藪下
-
そうですね、『VOW』の担当になったのは、
編集者になってすぐだったので、
自分の編集人生イコール『VOW』なんです。
だから、そういう意味で、
編集人生そのものって感じがします。
- 古矢
- コメントがふつうすぎて使えないよ。
- 藪下
- じゃあ、どうすればいいんですか。
- ──
- そう言われましても(笑)。
- 古矢
-
でも、やっぱり、ひとつ言えるのは、
どんなにまわりが変わっても、
『VOW』自体は変わらないってことでね。
- ──
-
なるほど、さすがは2代目総本部長。
そういうまとめに持ってきたいです。
- 藪下
-
変わらないです、変わらないです。
流れ流れて『sweet』にたどりついても、
それでも変わらないのが『VOW』。
- ──
-
本当に、類まれなことですよね。
名前が変わらなくても、
中身や本質が変わっていくものって、
たくさんありますけど。
- 古矢
-
本当は変わんなきゃいけないのかも、
しれないんだけどね。
- ──
-
でも、永久に続いてほしいと思います。
いちファンとしては。
- 古矢
-
人間のオマヌケをベースにしてるから、
そうそう変わんないのかもね。
武者小路実篤の記念館にも、
『VOW』が収蔵されてるらしいしよ。
- 藪下
- え、そうなんですか。
- 古矢
-
初期の『VOW』の傑作ネタで、
「武者小路実篤を
大和田獏と書いてしまいました。
お詫びして訂正いたします」
ってのがあって、それも
武者小路実篤の歴史の1ページってことで、
載っけた『VOW』が、
武者小路実篤記念館に入ったみたい。
- ──
- さすがは武者小路、懐の深さが違う。
- 古矢
-
どうやったら間違えるんだろうね、
武者小路実篤と、大和田獏。
目元とか似てるからかなあ。
- 藪下
- ぜんぜん似てませんよ。
- ──
-
たしか、2代目総本部長がどこかで
「人類は一生バカだから」
みたいなことを書いていたことがあって、
で、そうである限り、
『VOW』は続くのではないでしょうか。
- 古矢
-
うん、もう10年くらい前だけど、
あの山田五郎も、どこかに書いてたよ。
この先「AI」全盛の時代になっても、
たぶん「AI」には、
『VOW』みたいな誤植とか間違いは
マネできないだろう‥‥とね。
- ──
- ああ、いいまとめです。
- 古矢
- 学習できたりしてね。アッサリね。
- 藪下
- ヤだなあそれ。
- 古矢
-
「ロボットにマネされてしまったんで、
今日限り『VOW』は終了します」
- ──
-
それはそれで、末路としては、
非常に『VOW』っぽい感じがしますね。
- 古矢
-
それかさ、アレアレ、
「VOW vs AI」みたいな映画か何かさ、
そういうのできないの?
ハリウッドで、最終戦争もので、
藪下秀樹監督作品でさ。
- 藪下
- できないですよ。
- 古矢
- 総本部長役は、キアヌ・リーブスで。
- ──
-
ああ、いいですね。
目元とか似てらっしゃる気もしますし。
- 藪下
- うん、言われてみればね。
- 古矢
-
総本部長をバカにするのはよしなさい。
まぁ、キアヌ・リーブスって
名前出した時点で俺も終わってるけど。
で、藪下さん役は誰なの。
- 藪下
- ハリウッド俳優で?
- 古矢
- うん。
- 藪下
- ‥‥‥‥‥。
- ──
- ニコラス・ケイジとか?
- 藪下
- 髪の毛だけじゃない。
- 古矢
-
とにかく「VOW vs AI 最終戦争」
って言うからには、
街のヘンな看板かなんかが、
すごいトランスフォームするとかね。
よくわかんねえなあ(笑)。
- 藪下
- 何の話をしてるんですか。
- 古矢
-
これ、載らないんじゃねぇの?
この話、ほぼ日に。
- ──
- あはは。
- 古矢
- 否定しないのかよ(笑)。
2017-10-03 TUE