おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson1044
お酒と自分のつきあい方を選ぶ
5つの問い

“酒は百薬の長”は、うそだった。

なんと2000年も前の中国で、
酒税を集めるために作られたキャッチコピーで、
医学的根拠も何もない。
(垣渕洋一『「そろそろ、お酒やめようかな」と
思ったときに読む本』より)

がーん! 私はショックで、

「自分のお酒に対する認識は、
もう古いんじゃないか?」

これが、自分とお酒を見直す
きっかけになった1番目の問いだ。

脳梗塞で病床にある父に、そうなる前に、
「健康のために少しお酒をひかえて」と、
説得力を持って伝えられなかった後悔が動機。

医療にはド素人の私が、
それでも必死に情報をかきあつめ、
お酒について知ろうとしている。
最初は、家族の健康のためだった。

私は近年、自分では、
ほどほどの見本のような良い飲み方をしている、
つもりでいた。

当時、私は、ビール1缶か多くて2缶(350ml)まで。
家族と夕飯を食べる間だけの、ほんの晩酌。
休肝日も週1〜2日あった。

酔うまで飲むことがない、
次の日気持ち悪くなることもない、
この楽しいお酒のどこが問題なんだ、思っていた。

ところが、時代は変わっていた。

女性のビール2缶はとっくに適量を超えてる。

さらに、量より頻度と知らなかった。

少量でも、週3〜4日以上毎週飲むのは、
「習慣飲酒」と言ってリスキーなのだ。

アメリカであえてお酒を飲まない生き方を
選択するソーバーキュリアスSober Curious
というムーブメントが起こっており、
シラフは世界的なトレンドであることも知らなかった。

お酒を適度に楽しく飲むのは体に良いという
私の認識は、時代遅れ、

酒は百薬の長ではない、少量でも体に害だ。

「自分とお酒のつきあい方、
いつまでに、どうするか?」

これが2番目の問いだ。

とりあえず私は、今年の誕生日までに、
結婚式や忘年会など機会がある時しか飲まない
「機会飲酒」に変えていこう、と決めた。

そこまでの移行措置で、
頻度や量の上限を決めてみたが、
結局、知れば知るほど、お酒から心が離れ、
やめたわけではないが、

ほぼ飲まない人生になっている。

ただそんな私でも、いまだに、
「ビールが飲みたい」と思う時がある。

でも、そんな時かならずこんな疑念がよぎる。

「単に喉が渇いて水分がほしいんじゃないか」

「冷たく冷やした飲み物がほしいんじゃないか」

「タンサンが飲みたいんじゃないか」

実際そのとおりで、
よく冷やした水なり炭酸水なりを飲むと、
おいしくて、すっかり満たされる。

このタイミングで3番目の問い、

「ここで、アルコールを飲む意味は?」

と自分に問うと、まったくない。

単に渇いた喉・体・気持ちを潤す水分が
欲しかっただけだ、と気づく。

じゃあ、自分はこれまでの人生、
何を求めて、わざわざお酒を飲んでいたのか、
わからなくて、ポカンとする。

それでも、

機会でおつきあいとか、
少しだけお酒を飲もうかと思うこともある。

そんな時、私には、
にわか知識であっても「アセトアルデヒド」
という言葉が浮かぶようになった。

体に入ったアルコールを分解していく過程で、
アセトアルデヒドという物質が発生する。

これが有害物質、いわゆる「カラダに毒」だ。

肝臓さんにも通常の仕事そっちのけで、
よけいな残業をお願いすることになる。
その分、疲れるし、睡眠の質は下がるし、
内蔵の病気や発がんのリスク、脳への悪影響があるし、
老化は進むし、体にいいことは一つもない。

「お酒は少量でも体に有害だけど、
それでも飲む?」

これが4番目の問い。

私は書く人間なので、
お酒のとくに脳への悪影響が怖い。

何より次の日、クリアな思考でむかえる朝、
その気持ちよさを思うと、
なかなか飲む気になれない。

それでも、この先、

「楽しくなりたいからお酒を飲みたい」と
思うことがあるだろう。

でも、そんなとき、たぶん私は、
にわか知識でも、「ドーパミン」という言葉が
浮かんでしまうだろう。

お酒によって、脳内に出される「快楽物質」、
それがドーパミンだ。

飲めば快楽が手に入る、一見、
ラクでいいように思える、しかし、
その快楽ゆえに、依存になったり、
酒量が増えたり、恐ろしくもある。

私は長いこと、お酒の力を誤解していたようだ。
お酒を飲むと、リラックスできて、
素の自分に戻れるんだと思っていた。
だから、人々と素のやりとりができて、
楽しい時間が生まれるんだと。

けど、そうじゃない。

ヒトが、酒の力を借りて楽しむんじゃない。

酒が、ヒトの脳に作用して、快楽を起こしてるんだ。

本物の楽しさじゃなくて、粉飾の楽しさ。

私は、ここが最もひっかかった。
たぶんここが、お酒から急速に心が離れてしまった
理由かな、と思う。

そこで、5つの問いのラスト、

「自分は、お酒に快楽物質を
出してもらって楽しくなりたいのか?
それとも本物の楽しい時間を
自分たちでつくりたいのか?」

私は、自分のクリアな思考と感覚で、
場にいる人と一緒に、
楽しいひとときをつくりたいのだ。

だから、これから、
飲みニケーションに頼らない、
温かで楽しいコミュニケーションの方法を
見つけていかないとな、と思う。

一方で、

分別のある大人が、
健康上のリスクを知って、引き受けて、
それでも酒量を守って飲む、
という選択をしている際には、

それが自分であれ、他人であれ、

気持ちよく飲めるようにしてあげたい。

リスクを知れば知るほど、
私は、よけい強くそう思うようになった。

素晴らしいお酒を造っている人々は、
飲む人が、健康を害したり、依存になったりするのを、
決して望まないはずだ。

悲しむはずだ。

だから、健康を守って、

その上で、お酒との多様なつきあい方が
尊重される世の中であってほしい。

「これからの人生を生きる上で、
あなたは、どんな、
お酒とのつきあい方を選択しますか?」

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山田ズーニーの本を出している出版社に
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ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
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人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日〜)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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