おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson981
コロナ禍で私が潰れてしまわなかった理由

役者は、何日、舞台に立てないと、
息がつまってしまうのだろう?

サッカー少年は、サッカーをとりあげられたら、
何日、自分らしくいられるだろう?

居酒屋のあるじは、長年の店を閉店して、
海を失った魚のように息苦しくはないのだろうか?

自分のアイデンティティとも言える居場所を、
たくさんの人が失った、3月からのコロナ禍。

「私は、なぜ、潰れてしまわなかったのか?」

一時はストレスから耳が聴こえ辛くなったほど、
疲弊していた私が、明るい方へ出られた理由を
お伝えしたい。

………………

「オンライン授業、お上手ですね!」

先日、

大学の職員の方に言われて、驚いた。

長いこと私は、
オンライン化は不可能だと思い込んでいた。
私の授業は、受講者が話したり表現したりの体験型だ。

でもこの2020年9月、
完全オンラインにもかかわらず、
学生たちは、去年までと変わらずイキイキと、
考え・話し・書き・表現し、
3日間=90分×15コマの集中講義を駆け抜けた。

「3月から苦しみ努力してきたことが実った。」

と私は感じ、この半年が一気によみがえった。

5月、家族を実験台に、初めてのオンライン授業。

つぎに、協力者を得て、
本格的な実験授業と検証をさせていただき、
この検証で、悪い所をズバスバ指摘していただいたことが
本当に役立った。

6月から、いよいよ本番を積み重ね、
それがあっての9月の集中講義だった。

「人からは、
さらっと上手くやっているように見えることも、
努力の積み重ね無しにはできないもんなんだな。」

半年の日々で、いちばん印象に残っているのは、
家族を実験台にして、生まれて初めて、
オンライン実験授業をした5月のことだ。

その日が来るのがとても恐かった。

実験して、もし、
オンライン化が無理だと判明してしまったら、
自分がこっぱみじんになるような気がした。

追い詰められていた。

3月、4月、5月の3カ月間、
予定していた講演・講義の仕事は、
すべて、コロナ自粛で無くなった。

働けない3カ月は、
特別悪いことが起きるわけでもないのに、
一日、一日、息苦しいところに追い詰められていった。
自分の生息場所である教育現場で、
それまでふつうに息ができてたものが、できなくなる。

「3カ月くらいでギャーギャー言うな。」

と人は言うだろう。
けど、人間は10分呼吸を止められても命を落とす
弱い生き物なのだ。では、
生きがいの息は、果たしてどれくらい持つのだろう。

人生初のオンライン実験授業は、私にとって、
再び生きる場所を得るか、失うか、の死活問題だった。

私は、家族実験と言っても、万全の準備をした。
本番そっくりに、資料を用意し、パワーポイントをつくり、
講師用の服に着かえ、身支度まで入念にした。

緊張にひきつってZOOMごしに、
家族と向かい合ってみると、意外なことに、
こみあげてきたのは、

「嬉しさ」

だった。久々に教育の場に立てて嬉しい。
自分が息づいていくのがわかった。

「ああ! 私は本当に教育の仕事が好きなんだな。」

切なくもあった。

たった1人の生徒と先生、寂しい。
コロナがなければ、いまごろは、広い教室で、
たくさんの受講者の中で、
表現力を生かし伸ばしているはずだ。
家族にも、あの多彩な個性ある仲間たちの中で、
ともに学ぶ楽しさを味わってほしい。

講座の最後、

家族が書き上げた文章を
読み上げてもらって、聞き終わった時、確信した。

「オンラインでも、想いは通じる!」

感動が走った。
半日、受講した家族が書いた文章が、
いま間違いなく私に伝わり、心を揺さぶっている。

何十年と一緒に過ごしている家族でも、
一度も知ることのなかった一面が、
文章表現から手に取るように伝わってきた。

受講者が書いた文章の魅力が、
オンラインでも損なわれず伝わるかどうか、
そこが一番の心配だったが、

この日も、

次の本格的な実験授業でも、

受講者が書いた文章は、
オンラインでとても伝わっていて、
まったく感動が損なわれることはなかった。

もともと文章は、
離れた場にいる人や(空間)、
自分が死んだあとに伝えたい何かや(時間)、
距離ある人に時空を超えて、伝えるために書かれている。

オンラインに文章表現教育は向いている。

そして、私は、進研ゼミの編集者出身、
つまり、「通信教育=遠隔教育」は
鍛えられていて得意なんだ、
という自信も、自分の中によみがえってきた。

こうして私は、再び、自分の生息場所を得た。

私の場合は、望みは、
自分のアイデンティティともいえる仕事場を
取り戻すことで、それ以外のどんなことで気を紛らしても、
元気にはなれなかっただろう。

ひとりでは何もできなかった。

いや、オンライン化できないと思い込んでいた私は、
自分ひとりでは、時代に取り残されてしまっていただろう。

たまたま助けて下さった人々がいた。

早くにオンライン化すると決め、
オンライン教育に長け、その技術があり、
私の授業をオンライン化へと導き、助けてくださった人々。
この出逢いがなかったら、
いまごろどうなっていたか、そう想うとゾッとする。

コロナ禍で私が潰れてしまわなかった理由、
それは、ただ一つ。

たまたま新しい方法へと助けてくれる人がいたことだ。

私を救ったものは、「環境」。

「どんな人々が、どんなことを目指して生きる環境に、
自分の身を置くか?」

それは死活問題なのだと、コロナ禍で思い知った。
自分を生かす環境を積極的に求めて行こう、
自分も他者を活かす環境になりたい、と私は思う。


※9月30日(水)は休載です。

ツイートするFacebookでシェアする


【満員御礼!】この講座は満席になりました。
キャンセル待ちも締め切りました。
たくさんのお申込みありがとうございました。

宣伝会議 表現力養成コース

編集・ライター養成講座20周年記念講座

山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く

山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
大学・高校生から
ビジネスマン・プロのライターから作家まで
幅広い層に、数えきれないほど表現講座を開いてきました。
その原型が生まれたのが、
宣伝会議の編集・ライター養成講座でした。
現在も講師をつとめており、毎回、
受講者に次のような声をいただき手ごたえを感じています。

 

・自分の想いの根幹を探るという経験を
こんなにじっくりと時間をかけてやったことはなかった、
得難い経験でした。

・終了したとき、この講義の意図が
身体にしみわたるように理解できた。
コミュニケ―ションが苦手だったが、
非常に楽しく有意義に受講できた。

・自己開示が苦手だったが、一気に開くことができた。

・現実の出来事を多角的に見て、表現のヒントを探すことは
全ての実務に活かせると思います。

・自分の可能性を信じようと思えた。
自分はつまらない人間ではない。

今回20周年を記念して、ご担当者の、
「この先を行く特別な講座をひらきたい。
表現力をつけたい気持ちはあるものの、
そもそも自分に伝えたいことはあるのか、
と悩む人も多く、その人たちに、
自分を貫くテーマを発見したり、
相手の心に響くように伝えるコミュニケーション力を
つけたりできる場を提供したい。」
という志に共感しました。
2時間×12コマで、
文章表現の本格的な基礎づくりから始まって、
相手に伝わる表現、社会に説得力を持って書く、
さらに、自分にしか書けない主題を発見して書く!
までを責任を持ってサポートします。
ひとりでは気づけない自分の潜在力も、
多彩な仲間とともに引き出しあえるから開花します!
表現を通して他の受講者と心底通じ合える
「感動」の授業です。
心を揺さぶる文章を書きに、ぜひ、来てください。

あなたには書く力がある。

●詳細・お申し込み・お問い合わせは、すべて
こちらのページから
(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

………………………………………………………………………

「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.com までメールでお送りくださいね。
★仕事のご依頼はここに送らないでください。
山田ズーニーtwitter( @zoonieyamada )へお願いします。
または山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をおたずねください。


表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
河出文庫

会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
無職のおばさんと見ることだった。

それまで仕事をがんばって経験を積んできた
他ならぬ私をわかってほしい。

この発想・考え・想い・感性が、
かけがえなく必要とされたい。

理解という名の愛がほしい。

「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。

 

●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=699

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

 

ワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

――3回で一生ものの書く力・話す力が育つ

書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
意志が芽生える。

さらに、

言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。

あなたには表現力がある。

山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



関連コンテンツ

今日のおすすめコンテンツ

「ほぼ日刊イトイ新聞」をフォローする