ラヂヲ
今、唐突に思い出したんですけど‥‥。
──
ええ。
ラヂヲ
モンキー・パンチさんの担当の人がね。
──
はい、あの『ルパン三世』の。
ラヂヲ
モンキー・パンチさんのことを呼ぶのに
「モンキーさん」か「パンチさん」かで
すごく悩んでいたのを、思い出したなぁ。
──
ははは、脈絡のなさがハンパないです。
ラヂヲ
で、オレが思ったのは
それは「モンキー・パンチさん」で
いいんじゃないかと。
──
そうですよね。ありのままで。
ラヂヲ
モンキーじゃ猿ですもんね。
──
お笑いの人じゃないんですから‥‥。
ラヂヲ
それどころか「大家」ですよ。
──
じゃあ、ぼくも唐突に思い出したこと、
言ってみてもいいですか?
ラヂヲ
なんでしょう。
──
連載初期、松山へおうかがいして
取材させていただいたじゃないですか。
その珍道中のようすは
「和田ラヂヲのあやしい者ではない。」
というコンテンツになったのですが。
ラヂヲ
ええ、ええ。覚えてますよ。
松山城に登ったり、観覧車に乗ったり、
誰も見たことのない「ラッセン」が飾られた
うどん屋でうどん食ったり、
東京ラブストーリーのロケ地を訪ねたり。
──
はい、本当に楽しい旅でした。
コンテンツも、おかしなものができまして
とても思い出深いのですが‥‥
あのとき、最後まで
ラヂヲ先生が、むかし組んでいたバンドの名前を
教えてくれなかったんです。
ラヂヲ
‥‥そうだっけ。
──
最後の最後、駅でお別れするときに
教えてくれるのかと思ったら
やっぱり、教えてくれませんでした。
そのことを、急に思い出しました。
ラヂヲ
‥‥言えと。
──
いえいえいえ、
そういうわけではないんですけど。
ラヂヲ
今、3回も「言え」と言った。
──
い、や、いやいやいや、言ってないです。
知りたいのは、やまやまですけど。
ラヂヲ
おもしろくないよ?
──
はい、バンド名がおもしろいはずないと
思ってますので、そこは大丈夫です。
ラヂヲ
‥‥‥‥‥‥。
──
連載も終わってしまったことですし
最後の出血大サービスで、とか。なんて。
ラヂヲ
‥‥‥‥‥‥。
──
‥‥‥‥‥‥(ゴクリ)。
ラヂヲ
‥‥ギールックスて言うんですけど。
──
え?
ラヂヲ
‥‥ギールックス。
──
ギールクス。
ラヂヲ
いや、だから、ジャギールックス。
──
‥‥‥‥‥‥あ、ああー‥‥。
ラヂヲ
こらこらこら。
曖昧なリアクションやめてくれよ。
で、聞かなかったことにしないでくれよ。
──
はい、つまり「ギザギザみたいなオレたち」と。
ラヂヲ
つまんないんでしょ。
──
だって、かっこいい系ですもの。
ラヂヲ
そう。笑えないのが、イヤなんですよ。
──
でも、若いころに組んでいたバンド名、
なわけですものね。
どれくらい、ご活動されてたんですか。
ラヂヲ
3年くらいかなぁ‥‥。
──
先生のパートは?
ラヂヲ
ベース。
──
どなたがその名前をつけたんですか。
ラヂヲ
ボーカルの人。
──
松山で活動されてたんですよね。
ラヂヲ
そう、松山で‥‥ってやめてくださいよ!?
掲載だけは。バンド名の掲載だけは。
──
でも、昔のバンド名が気に入ってる人って
あまりいないと思うんです。
つまりその、成功した人たち以外では。
ラヂヲ
たしかに。
──
何でなんでしょうね、あの心理って。
ラヂヲ
やっぱり
名前ってあとから輝くものだから。
──
おお、また太字にしたい言葉が。
ラヂヲ
売れて有名になったからこそ、
名前に重みと説得力が出てくるんでしょう。
──
先生も「ラヂヲ」というお名前ですが‥‥。
ラヂヲ
多少でも知ってもらえてるから
いいようなものの、
これがまったく売れてなかったとしたら?
──
はい。
ラヂヲ
肝が冷えますね。
──
名前のせいにとか、されちゃったり‥‥。
ラヂヲ
そうそう。
ラヂヲとか言ってるからダメなんだとか。
──
はー‥‥ちなみに「ギザギザ」というのは
何と言うか、どのあたりが?
ラヂヲ
もう、ええっちゅうねん。
──
チェッカーズ的な方向性ですか。
ラヂヲ
やかましわい。あっちは「ハート」じゃ。
──
ギザギザなのが。
ラヂヲ
オレらは「ルックス」じゃ。
──
そのときの写真、見てみたいです。
ラヂヲ
あるよ。
──
わー、見たい見たい。
ラヂヲ
髪の毛フッサフサしてるよ。
──
音楽性は?
ラヂヲ
ストーンズっぽい感じ。
──
つまり、リズム・アンド・ブルースですね。
オリジナル曲‥‥ですか?
ラヂヲ
そうっスね。
‥‥ってオレ、
何でもかんでも答えてしまってるやん。
──
いやあ、4年ごしの気がかりが晴れまして
本当にスッキリしました!
先生と、もっと仲良くなれた気もしました。
ラヂヲ
‥‥だ、だったらいいんだけどさ。
でも、読者のかたにおかれましては
ぜひ「ナイショ」にしておいてほしいです。
──
わかりました、お願いしておきましょう。
読者のみなさん、
ラヂヲ先生のむかしのバンド名については
決して口外しないようお願いします。
ラヂヲ
ツイート等、どうぞご遠慮ください。
──
‥‥そろそろお時間ですね。
すみません、最後はまったく関係ない話に
なってしまいました。
ラヂヲ
いつものことでしょう。
──
今日は、本当にありがとうございました。
そして、4年もの長きにわたる連載、
担当させていただいて、すごく楽しかったです。
ラヂヲ
こちらこそ、お世話になりました。
こんな時代ですから
描ける場所を与えていただいただけで
ありがたかったです。
──
そんなそんな、とんでもないです!
先生のおかげで、
ぼくらも
楽しい思い出を作ることができました。
今は、さみしい気持ちでいっぱいです。
ラヂヲ
イトイ新聞に描けてよかったです。
──
単行本、楽しみにしてますね。
ラヂヲ
がんばってやります。
──
それでは先生、また会う日まで。
ラヂヲ
みなさん、さよなら。
──
ネコは、いつしか、出るんでしょうか。
ラヂヲ
どうでしょう。
<終わります>
2013-03-29-FRI