とんでもない、原丈人さん。 次の時代のヒントは、この人のなかに?  第3部 「XVD」と「吉本隆明」を組み合わせ、 「スピルリナ計画」の難題を解決し、 「世界一の鉄道博物館」を建てるという話
いま、みんなが「いちばん話を聞きたい人」の ひとりなのではないでしょうか。  アメリカからはじまった金融危機以降、 あらためて、原丈人さんのことばとアイディアに 多くの人の注目が集まっているようです。  ついに始まるバングラデシュの教育・医療事業、 アフリカのスピルリナ計画が突き当たっているカベ、 この対談中に持ち上がった 吉本隆明さんとのコラボレーション企画‥‥。  今回うかがった「とんでもない話」も、 あいかわらずのスケールで、 国境とかジャンルとか常識なんかを かるがると飛び越えていきます。 どの話もやはり、希望と決意に満ちています。  対談の最後には、ずっと構想を練ってきた もうひとつの「壮大なプロジェクト」についても、 嬉しそうに、語ってくれました。  それでは、最終幕・第3部のスタートです。 全7回の痛快なお話、どうぞお楽しみください。

最終回 原鉄道模型博物館
糸井さん、これです、これ。
んーと‥‥なんの図面ですか?
こんどね、JR横浜駅の正面に
美術館みたいな模型の博物館をつくるんです。
それはまた、どういった‥‥?
え? ‥‥ああ、鉄道模型の。
うわ、そっちでしたか!
今度はなにかと思ったら‥‥(笑)。
いいでしょう?
そこに「XVD」を?
そう、その博物館のなかを走らせる
鉄道模型の運転台に、
小型で高性能のカメラを仕込んでね‥‥。
‥‥わかった(笑)。
その模型が走ってる景色を
「XVD」の高精細な映像で見せたら‥‥。
「まるで、自分で鉄道を運転してるような
 気分になれる!」‥‥んですね?(笑)
おもしろそうでしょう?
いやぁ、最後の最後まで、まいった(笑)。
あはははは(笑)。
でも、とんでもない鉄道模型の話から始まった
今回の連載、
最後はやっぱり、鉄道模型に戻ってきましたね。
図らずも、そうなりましたね。
そして、原さんのことだから、
それはすごい博物館をつくるんでしょうね。
この手のものでは、最大級。
最大‥‥というのは、日本で?
いや、世界で。世界一デカい。
それをつくる? うわー‥‥。
老若男女、どんな人が遊びにきても
楽しめる博物館にしようと思ってます。
原さん、ほんとに楽しそう(笑)。
と同時に、
「世界でいちばん儲かる博物館」にする。

やっぱりそこは、ブレないんですね。

バングラデシュでも、スピルリナでも、
世界一の鉄道博物館でも。

完成は、2010年くらいかな、
もう、設立のための準備チームも
結成してるんです。

模型のレールをつくる専門家、
模型の修理をする専門家、
模型の窓ガラスを磨く専門家‥‥。

えーすいません、
「窓ガラスを磨く」のにも専門家が。
そう。
いろんなプロがいるもんですね‥‥。
この2〜3年、ちょこちょこ時間を見つけては
そういう専門家にお会いして、
われわれの仲間に入っていただいているんです。
つくづく役に立ちますねぇ、
原さんのその発掘技術は。
今、いいなと思ってるエンジニアは
原子力発電所の
制御システムに携わっていた人でね‥‥。
はぁ‥‥原発の。

うん、その人がね、
鉄道の信号機の制御にもってこいのアイデアを
持っておられるんですよ。

当然、鉄道の専門家じゃないんですけれど、
いま、もうれつに説得中。

やっぱり、
原さんって徹底的に考古学者なんですね。

そこが出発点であり、
最終的に戻ってくる場所でもあるというか。

ええ、そうなんでしょうね。
そして、それとおなじくらい、
「鉄道模型の人」でもあって。
そっちのほうは、
わたしの父から受け継いだものです。

やってらっしゃることが多岐にわたるから
ものすごく複雑に見えて
ややもすれば
わかりにくくなってしまいがちなんだけど‥‥。

幹の部分は「レールを敷く、考古学者」だ。

うん。
それが、何十もの肩書きをもつ
ベンチャーキャピタリストの正体だった‥‥のか。
‥‥そうそう、それでね、
今年のゴールデンウィークを利用して、
設立準備チームのみんなで
本場ヨーロッパの
鉄道博物館を、めぐってきたんですよ。
ほう。

スイス・ルツェルンの国立鉄道博物館、
フランス・ミュールーズの国立鉄道博物館、
ハンブルグの市立歴史鉄道模型博物館、
ブダペストの国立鉄道博物館、
オランダのマドローダム、
あとはイギリスにも行ったし‥‥。

あれは、ほんとに、楽しかったなぁ。

原さんもいっしょに?
だって、わたしがガイド役ですからね。
あ、そうかそうか。
いちばん先頭で旗振ってる人だ(笑)。
運転、通訳、契約や提携の交渉役、
荷物持ち、車椅子を押す役、
レストランの注文、
写真撮影係りなど‥‥何でもしますよ。

どれも楽しいんです。
原さんが忙しくて行けない場合は
お父さんが引率していくんですかね?(笑)
父もいっしょでしたから。
あはははは‥‥やっぱり(笑)。

一人で行くこともよくありますけどね。

でも、今回の場合は
はじめ、父は行く予定じゃなかったんだけど、
「ヨーロッパの鉄道博物館をめぐるというのに
 オレを置いていく気か!」って。

お父さん‥‥さすが(笑)。
で、ヨーロッパ各国の主要な博物館を
ひととおり見終わって、これから帰るというのに、
「次はハンガリーの地下鉄を見る!
 ハンガリーに行くぞ!」って
とつぜん言いだして、こまりましてねぇ。

でも、わたしは専属ガイドとして、
親父のために
ハンガリー行きの手配をしました。

なんと2日で3つもの鉄道博物館を、
完全に回ることができまして‥‥。
いやあ‥‥最後まで、最高!(笑)

<終わります>

計3回にわけておとどけしてきた
特集「とんでもない、原丈人さん。」は
この第3部にて、
いったん、終了とさせていただきます。

もちろん今後も、
原さんのお話をお伺いできる機会があったら、
そのつど、お伝えしていきますね。

ご愛読、ありがとうございました。

2008-10-28-TUE



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