ここはカナダ、
標高1000mの街、カルガリー。
カルガリーから数十分、
車を走らせると
こんな風景が広がりはじめます。
いわゆる、すごくカナダっぽいところ!
雄大な国のひろびろとした街、
カルガリー‥‥のはずが、
ほら、渋滞が起こっています。
カルガリーの夜は寒く、
ほとんどの方が車で来られることから
こんなふうに入場渋滞が
起こってしまうのだそうです。
このたび日本にやってくる『クーザ』は
2007年にオープンした
シルク・ドゥ・ソレイユのツアーショー。
昨年ツアーのあった『コルテオ』の
およそ2年後にできあがった
あたらしいショーです。
これまでモントリオール、カルガリー、マイアミなど
各地をまわり、2月に日本にやってきます。
『クーザ』のタイトルの元になっているのは、
サンスクリット語の「宝箱」を意味する「KOZA」。
そのとおり、ステージには、
宝箱のようにいろんなものが登場します。
我々はこのショーを2度、
カルガリーで観てきたのですが、
2度とも、
口をあんぐりと開けたままになってしまった
アクトもありました。
「ギャー」「ギャー」と
何度も叫んでしまう演目もありました。
Costumes: Marie-Chantale Vaillancourt ©2010 Fuji Television
このショーを作ったのは
元クラウンのディビッド・シャイナーさん
ということもあって、
舞台には何人もの
タイプのちがうキャラクターが出てきます。
犬も、王様も、地下ロボットや、スリなど。
そして、あの、
トリックスターのかっこよさときたら‥‥!!
Costumes: Marie-Chantale Vaillancourt ©2010 Fuji Television
Photo: OSA Images Costume: Marie-Chantale Vaillancourt ©2007 Cirque du Soleil
そのつきぬけたたのしいショーを2度観つつ、
我々は『クーザ』のビッグトップの中を
好きなように歩きまわってきました。
本日から数回にわたって、
そのようすをお届けいたします。
シルク・ドゥ・ソレイユのツアーショーが
どんなふうにできているのか、
アーティストのみなさんが
どんな気持ちで世界を回っているのか、
少しでもご紹介できればと思います。
そもそも「シルク・ドゥ・ソレイユって何?」
という方は、2年前の内容ですが
こちらのクイズをおためしください。
では、カルガリーの
『クーザ』のテントに入ってまいりますよ!
まず目に入ってきたのは、
ツアーショー名物の
おおきなトレーラーです。
これが日本に来るとき、いったい
どうするのでしょうか?
やはり、大きなもののほとんどは
船で運ぶそうです。
東京へ持っていく荷物の総重量は、
なんと1万5千kg。
『クーザ』のバックヤードをとりしきるスタッフの方が
「ハァーン、小さな飛行機より重いわよ」
と教えてくれました。
さて、さきほど見た1台目のトレーラーは、
どうやらアーティストとスタッフのための
カフェテリア(「キッチン」と呼ばれます)のようです。
おや、バスローブ姿の方が
うろうろしてますよ。
メイクをなさっているので
アーティストの方でしょう。
あたりまえですが、
スタッフオフィスもロビーもすべて
トレーラーもしくはテントです。
電気は自家発電しているので、
「水道」「電話施設」
「17000平方メートルの敷地」
この3つがあれば
ビッグトップは
どこへでも行けるそうです。
『クーザ』に出演するアーティストの数は
ミュージシャンを含めて
(シルク・ドゥ・ソレイユのショーは生演奏です)、
16か国からやってきた53名です。
これが日本に来るときには61名になるそうです。
さらに療法士、服飾スタッフ、
ステージマネージャーなどのスタッフがいて‥‥
このステージの演出運営面の総責任者として
ツアーを率いるのは、
芸術監督のアダム・ミラーさんです。
アダムさんの主な仕事は
このショーの芸術面の責任者として、
毎日のクオリティを確認し、
『クーザ』の将来を考えていくことです。
ショーのプランを立てたり
アーティストたちが最大の力を出せるように
それぞれの個性をきちんと把握しておくなど
仕事の内容は繊細な部分にも及びます。
「ぼくはシルク・ドゥ・ソレイユに所属していますので
モントリオールにはもちろん、上司はいます。
しかしそれよりもいちばん、自分にとってのマスター、
つまりトップだと考えているものは、
ショーであると思っています。
アーティストたちみんなにもそう伝えています」
と、アダムさんはおっしゃいます。
「まず、『クーザ』を創り上げるとき、
“この世で見つけられる最もすばらしい演目”
ということを意識しよう、という
コンセプトがありました。
実は『クーザ』は、シルク・ドゥ・ソレイユの
“原点回帰”と位置づけられているショーです。
なにしろ、クラウンの
ディビッド・シャイナーが創ったショーで、
彼には伝統的なサーカスに対する情熱がありました。
この『クーザ』を創ろうとしていた当時、
シルク・ドゥ・ソレイユのショーは
ステージが大がかりになり
機械も装置も凝ったつくりで、
テクニカルな面でハイレベルであるという評価を
いただいていました。
けれども、サーカスのショーで
いちばんの中心にあるものは、何でしょう?
それは、人間です。
中心は、人である。
人の、すべてのものに対する、
笑い、かなしみ、怒り、
恐怖の中によろこびを見出すこと、
そういうことが常にサーカスの根底にあることを
ディビッドはよくわかっていました。
それは、ぼくもたいへん共感するところです」
「とりわけ『クーザ』は、
“人間がここまですごいことができるんだ”
ということを絶賛するショーである
ということが言えると思います」
(つづきます!)
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