Lesson1036
家族は私の選ぶ動画にイヤと言わない
2022-04-06
甘えさせてくれる環境は、
感謝すべきだけれど、
でも、例えば、失礼なことをしても、
いいよいいよと
大きな愛情で包み続けてくれる環境に、
甘んじていれば、
人に失礼なことをする習慣を
日々自分の中に刻み付けることにもなる。
…………………
私は、故郷にいる家族と、
オンラインで夕飯を一緒に食べるのを
楽しみにしている。
食後、よく一緒に動画を見る。
ミュージックビデオだったり、
お笑いだったり、
私が面白いと思った短い動画を
オンラインで共有する。
純粋に家族に喜んでほしい気持ちも
もちろんだけど、それよりも、
わがまま。
どんな面白いものも、
ひとりで見るばっかりは時折さみしい。
誰かと一緒に見たい、
感想を言い合いたい、
そういう自分の満足のほうが強い。
当然、自分と家族の好みはちがう。
はずす(家族にとってつまらない)
こともよくある。
それで家族が喜びそうなものを、
頑張って探した時期もあったが、
これがうまくいかない。
私もYouTubeを見るようになって、
まだ歴史が浅く、しょせん、
私が思う家族の好みであって、
それではずすと目もあてられない。
もともと、「自分はそうでもないけど、
家族は喜ぶんだろうな」と選んだものだ。
結果、「家族も喜ばない」、となると
だれも、ちっとも、嬉しくない、やるせない。
それからは、あんまり誰のためとか考えず、
直感で選ぶようになって、
なんだか結局、
わがままにやってきてしまった。
それでも家族はいつも優しい。
一緒に笑ったり、
感想を語り合ったり、
辛抱強くつきあってくれる。
そのことに心底、感謝している。
ある日、
動画を見終わって、顔を見たら、
家族の目が死んでいた。
「ああ、本っ当っにつまらなかったんだなあ。
きょうは、はずしたなー、
ごめんよー」
そのあと考えた。
「逆だったら私は耐えられるか?」
相手の趣味を押しつけられて、
そこに、私だったら
辛抱強くつきあい続けることができるだろうか。
「甘えている。」
私は家族に甘えている。
その分、家族は譲ったり合わせたり
している。
それが「習慣」になると恐ろしい。
人生を変えるものは、
才能より、勉強より、習慣、
と近ごろ私はヒシヒシ実感している。
私は風呂掃除が苦手で、
ずっと汚かった風呂が、
「習慣づける」、ただそれだけで、
いまや排水溝の蓋の裏まで
ピカピカの生活に変わった。
運動も続くようになった。
すると気持ちも明るくなる。
自信もついてくる。
この先、何か弱点が出ても、
そこに良い習慣をつくって、
のりこえればいいんだと。
習慣で、生活も健康も考え方まで変わる。
「甘い習慣」
甘えさせてくれる環境は、
感謝すべきだけれど、
でも、例えば、失礼なことをしても、
いいよいいよと
大きな愛情で包み続けてくれる環境に、
甘んじていれば、
人に失礼なことをする習慣を
日々自分の中に刻み付けることにもなる。
いつも一緒にいる人が、
自分に甘いからとか、厳しいからとか、
目先の反応に左右されない
「自分の美意識」
をしっかり持って日々鍛えていかなければ。
おたがい自由であるように、
おたがい尊重されるように、
公平に、人道的に、楽しく。
家族だからこそ、
おたがいが気持ちよい関係を
つくっていかなければ。
でもどうやって‥‥。
あっちがこっちに合わせるとか、
こっちがあっちに合わせるとか、
我慢、とか、甘え、とか、
そういう一方的ではなくて、
一緒に、やりとりを通して、
いい塩梅をつくっていく。
まず家族の反応をよく見る。
動画がウケた、はずした、で
一喜一憂するんじゃなくて。
表情をちゃんと見て、
感情の機微を受け取って、
感想をよく聴いて。
気持ちがよくわからない時は、
家族だからこそ、率直に聞いてみる。
そう心がけて先日、
いつものように、
食後の動画を選んでいる時に、
あっ、とひらめいて、
「自分的には選ばないけど、
家族は好きかも」
というのを、とっさに入れた。
すると、本当に面白かったようで、
表情、声、感想、楽しさが伝わってきた!
「楽しませてもらってありがとう」
と、あとで御礼まで言われた。
この先も、なにかうまくいかない時、
自分だけで解決、でもなくて、
ましてや相手だけが我慢、でもなくて、
「自分と相手の間に」
コミュニケーションを通して、
一緒にいい塩梅を編み出していく。
失敗を糧に、試行錯誤で、積み重ねて。
それが私と家族の習慣になるといいな
と私は思う。
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ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!
▲『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。
『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
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ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!
『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
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――山田ズーニー。
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『おとなの進路教室。』河出書房新社
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「おとなの小論文教室。」で
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『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)
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『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社
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内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)
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