Lesson937
嫌われる条件
2019-09-04
「敬意」とまではいかなくとも、
最低限「尊重」がないと、何を言っても伝わらない。
人は、自分や自分が大事にしている何かに対し、
尊重がない人、尊重の前提となる「理解」がない人に、
嫌悪を抱く。まとめると、
「よく知らないのに上から目線でモノを言う」
これが嫌われる人の条件ではないか、と私は思う。
私も気をつけよう。
「どんな人が嫌われるのか?」
正解はない。
嫌うポイントは多様、人の数だけ答えがある。
私は学者ではないし、統計もとったことがない。
しかし、表現教育を通して人の内面を、
それも、地下2階のような深い部分を見てきた。
「嫌いな人」が出てくる文章は、
人間の個性が1人1人違うように、
一作一作ぜんぜん違う。
けれど、たくさんたくさん飽和量に近いところまで
たくさんの文章を読み取っていった果てに、ふと、
「あっ、嫌われる人、みんな上から目線だ!」
直感のように自分の中から湧いて出た。
もちろん例外は絶対ある、恋したときなどは
相手が上目線だろうが何だろうが好きだし、
例外はあっていい。その上で、
自分を見下す人間を、人は好きにはならない。
しかもそれは、
「他ならぬこの私」を見下しているかどうか。
「あの人は、まわりの人間をみんな見下しているけど、
この私のことだけは尊敬してくれる、わかってくれる」
というとき、情が湧いて、なかなか嫌えない。
だからこそ、
「他ならぬこの私を」上から目線で見る人を、
「この私が大切にしている人・モノ・こと」を見下す人を、
嫌悪する。
イメージしてほしい。
だれかと、おいしいごはんを食べたいとき、
テーブルをはさんで向かい合って目をあわせて、
「自分を見下す人と一緒に食べて、おいしいか?」
「また一緒に食べたいと思うか?」
自分だけ飲み会に呼ばれないとか、
みんなで旅行に行っても自分だけ誘われないとか、
一概には言えないが、
「自分はみんなのことを上から見てないか?」
と、一度問うてみて損はないと、私は思う。
「こんなにおごってあげてるのに、
なんで向こうからは誘ってくれないんだ」と怒る人は、
どこかで「払ってやっている」という高ぶりはないか。
そういう気持ちは隠しても伝わる、
相手は対等になれない。けむたく窮屈に思う。
つい上から見てしまう人はどうしたらいいか?
ついマウンティングしてしまう人、
人に段差をつけなきゃ気が済まない人は、
自分が握りしめている序列のモノサシは何か、
なんでそのモノサシなのか、
から考えていくといいんじゃないか。
そして、上から目線のほとんどの人に言えること。
「相手の話を聴いてない」。
「周りがなってない」と言う人、
「この環境はつまらない、新しい発見がない」と言う人、
共通して人の話を聴いてない。
聴かないのか? 聴けないのか?
なぜ新しい発見がないか、
周りの話を聴かないからだ。
なぜ聴かないか、その人が周りを見下しているからだ。
見下す→聴かない→周りの情報が入ってこない
→つまらない→さらに周りを見下す→さらに聴かない‥‥、
の悪循環。
これでは、「嫌われる」通り越して、「孤立」だ。
「聴こう!」
しっかり体ごと相手に向けて、相手の表情をよく見て、
うわっつらでなく、相手が本当に言わんとすることは何か。
引き出し、理解しようと努めていくと、必ず、
外側だけ見て、先入観で、
こういう人だろうと思っていたイメージが崩される。
意外な点が見えてくる。
これはどんな人にも必ずある。
そんな意外ポイントがささやかでも1つ、
見つかるまでは、相手の話を聴こう。
知れば知るほど、人間は、
先入観で測れない、
決して軽んじることのできない存在だと気づく。
そのとき相手への尊重は自然に生まれている、
と私は思う。
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『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)
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この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。
「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!
『考えるシート』文庫版、出ました。
『話すチカラをつくる本』
三笠書房
NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
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いちからわかるやさしい入門書。
『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
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自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!
『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社
『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社
『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
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内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)
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