Lesson946
VS.(バーサス)にならない
2019-11-20
VS.(バーサス)にならないように、心がけている、
仕事でも、私生活でも、
コミュニケーションのスタンスとして。
無自覚にVS.のポジションにいると、
自分の正しさで相手に勝とうとしてしまう。
新米の頃は、わたしは、
学生の疑問や反論に、対応するのが苦痛だった。
言葉をつくしても、相手のスッキリ感が無い。
それが、ある時から、うまく進み始めた。
自分でも理由がわからなかったが、
先日、
テレビ番組で、
アナウンサー養成をやっていて、
一触即発、見ているこちらまでギクリ! と
息を飲む場面があった。
「ちがう!」
「いや、そっちこそちがう!」
という感じで、
アナウンサー学校の生徒と、元知事が、
言い合いになったのだ、
インタビューの訓練で。
訓練と言っても、全国放送、本物の元知事、
生徒は、緊張するし、いいとこ見せねばならない。
その生徒は、よく勉強していたのだろう、
元知事との事実認識の食い違いを見つけ、
「それはちがう」とツッコんだ。
でも、元知事だって沽券がある、
「そっちこそちがう」と言い返し、険悪なムードに。
それを見ていた講師のベテランアナウンサーが、
あちゃー、やってしまったな、という顔で、ひと言、
「バーサスになってるわー。」
インタビューする人は、「引き出さなければ」いけない、
元知事から、本心や、視聴者が聴きたがっていることや、
意外な顔や。
なのに、その生徒は、
無自覚に「対決のポジション」についてしまっていた。
自分ではまったく気づかずに、
VS.(バーサス)になっていること、ある。
そうか! 新米の頃うまくいかなかったのはそれだ。
新米の頃って、自信が無い、
学生の質問に答えられるか不安だ。
下手なことを言って、相手に突っ込まれたら、
信頼を失うのでとても恐い。
だから、ガッチガチに理論武装して、
知らぬ間に、対決姿勢になってしまっていた。
これだと、どんなに正しい完璧な回答をしたとて、
相手を自分の正しさで打ち負かそうとすることになり、
負かされた方は、いい気がするわけもなく、
勝った方とて、恨みを買ったり、仕返しされたり。
VS.のポジションに、双方が幸せになる出口はない。
生まれて初めて大学の教壇に立った日から、
たしか、10年目くらいだったかなぁ、
はっきりと、自分の意識が変わっていたことを
自覚した瞬間があった。
いつものように、講義おわりで学生が質問してきたとき、
自分の中から、はっきりと、こんな声がつきあげてきた。
「私で、何か、お役に立てますか?」
その時期にはもう、質問に答えた後、
学生は、スッキリ晴れた顔をするようになっていた。
「こっちが正しい」、「いや、こっちこそ正しい」。
いまでも時々、
身内とごはんを食べる時や、
親しい友達たちと飲み会のような時に、
知らず知らず、バーサスになっていることがある。
せっかくの楽しい席で、どうしてVS.になるんだろう?
いかん、いかん、と気づいて、
自分のポジションを組み替える。
すると楽しい時間になっていく。
VS.(バーサス)ではない。
コミュニケーションのスタンスは、
VS.になってしまっては、
勝っても、負けても、幸せにはならない。
with together 一緒に。
「私で何かお役にたてますか?」
いつもそんなポジションで人に向かう。
学生や生徒には特に。
まず、聴く。
きょう、誰かと向かい合うあなた、
「あなたと相手はどんなポジションにいますか?」
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文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。
『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
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7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!
▲文庫版でました!
あなたの表現がここからはじまる!
『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)
ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/
おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。
「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!
『考えるシート』文庫版、出ました。
『話すチカラをつくる本』
三笠書房
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ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!
『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社
『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社
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内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)
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