Lesson940
読者の声―伸びない心
2019-10-09
「いまから18年間、
なんでもあなたの好きなことを習わせてあげよう」
と言われたとする。
英会話でも、人工知能の勉強でも、ダンスでも、
好きなことを、好きなだけ習ったとして、
ちょっとだけイメージしてみてほしい、
「18年後の自分は、どうなっているか?」
これについては、あとで触れるとして、
先週の「伸びない心」にいただいたおたよりを、
さっそく紹介しよう!
<「伸びない心」を読みました>
あー、わかる! と思いました。
私は、伸びない心の2つ目、
「私だけがニガテ」症候群をすぐに発症してしまいます。
例えば、英語を話すこと。
外国語大学に通っているので、
周囲からは、英語が話せて当たり前、
という圧を感じます。
確かに英語しか学んでいないのだから、
できて当然というのは正しい。
そしてみんな上手いです。
しかし、私は英語が上手く話せないのです。
とちってしまったり、通じないことばかり。
英語を話すことにニガテ意識を持つようになりました。
「私英語話せないんで‥‥」
と聞かれてもないのに前置きしてしまいます。
英語のディスカッションで、
息を潜めて時間が過ぎるのを待つようになった
時期もあります。
でも、それはすごく苦しくて、
自分が情けなく感じて、辛かった。
今では拙くても発言するようにしました。
その方が、英語が不完全である恥ずかしさよりは
恥かしくないからです。
直ぐに意識を変えるのは難しいです。
でも、前置きをやめることから始めていきたいです。
(やぎ)
ズーニーです。
「不完全な英語で発言することより、
黙っていることのほうが、よっぽど恥ずかしい。」
この恥のセンスとてもいいな!
以前、表現教育の現場で、ある学生が、
「恥ずかしがってる自分を見せる方が、恥ずかしい。」
と言って、皆がモジモジ、オドオド発言する中、
堂々と、勇気を持って発言し、すごくかっこよかった。
私も、臆病や卑怯を人に見せるのは恥ずかしい、
失敗しても勇気を見せたい、という恥のセンス、
磨いていきたい。
<異動先で「初めて」を多用する私>
人のせいにしたり、
自分で勝手にゴールを短くする人には、
自分成長物語の主人公足る資格がないんだな。
そんな連載が少年ジャンプにあったとしても、
だれも読まない。
私自身は、異動のさいに、
「初めてだから」
を多用しがちです。
初めてなのは事実で、
異動も私が決めることではないので、
私も、他の人も、受け入れやすい理屈ですが、
10年会社にいても、
「どこにも居場所がないような不安」
といつも隣合わせです。
今、自分成長物語の主人公を取り戻すべく、
あまり通らなそうな提案をお客さんにしたりして、
積極的に今の居場所にしがみつこうとしています。
主人公でさえあれば、
失敗は何かの糧として振り替えれることになる
と信じています。
(雨)
ズーニーです。
なるほど! 「初めてだから」は、
自分を「わき役」に追いやる言葉。
多用すれば、わき役通り越してエキストラになる。
はたで見てるのはラクだけど、それでは、
いつまでたっても、「ここ」は、私の居場所にならない。
自分の考え・想いを表現して、つかんで、
初めてそこは居場所になるんだな。
<自分を遠ざける言葉>
「受け身のポジション」に自分を置くことや、
「自分だけが出来ない」という弱気が危険なのは、
目の前の相手や学びから、
自分自身を「遠ざけてしまう」からです。
治療する仕事で、自分が今
心がけているのは、
「患者さんは、
今自分を必要としてここにいるのであり、
必要なのはそこにこたえることだけ」
という自覚です。
学ぶためには自分を開かねばなりません。
自分と世界にきちんとした関わりを結ぶためにも、
そこから引き離そうとする余計ないいわけとは、
距離を置きたいと思うのです。
(たまふろ)
ズーニーです。
「られた・された」と受け身で語ることも、
「みんなできるのに私だけが特別にできない」
と予防線を張ることも、
世界と自分を遠ざける
ほんとにそうだな。
学ぶためには、近づいて、ひらいて、
自分とその世界との関わりをきちんと「結ぶ」
ことが必要なんだな。
さて、冒頭の18年の話。
耳が聞こえない交響曲の作曲家として、
世界的に有名になった佐村河内氏が、
実は耳が全く聞こえないわけではなかったし、
ゴーストライターが曲をかいていた、という事件、
覚えている人も多いと思う。
この事件のドキュメンタリー「FAKE」で、
18年にわたって世間を欺いてきた佐村河内氏に、
外国人ジャーナリストが質問する、
「18年もあったのに、なぜ音楽を勉強しようと
思わなかったのか?」
私はこの質問にものすごく揺さぶられた。
18年たてば、生まれたての赤ん坊だって18になる。
音楽大学だって、院だって行ける歳月だ。
通信でも、独学でも、18年、くらいついて必死に学べば、
交響曲を1曲、かけるようになったって不思議はない。
そう想うと、他人のことでありながら、過ぎ去った18年が
あまりにも、もったいない。
「できない、ニガテだ」と思って生きる18年と、
「できる、できる!」と思って生きる18年と、
学びの差ははかりしれない。
自分はどうか?
家に大きなパソコンを初めて買った日から、
ほぼそのくらいの歳月が経つ。
「機械オンチ」「文系」と言い続けてきた私は、
毎日使っているのに、いまだにパソコン素人だ。
けど、もう逃げない。
ここからの18年は「できる!」と思って生きる。
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●「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
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無料で聴けます。
聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
(MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
または、iTunesからのダウンロードとなります。
ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!
▲『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。
『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!
『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
――山田ズーニー。
▲『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。
『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!
▲文庫版でました!
あなたの表現がここからはじまる!
『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)
ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/
おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。
「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!
『考えるシート』文庫版、出ました。
『話すチカラをつくる本』
三笠書房
NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。
『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫
自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!
『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社
『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社
『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書
内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)
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