人生の3分の1は、ふとんの中。1/3LIFE

Interview 03 小平奈緒さんに聞いた眠りの話。

ほぼ日「ねむれないくまのために」PRESENTS
個人差はもちろんあるけれど、
人はだれでも、おおむね、
生活の3分の1近くをふとんの中で過ごします。
みんな、どんなふうに過ごしているんだろう‥‥? 
寝つきは? 目覚めは? 快眠法は? 
100人にたずねれば100種類の答えが返ってきそう。

様々な方々に、聞いてみることにしました。
「あなたの、眠りとのつき合い方を教えてください」

シリーズ3回目にお招きしたのは、
オリンピック女子スピードスケート史上、
日本初の金メダリスト、小平奈緒さんです。
小平奈緒さんプロフィール

第2回 
                            生まれもった身体を、100%いかすために。

──
気絶するように寝てしまう練習‥‥。
しかも、それが続く日々って、
わたしたちにはちょっと想像がつきません。
小平
ただ、そうやって気絶するように
寝てしまうなかでも、
より充実した睡眠がとれるように
自分でできる対策はいろいろしていました。
──
それは、どういったことでしょう?
小平
今でもやっているんですが、
朝に太陽の光を浴びるようにしたり。
──
ああ、太陽の光。
小平
そうすることで、
眠気を感じさせてくれるメラトニンを
朝には抑制することができて、
ちょうど夜の眠る時間に
活性化させることができるんです。
──
なるほど。
小平
あとは入浴する時間を、
眠る時間のちょうど90分前になるように調整したり。
──
はい。
小平
これからの暑くなる季節には、
寝る前に夜風に当たって体温を下げてから
布団に入るようにしています。
──
‥‥さすがです。
わたしたちの顧問、快眠セラピストの
三橋先生に教えていただいたことを、
すべて実践されています。
小平
あ、そうでしたか。
──
三橋先生がおっしゃっていたことを、
そのまま実践されているのでおどろきました。
小平
‥‥あの、
わたしがそうやっていろいろ工夫をするのは、
なんというかその‥‥。
──
はい。
小平
スポーツの世界で様々な人と競っていくと、
ヨーロッパなどの選手と
自分の体格差を実感させられるんですね。
──
ええ。
小平
実感はするんですけど、
それはどうしようもないことなんです。
──
どうしようもない。
小平
わたしが生まれもった身体は、
この身体なので。

競い合う競技の世界で、
この自分の身体で、
どう突き抜けるかを考えたときに、
強く、ほんとに強く思いました。
「自分の身体を100%、
コントロールしなくてはいけない」
──
ああ‥‥。
小平
体格の差では負けたとしても、
この身体で100%の
パフォーマンスができたと思えたなら、
そのときは納得がいくんです。

母が産んでくれたこの身体で、
おもいきり表現できたということが、
わたしにとってのしあわせなんです。
──
‥‥‥‥。
ちょっと、すみません。
感動してしまって。
小平
たまたま平昌オリンピックのときには、
それが結果につながりました。
──
金メダルという、すばらしい結果に。
日本中が感動しました。
小平
ありがたいことです。
でも、ほんとうにたまたまなんです。
──
ご自身の身体を100%コントロールする‥‥。
すごいことだと思います。
たしかに小平さんのレースを拝見すると、
おおきく手を左右に振っていて、
100%どころか120%くらい
身体を使いきっている印象がありました。
小平
足の先から指先まで
「自分の身体の全員」がひとつにつながって
最大限のパフォーマンスを出せるように、
と考えています。
──
自分の身体の全員!
小平
ちょっと変な言い方ですが(笑)。
──
細胞すべてに意識がゆきとどいているんですね。
小平
はい。
ですから、100%のパフォーマンスを出すためには
ひとつも妥協ができません。
──
小平さんが、睡眠ということだけでも
真剣に考えてらっしゃる理由がよくわかりました。

(つづきます)

撮影:池ノ谷侑花(ゆかい)
  • 2023-07-13-THU

これまでの1/3LIFE

  • Interview 01 菊地凛子さんに聞いた眠りの話。
  • Interview 02 宮尾俊太郎さんに聞いた眠りの話。