Lesson991
まず、理解。
2021-01-13
「ほめて伸ばすか? 悪い所をビシッと言うか?」
よく議論される。
子育てで、教育現場で、仕事場で、
編集者が作家に接するときにも、でも、
「まず、理解。」
と私は思う。それなしに、ほめるも、けなすも、
効果は薄いんじゃないかと。
的確な理解を注がれれば、人は勝手に伸びていく。
……………………
以前、「編集の仕事はこれが初めて」、
という人に、私は原稿を書いたことがある。
「ここと、ここと、ここを見直してほしい。」
とだけの返信が来て、私は悩んだ。
それらを変えたら、主題が消えてしまう。
結局、まるまるもう一本新しい原稿をあげ、
今度は一発で通った。
ところが後日、相手が、
最初の原稿も素晴らしいと思っていたことを
人づてに知った。
「なら、なぜ、それを先に伝えてくれない?」
怒りがこみあげる手前で気づいた、
「作品全体をどう受け止めたか、それは理解。
理解を伝えることこそが、不慣れな人には難しい。」
表現教育の現場で私がやっているのは「理解」だ。
「あなたの作品を私はこう理解した、こう受け止めた、
という “主題への深く正しい理解”。」
表現した直後の人間は、不安だ。
素人ならなおさら、何が書けたのか書けなかったのか、
考えすぎてもう自分でもわからなくなって、
ましてや読んだ人がどう思うか見当もつかない不安。
そこに、深く正しい理解を伝えると、
本人は、「そうだ! これが書きたかったんだ」と、
自分の主題を自覚できたり言語化できたりする。
「伝わった」という実感も持て、前に進める。
大事なのは理解の深度。
それがあると相手は、
心に一つおにぎりをもらったように満たされる。
理解者に対し信頼も生まれる。
ほめるにしろ、アドバイスにしろ、指摘にしろ、
理解を伝えたあとなら、ずっと効果が出る。
理解が的確ならアドバイスはいらないことも多い。
「自分はこれが伝えたいんだから、
この部分はいらないな‥‥」など、
相手は、自分で気づいて、自分で勝手に、
どんどん作品をブラッシュアップしていく。
「理解」は全体を深く読まないとできない。
これに比べたら、ほめるのも、けなすのもラクだ。
部分だけを読んでもできるし、表面的に読んでもできる。
私がしなくてもいい仕事だ。
「書いたものは書いた本人が一番よくわかっている」
自覚が無かったり言語化できなかったりするだけだ。
もし理解をはずしたら、
相手は、一瞬で私への信頼を無くし、
わかってくれないと失望し、自信も揺らぐ。
だから理解は絶対はずせない、真剣勝負なのだ。
私は、学生に1つコメントを返すのに、
4〜5回は作品を読む、
コメント1つ書くのに1時間はかかる、
‥‥とあまりに遅くて恥ずかしいから言っているけれど、
実際は、7回、8回‥‥10回と読むことも、
半日かけてやっと1つコメントが書けることも多くある。
理解を伝える方法には、
「要約」。
相手が本当に言わんとするところを、
私はこう理解した、と
自分の言葉で短く強く要約して伝える。
「経験からの理解」。
相手の言わんとする抽象的な主題を、
自分自身の具体的な経験に引き当てて理解を伝える。
かといって、相手の文章を、自分の文脈で勝手に
解釈してはならない。そこで、
「発見」。
相手の文脈に沿って、あくまで相手の言わんと
することを理解した結果、
自分の従来の価値観から飛び出して、
「あなたの文章で全く新しいこんな発見があった」
と伝える方法もある。
ほめるか、けなすか、で悩む時、
「相手に理解を伝えたか?
自分は相手をどのくらい理解しているか?」
そこを自分に聞いてはどうだろう。
【満員御礼!】この講座は満席になりました。
キャンセル待ちも締め切りました。
たくさんのお申込みありがとうございました。
宣伝会議 表現力養成コース
編集・ライター養成講座20周年記念講座
山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く
山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
大学・高校生から
ビジネスマン・プロのライターから作家まで
幅広い層に、数えきれないほど表現講座を開いてきました。
その原型が生まれたのが、
宣伝会議の編集・ライター養成講座でした。
現在も講師をつとめており、毎回、
受講者に次のような声をいただき手ごたえを感じています。
・自分の想いの根幹を探るという経験を
こんなにじっくりと時間をかけてやったことはなかった、
得難い経験でした。
・終了したとき、この講義の意図が
身体にしみわたるように理解できた。
コミュニケ―ションが苦手だったが、
非常に楽しく有意義に受講できた。
・自己開示が苦手だったが、一気に開くことができた。
・現実の出来事を多角的に見て、表現のヒントを探すことは
全ての実務に活かせると思います。
・自分の可能性を信じようと思えた。
自分はつまらない人間ではない。
今回20周年を記念して、ご担当者の、
「この先を行く特別な講座をひらきたい。
表現力をつけたい気持ちはあるものの、
そもそも自分に伝えたいことはあるのか、
と悩む人も多く、その人たちに、
自分を貫くテーマを発見したり、
相手の心に響くように伝えるコミュニケーション力を
つけたりできる場を提供したい。」
という志に共感しました。
2時間×12コマで、
文章表現の本格的な基礎づくりから始まって、
相手に伝わる表現、社会に説得力を持って書く、
さらに、自分にしか書けない主題を発見して書く!
までを責任を持ってサポートします。
ひとりでは気づけない自分の潜在力も、
多彩な仲間とともに引き出しあえるから開花します!
表現を通して他の受講者と心底通じ合える
「感動」の授業です。
心を揺さぶる文章を書きに、ぜひ、来てください。
あなたには書く力がある。
●詳細・お申し込み・お問い合わせは、すべて
こちらのページから。
(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。
………………………………………………………………………
「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.com までメールでお送りくださいね。
★仕事のご依頼はここに送らないでください。
山田ズーニーtwitter( @zoonieyamada )へお願いします。
または山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をおたずねください。
表現して人とつながる勇気のレッスン!
会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
無職のおばさんと見ることだった。
それまで仕事をがんばって経験を積んできた
他ならぬ私をわかってほしい。
この発想・考え・想い・感性が、
かけがえなく必要とされたい。
理解という名の愛がほしい。
「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」
やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。
山田ズーニーワークショップ満員御礼!
いったんウェイトリストを締め切ります。
2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。
大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。
責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。
言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。
●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。
お問い合わせ先
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768
http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=699
2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。
ワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
――3回で一生ものの書く力・話す力が育つ
書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
意志が芽生える。
さらに、
言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。
書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。
自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。
あなたには表現力がある。
山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!
「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。
注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。
★出演情報などお知らせのあるときは
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。
▲『半年で職場の星になる!
働くためのコミュニケーション力』
ちくま文庫
あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!
ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!
録音版をぜひお聞きください。
●「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
(MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
または、iTunesからのダウンロードとなります。
ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!
▲『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。
『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!
『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
――山田ズーニー。
▲『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。
『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!
▲文庫版でました!
あなたの表現がここからはじまる!
『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)
ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/
おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。
「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!
『考えるシート』文庫版、出ました。
『話すチカラをつくる本』
三笠書房
NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。
『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫
自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!
『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社
『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社
『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書
内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)
【最近の更新】
- 2020-09-23 コロナ禍で私が潰れてしまわなかった理由
- 2020-10-07 ストレスを減らしてくださいと言われて
- 2020-10-21 自己表現の代行人
- 2020-11-04 「自信」が持てない時どうするか?
- 2020-11-11 読者の声ー自信が持てない時どうするか?
- 2020-11-18 偏見で人を傷つけてしまう前に
- 2020-11-25 読者の声―やりたいことが見えないときに
- 2020-12-09 想いの居場所
- 2020-12-16 やりつづけるチカラ
- 2020-12-23 読者の声ーやりつづけるチカラ
※これより前はこちらからご覧ください。