Lesson934
読者の声―自分を出す
2019-08-07
足りないのは、「自分を出す」ことではないだろうか。
勉強して出そう、ではなく、
自己分析や改革、それよりも前に、
「素の自分を出す」
出せば自然にその結果を浴びて、
人は前に進んで行く。
逆に言えば、出さないことには始まらない、
という先週のコラム、
読者はどう感じたのか?
さっそくおたよりを紹介しよう。
<ジャズピアノ勉強中です>
アマチュアでのセッション
(誰と何の曲をやるかはその場で決め、
演奏内容はアドリブ)において、
「表現」することの一番の壁は、
「下手だと思われたくない」
という気持ちです。
一瞬でも戸惑いがあれば、
どんどん曲は進んでいき、
迷っている暇はありません。
そこで、よくいるタイプは
「改竄する人」
アドリブを作っておき、覚えてきて弾く。
自分で作るならまだよし、
先生に弾いてもらいコピーして覚えて、
さも自分のアドリブのように演技しつつ弾く。
曲が変わると全くアドリブが弾けません。
「忖度する人」
とにかくたくさん早い音符をつめこむ。
派手なパターンをいくつか覚えておき、
早い音符と派手な和音でガンガン攻める。
すごさがわかりやすく、
うまいねといわれることは多いが、
どの曲を弾いても同じパターンとなる。
とっさにその場で思いつけるのは
普段練習しているフレーズに比べたら
ものすごくつたないものになります。
そのため自分も、
「恥ずかしい」やら「下手だと思われたくない」やら
気持が押し寄せ、
作っておいたものを弾いたり、
練習したものと同じものを
どうにかアドリブに無理にはめ込もうとしたり。
しかしそれで「よかった」といわれても、
嬉しく思えないのです。
自分の演奏が、今自分の表現したいことと
何も関係がないからだと思います。
もともとは「表現したくて」楽器を演奏し始める、
でも少しずつ音楽に慣れてきたり、
周りを聞くようになりはじめると
自分が表現したいことよりも
自分が恥ずかしくないことを優先しはじめる。
本当に表現したいのであれば
「自分をむき出しにする覚悟」が必要だと感じています。
(akko)
<それでも伝えたいことは伝えたい>
先日、軽い病気をしました。
大事には至りませんでしたが、
「不安があれば受診することの重要性」を
周りの人たちに伝えたいと、
幼少期から友人と繋がっているSNSが
思い当たりました。
最近は投稿する人は少なく、
たまにあると、結婚や出産などのおめでたい報告ばかり。
病気というネガティブな話をしていいのか、
ためらいました。
それでも伝えたいことは伝えたい!と
勇気を出して投稿したら、
2つの変化がありました。
1つ目は自分。
偽りなく表現したことで爽快感があり
もっと書きたい、と意欲が出てきました。
もう1つは友人との関係。
投稿をきっかけに
長年連絡の途絶えていた旧友と再会したり
偶然同じ病気を患った友人と
励まし合うことができました。
私は自分の考えを話すのが苦手で
「何が言いたいのかわからない」「やる気がない」
と受け取られてしまうことが多くあります。
話して伝えることに失敗を重ねすぎて
表現することすべてに臆病になっていました。
でも今回、
「やっぱり私は表現したい」
と再確認しました。
書いて表現するのはとても楽しいと感じました。
「書いて、出す」。続けていきたいです。
(はる)
<めっちゃ、あなた!>
私は物心ついてからつい最近まで、
「忖度する人」でした。
それが、就活中、
「ここでこんな人生を歩みたい」と、
初めて思えるような会社を見つけ、訪問したとき、
ひとりひとり異なるキャラをもつ
素敵な社員さんたちを見て、憧れを抱いたとともに、
私はここにいたら埋もれてしまうかも、
と自信をなくしそうにもなりました。
そんなわたしを社長の奥様が瞬時に見抜いて、
「キャラを作らなきゃいけないわけじゃないんだよ。
あなたを出せばいいの。」
と。確かに社員さんたちは、
ただただシンプルに
それぞれの「わたし」を表現していました。
だからこそ、キャラが被ることなく
それぞれが輝いていたのか。
そんな気付きを得た翌日、
わたしは、誰のためでもなく
「わたし」の着たい服を着て出掛けました。
そこで偶然遭遇した友人が、
こんなことを言ってくれました。
「今日のあなた、めっちゃあなただ!!!
すごくいい!!!!!
なんか、めっちゃあなた!!!!」
そんなふうに言われたのははじめてで、
可笑しくて笑っちゃいましたが、
どんな褒め言葉よりも
今のわたしにとって一番嬉しかったです。
ああ、こういうことか。
日常の些細なところから「自分を出す」、
はじめてみています。
(be_moon)
ズーニーです。
「表現できてるか、どうか?」
自分で判断する方法は、書いた後の感触です。
「疲れた」
しか、後味が残らないとき、
その人は、
自分を守るために本当のことが書けなかったり、
よく思われたいと虚飾の文章を書いていたりする
可能性が高いです。
本当の想いが書けたとき、人は嬉しい。
疲労しても、どこか清々しく、
書く時はあれほど辛いと思っていたのに、
書いた後「また書きたい」と思う。
「疲れた」、しか後味がないとき、
どこかで自分にうそをついてないか、
かっこつけてないか、
「自分は、本当は何を一番書きたかったのか?」
と、問うてみるのもいいと思います。
もう1通紹介して、今日は終わろう。
<一番を表現する>
一番表現したいものを突き詰める作業は、
制限時間と相手があって成り立ちます。
目の前の人や、
遠くても思いを伝えたい誰かがそこにはいて、
限られた時間で、この関係の中で、
最も大事にしたいものを表現出来た時、
伝わる喜びが得られます。
ですが、そこで
二番目三番目に大事なものを出してしまった時、
残るのは後悔です。
そこにあるのは、
自分の大事にしたいものをないがしろにした、
伝えたい人に向かいきれなかった、
「勇気のなさ」。
あらわになるのは、「腰が引けた自分自身」。
伝えたいことに向き合うのは、
自分自身を大事にすることですし、
伝えたい相手に向き合うのは、
ひとを尊重することです。
上手く書けるかとか、ちゃんと伝わるかは、その後。
なのに、上手く書かないと、伝わらないと、
という作為があると、
大事なものを見失ってしまうのでしょう。
本気で伝えようとしている姿勢は、
受け取る側も、理解する以前に感じるものです。
そこがあってこそ、受け取りたい
という思いが出て来ます。
「一番大事にしたいものが何なのか?」
捉える作業は簡単ではないですが、
どんなひとだって大事にしたいものがある、
その作業は出来る、ように思います。
(たまふろ)
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大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。
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文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
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「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
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あなたの表現がここからはじまる!
『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)
ラジオ「おとなの進路教室。」
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この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
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「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!
『考えるシート』文庫版、出ました。
『話すチカラをつくる本』
三笠書房
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いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。
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自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!
『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
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『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社
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内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)
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