永井製竹所が創業した大正時代は、
蚕のための桶をつくるのに、真竹の需要があったのだそう。
いまは、かご、ざるをつくる材料としてだけでなく、
竹そのままの質感をいかした、串、
おろしがねなどの調理道具、花入れ、酒器、
靴べらや足踏み竹など、生活雑貨などもつくっています。
そして数は減りましたが、竹垣などをつくるための
建築材料にもなっています。
竹は、油を抜く前は、もちろん「青」。
お正月用の門松には、
あえて油抜きをしない、青いままの竹を使いますが、
青竹は、1週間もおくと、
だんだん内側が黒ずんでいくのだそう。
細工ものに使うためには、油抜きの工程が必要なのです。
お湯と苛性ソーダで、100度くらいの釜に入れ、
10分ほど沸騰させて、油を抜きます。
こうすることで、竹の油分やアクが抜け、
締まりがよくなり、弾力がつくそうです。
「火であぶる」という方法もありますが、
量産の加工がむずかしいため、
永井製竹所さんは、この方式のみを採用しています。
斜めになったお風呂のような、煮沸用の釜。
ちなみに水は、朝見川から汲んで使っているそうです。
竹は、地元の大分産。すべて県内のものだそう。
「毎週1回、10トン車に満載で届きます」
カットした廃材は、燃料に。無駄がありません。
工場ではたらくみなさんは、ベテランぞろい。
40年、50年と働いているかたもいます。
煮沸が終わった真竹は、天日干しをします。
こうすることで色が抜け、
細工や工芸に使う「白竹」になります。
天気がよければ3週間ほどで完成します。
ただし、直射日光が強すぎると、
人と同じで「日に焼ける」。
中のほうまで、しみが残ってしまうのだそう。
(ほんとに人と同じですね‥‥!)
同じように、過度の雨も汚れになるので、
天候に注意して、干すのだそうです。
ちなみに、使う竹は、2〜3年のもの。
若すぎると、竹の繊維がまだしっかりしておらず、
水分も多いので、乾燥させても使いづらい。
しっかりした材料なら3年竹から、成長しても6〜7年。
ひごを巻くのに使うやわらかいものであれば
2年竹がよいそうです。
別府の人にとって、竹細工は身近なものですか?
と質問をしてみたら、工藤さんはおおらかに笑い、
「身近すぎて、興味がないなあ!」と。
「空気みたいなものですわ」。
「その土地で採れる素材を使い、
その土地の人々が暮らす上で必要な道具を作る。
昔から私たちの生活の中で
ふつうに行われてきたことのはずなのに、
それが今ではふつうではなくなってきています。
でもここでは違いました。
工場のとなりに流れる川の水を使い、
竹を茹で、日の光で乾燥させ、
やがて道具が作られて‥‥
『竹は空気みたいな存在』とおっしゃいましたが、
広大な製竹所を見学するうちに、
なるほど、それもけして
大げさなたとえではないのだなあと
感じたのでした」(伊藤さん)
次回は、後継者をそだてる
「竹工芸・訓練支援センター」をたずねます。
どうぞおたのしみに!
2015-02-25-WED
写真:有賀傑 |
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