BEGINNINGショップで
砂漠のバラを販売したとき、
いっしょに売り場に並んだ植物がありました。
それは樹齢200年のオリーブの大木。
プラントハンターの清順さんが自ら植樹にいく、という
特典つきの販売でした。
この木は、スペインの陽光を浴びて200年をすごし、
清順さんによってハンティングされ、
日本にやってきたものです。
![](../images/ph8-130117_1.jpg)
「砂漠のバラと同じ売り場に並べて、
これを買ってくれる人がいるかなぁ‥‥?」
と、ドキドキの販売だったのですが、
「買いたいです!」と手を挙げてくださった方がいました。
福岡県にお住まいの方でした。
今回はこの植樹のようすを
みなさまにお届けしたいと思います。
プラントハンターの清順さんの仕事ぶりの片鱗を
お伝えできるとうれしいです。
さて。
日本で、オリーブの木を
ごらんになったことがありますか?
市販されているものはたいていひょろひょろしています。
しかし、この「200年オリーブ」は、
スペインの陽光をたっぷりあびて
どっしりした大木に育っています。
ごつごつとした木肌は、すごい風格です。
清順さんのお仕事は世界中から
植物を「ハンティング」することなのですが、
こういった大きな植物を輸入するためには
厳しい検疫検査をクリアし、輸送手段を整え、
さまざまな機関と契約を交わさなくてはなりません。
輸送期間が長くかかるため、航海中の管理も不可欠です。
そういった交渉ごとも、清順さんの仕事のひとつです。
日本でオリーブの大木が稀少なのは
こういういくつもの手続を踏んで運ばれてくることが
ひとつの要因です。
兵庫県にある、清順さんの会社「花宇」から
200年オリーブが福岡に運ばれてきました。
(清順さんは「そら植物園」園長ですが、
植物生産卸業「株式会社 花宇」の5代目でもあります)
![](../images/ph8-130117_2.jpg)
この木を購入なさったのは
福岡にお住まいの伊川彦一郎さん。
![](../images/ph8-130117_3.jpg)
美容院を営んでいらっしゃいます。
お店のある庭に、
200年オリーブを植えたい、というご希望でした。
「清順さんのブログは
毎日チェックしています」
とおっしゃっていました。
伊川さんは、こう話してくれました。
「清順さんのことは、テレビの『情熱大陸』に
出演されていたとき、知りました。
いま自分が仕事や生き方でぶつかっている問題と
清順さんの活動がシンクロしているような気もして、
勝手に憧れています。
清順さんが少しでも載っている雑誌は
見つけたら買って、家族にも読んでもらって‥‥。
そうしているうちに、
このオリーブのことを知ったんです。
思い切って買いますと手を挙げてよかったです」
![](../images/ph8-130117_4.jpg)
▲200年オリーブは
庭のこのスペースに植えます。
![](../images/ph8-130117_5.jpg)
▲ご近所のみなさんも
たのしみに待たれていたようです。
植えていないうちから200年オリーブは
名物になっていますね。
清順さんはちょっと遅刻して、
クレーン車で土を運んできました。
(遅刻した理由は、このレポートの最後にお伝えします)
![](../images/ph8-130117_6.jpg)
![](../images/ph8-130117_7.jpg)
まず、伊川さんが
オリーブを植える場所を
清順さんの指示通りに整地したことを
写真で報告します。
水はけがよくない場所だったので、
思いきって大部分の土を入れ替えたのだそうです。
伊川さんの報告を受けて、清順さんは
「いいですね、いいですね!」
と言っていました。
そして、クレーン車を操作しはじめ‥‥
![](../images/ph8-130117_8.jpg)
ウィーン、と、
土の入った重い袋を持ち上げます。
![](../images/ph8-130117_9.jpg)
▲清順さんは2立米(2立方メートル)の
土を運んできました。土、重そう!
伊川さんが土を入れ替えたのに、
さらに土が必要なのでしょうか。
清順さんはこう答えてくれました。
「ここに盛土(もりつち)をして
オリーブを植えようと思っています。
今日たくさんの土を運んできたのは、そのためです」
掘って植物を埋めるのではなく、
土台を作って、植えるのですね。
![](../images/ph8-130117_10.jpg)
重い土を何袋か着地させたあと、
いよいよ200年オリーブを
クレーンで持ち上げます。
![](../images/ph8-130117_12.jpg)
▲吊り下げるための紐を巻きつけます。
ここまでの作業時間、たったの10分ほど。
清順さんのひとつひとつの動きは
無駄がなく、あざやかで、すばやいのです。
しかも終始笑顔で
「土が重そうやなぁ、車が重たがっとるなぁ」とか
「もうちょっと右がいいかな」とおっしゃって、
周囲にいる、
何も手伝えなくてボーっと突っ立っている我々を
緊張させることがありません。
![](../images/ph8-130117_11.jpg)
清順さんの会社「花宇」から200年オリーブを
8時間かけて運んできた
運転手さん(山本さん)が手伝います。
この運転手さん、いつも花や木を運んでいらっしゃる
専門業者さんかと思ったら、
そうではありませんでした。
![](../images/ph8-130117_14.jpg)
「植木を運ぶ仕事は、ふだんはしません。
『花宇』さんだけです。
わたし、一本釣りなんですよ」
仕事は人と人。
清順さんはどうやらいつも
そういう考えを持って仕事をしているようです。
植物を海外の森や山で見つけ、
日本に輸入するには、
想像以上の困難があるようです。
その国の法律や慣習が足をひっぱることも多いはずです。
でも、「仕事は人と人」。
この人だ、という人をつかまえて、話をすれば
どうにか道は開ける。
清順さんの、人を見る目は
そういう状況のなかで磨かれていくんだなぁと感じました。
![](../images/ph8-130117_13.jpg)
さて、運転手の山本さんの介助で
木が吊りあげられていきます。
![](../images/ph8-130117_15.jpg)
▲ドキドキする瞬間です。
![](../images/ph8-130117_16.jpg)
▲おお。
木が1本のロープだけで支えられているのがすごいです。
清順さんは躊躇なく「ここ」という感じで
木をしばっていました。
つねに、作業にミスはありません。
![](../images/ph8-130117_17.jpg)
「さすが‥‥」
清順さんのたくみなクレーン扱いに
我々はなんだかほれぼれしてしまいました。
* * * * *
このつづきは、また明日お伝えいたします。
おもしろい植物がいっぱい!