Lesson1037
はじめられる・つづく! スイッチ
2022-04-13
怠け者の私は、
「やらなきゃ」と思えば思うほど、
面倒くさくなってしまう。
朝起きるにも、
「起きなきゃ」と思うと、
「洗濯もしなきゃ」、
「メールの返事もしなきゃ」と、
横着なため一度に何もかも済まそうと、
「起き上がったついでに枕カバーはずして、
洗濯機まで持っていって」、
「そのついでに台所のふきんも持っていって」、
「その途中でパソコンの電源入れて」、と、
頭でシュミレーションする。
すると、起き抜けにやることが押し寄せて、
起きるハードルがグンとあがり、
「たいぎぃー」
(岡山弁で面倒くさい・だるい・怠けたい)
になる。それでスマホにかまけたり、
ぐだぐだ起き出せずに二度寝したり。
「やろうと思ったらサッとやれるようになりたい」
そんなふうに思ってきた。
それが近ごろ、
自分なりのささやかなコツを
編み出したようなのだ。
キーワードは、「軽くする」。
………………………………
作冬、
「風呂から出たら換気扇を回す。」
たったそれだけが、
つい忘れてできない、習慣づかない、
ことがあった。
理由は、血流をよくしようと
風呂時間を充実させるようになって、
それまでと勝手が違ってきたためだ。
防水スピーカー持ち込んで音楽聴いたり、
電池式キャンドル持ち込んで雰囲気だしたり、
すると、
風呂から出たらやることが一気に増えた。
冬場、洗面所は寒く、凍えながら、
防水スピーカーを拭いたり、
キャンドルを消して元の場所に戻したり、
めんどくさがりなので、何もかも
いっぺんにやろうとして、
風呂の換気扇を回すのを忘れる。
「風呂から出たら換気扇を回さなきゃ。」
と自分に言い聞かせれば言い聞かすほど、
面倒に思え、無自覚に後回しにして、忘れる。
そんな折、
テレビドラマの「ポチッ、と押して」
というセリフを思い出した。
で、試しに、
「風呂出たら、ポチッと。」
と自分に言い聞かせてみた。
すると、同じことをするのに負担感がちがう。
「風呂から出たら風呂の換気扇を回せ。」
こう言うと、なんだか労働するイメージ、
自分が換気扇をくるくる回すかのような
負担感がある。でも、
「風呂出たら、ポチッと。」
これだと、軽い。
べつに換気扇を回せと言ってるわけじゃない、
ただこの水色のボタン、これをポチッと、
それだけなんだ、と言われているよう。
以来、風呂から出たら、ポチッと。
出たら、ポチッと。
苦じゃなくできて、つづいていった。
「行動指示は、できるだけ、軽く。」
もちろん、やる意味・やりがいを、重く、
受けとめることで、やる気や責任感が増し、
できる・つづく、こともあるから、
場合によるのだけど。
例えば、
「風呂をわかしなさい。」
この指示は、私にとって重い。
なぜなら私は小さい頃、借家にいて、
風呂は薪でわかしていたのだ。
当番の日は、お姉ちゃんとふたり、
マッチと新聞紙を用意して、外に出て、薪をくべて。
その記憶がイメージにこびりつくから、
「風呂をわかす」は、面倒に思えてしまう。
でも、
「自動ボタンをポチッと。」
こう言いかえれば、ずっと軽く感じる。
同様に、
「今日、夜8時になったら、
おかあさんに電話をしなきゃ。」
そう思うと、親への恩やら愛情やら心配やらが、
わいてきて、つい重く、億劫に、なりがちだ。
でも、こう言い換えれば軽い。
「8時になったら、ココ押す。」
なに、電話をかけろとか、会話をしろとか、
言ってるわけじゃない、
電話番号自動登録してある1なら1、
ただ、ここ、押すだけでいいと。
「夕方5時になったら30分片づけをやれ。」
これも、そう思うと億劫だけど、
ただあらかじめ30分にセットしてあるタイマーの、
スタートボタンを押すだけだ、と指示を軽くする。
私の場合、緑色のタイマーなので、
「5時になったら、緑の、ココ押す。」
人差し指一本でできる。負担感もない。
押したら押したで、動き出すタイマーに、
つい自分も動き始めてしまう。
行動は、立ち上がりが大変で、
立ち上がりさえなんとかなれば、後はなんとかなる。
そこでいまは、朝起きるとき、
「起きなきゃ」、
「起き上がったついでに枕カバーを
はずして洗濯機まで持っていかなきゃ」、
「そのついでに台所で、ふきんも持って」、
「その手でパソコンの電源入れて‥‥」、
と起きることをどんどん重く複雑には、しない。
いまはたった3文字、自分に指示するだけだ。
「立とう。」
べつに起きろと言ってるわけじゃない、
ただ、立つだけでいいから、
嫌ならそのあと何もしなくていいから、
くらいの気持ちで。すると、
立つだけなら、できる。
立ってしまえば、自然と動き出せる。
とにかく、「立とう。」
このスイッチ1つで、他のシーンでも、
わりとサッと動き始められるようになった。
私の場合、横着に負けそうな時は、
たいてい、座ってるか、寝そべってるか。
立てばなんとかなることが多い。
やらなきゃ、でも、面倒くささに負けそう。
そんな時、
行動の立ち上げの部分を、
できるだけ単純化し、できるだけ軽くして、
自分に指示してみる。それが、
「はじめられる・つづく!スイッチ」
を押す、と私は思う。
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私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
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大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。
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「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!
『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
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「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
――山田ズーニー。
▲『人とつながる表現教室。』河出書房新社
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文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
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『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
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自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!
▲文庫版でました!
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『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)
ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/
おとなになっても進路に悩む。
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この番組では、
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もがいている人の、現在進行形の悩み、
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聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。
「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
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『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
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自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!
『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
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『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
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内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)
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