おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson923
読者の声―自分の可能性をひらく

ほんとうは「できる」のに、
「ニガテ」「できない」のネガティブ先入観に
自分の可能性をやられてないか?
そこから自由になる鍵を、

「“できるかも”を翔ばす」

「ニガテから自由になる」

と2週にわたって考えてきた。
きょうは、ここ2週にいただいた、
自分の可能性をひらく「読者の声」を紹介する。

<イケイケ女子たちがニガテです>

私は、イケイケリア充女子がニガテです。
自分とは正反対の人たち、
スクールカーストでいうと最上位の人たちです。

友人の結婚式で卒業ぶりに会った高校のクラスメイト。

イケイケリア充女子たちとは、とりあえずで
多少の近況話などはしたものの、
どうせ話は合わないだろうと、
自分から勝手に壁を作って遠ざけていました。

あとは仲の良い子だけとほとんど喋ってその日は終わり。
ニガテに疲れる私は、
どっと疲労感を背負って家路につきました。

でも、帰宅してから反省したんです。
もっと相手に関心を持って話しかけにいっていたら、
こんな疲れて帰って来ずに、

「もっと相手も自分も楽しい時間を作れたんじゃないか」
って。

まさかの共通項が見つかって、
思わぬ展開があったかもしれないし。

なんか損してるなーって感じました。

このことに限らず、あらゆることにおいて、
ニガテなことに関心を向けず、
「新しい可能性の芽を摘んでいるのは自分なんだよな」
って気付いたんですよね。
(T)

<子供の頃、薬を飲むのがニガテだったように>

レッスン922に、
「私たちはニガテなものに向かったとき、
自分からその一番嫌な部分を探しに行っている」
とあり、思い出したことがありました。

子どもの頃、粉薬を飲むのがニガテでした。

母は、
「どうして不味いとわかっているのに
わざわざ味を探しにいくかねー、
サッと飲んでしまえばいいのに」と。
今では日常的に苦い漢方薬を飲んでいます。

いつのまに飲めるようになったのだろう。

それともうひとつ、小学生の頃、
どんなに自分とは馬の合わない人でも、
その人のよいところを見つけるのが得意でした。
だから、誰とでも付き合えたし、
いろんなことに挑戦していました。
今の私はどうだろう。

高校でトラウマができて、
大学進学を機に地元を離れました。

どうしても地元が好きになれず、
ローカル線に乗ると動悸がする時期が長く続きました。
高校時代のことは未だに夢に出てきて、
うなされたりもします。

今の今まで、私は、
高校時代に絡むことだったら、
なんでもまるごと自分から遠ざけてきました。

遠ざけながらも、逆に、思い出し、
それがどれほど嫌かという感触を確かめて、
「あぁ、私はいつまでこのことを
引きずらなきゃならないんだろう」と落ち込んできました。

だけど、私のニガテは本当に今も変わらないままだろうか?

たしかに私にはまだまだ、
苦い粉薬の味をわざわざ探しにいって
「うわ〜不味い」と思ってしまうところがあるけれど、

同時に、
帰省した時に散歩をして、
こんなにも美しい風景があったんだっけと思ったり、
私の地元に友人が遊びに来てくれて、
一緒にあたらしく楽しい思い出をつくってくれたり、
地元のローカル線を見た友人が「電車可愛いね!」と
私には思いもよらなかったことを言ってくれて、
認識が変わっていったり、

実はすこしずつ、まわりの力も借りながら、
自分の「ニガテ」が塗り替えられていないだろうか。

「ニガテ」と思い続けることは、
そんな、自分や大切な人たちとのすてきな時間をも、
奪っていってしまうのか‥‥。

そんなの、まっぴらごめんだ。

これからの人生楽しんでやる!!!!
ニガテなんかに負けてたまるか。
(be_moon)

みんなが集まる場に行くという時に、
「大人数がニガテ」とか、「話すのがニガテで」とか、
「意識高い系の人たちがニガテ」とか、
わざわざ直前に言う人がいる。
わたしもそんなネガティブな想いをもったことがある。

でもあれって、

「大人数でわいわいできたら楽しいだろうなあ」
「うまくおしゃべりできたらいいなあ」
「意識高い人たちの会話についていけたらなあ」

という期待の裏返しなんだと、読者に気づかされた。
わざわざ嫌なところを自分から探してなぞって、
距離をつくって予防線をはっている。

「できるかも」を翔ばす。

「けっこう大人数、たのしいかも」
「意外に私、たのしんでおしゃべりできるかも」
「意識高い系の人たち好きになるかも」

恐いとおもう事ほど、裏返せば楽しみなのだ。
いい「かも」を翔ばして自分をひらいていきたいなあ。

あと2通紹介してきょうは終わろう。

<できるとまでは思えなくとも>

小学校3・4年生のとき、
教室の黒板上にいつも、
次の言葉も貼られていました。

「できるできる
自分はできる

できないと思ったらできない
できると思ったらできる

できるできる
自分はできる」

当時はこの言葉にまったくピンと来ていなかったのですが、
20年の時を経て、最近この言葉が頭の中で鳴り響くんです。
壁にぶち当たったとき、結局そこなんだよなあと。
そうは言っても、「できる!」とまでは
気持ちを持っていけないことがほとんどではあって‥‥。
そんなとき、

「できるかも」

なら、この弱い自分と向き合っていきやすいなあと
思いました。
(T)

<たった一言で「できる」に変わった生徒>

軽度の知的障がいの高校学年の子どもたちが
就労するための高等特別支援学校に赴任しました。

彼らは軽度だからこそ、
周りの人と違うことに気づき、
心ない言葉に傷つくことができ、
自分なんて‥‥と落ち込むことができるのです。

3年たった卒業間近に、彼らのなかの一人が、
チャレンジすることに尻込みしました。

客観的に見ると難なくクリアできることだから、
やって卒業してきゃいいのにな、と思い、
お互い『銀魂』というマンガが好きだったので、

「でも銀さんは、
ちゃんと傷ついたことがあったから優しいんでしょ?」

と言ったら「そっか」と言って、
あっという間にクリアして「先生、できました」と。

すごい。

びびっていたことに、たった一言で切り替えて
挑戦したこともすごいが、
中学校でさんざん傷ついてきた彼が、
「傷つくこと=悪いこと」だけではなくなった、
癒し方を覚えた。

この可能性のすごさ。

“心の扉のノブは内側にしかついていない”
と言う恩師からもらった言葉を忘れずに、
彼らが自分の可能性に気づき表現できるように
努力していきたい。
(ほがる)

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ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
 無料で聴けます

 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。



『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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