失礼ですけど、あなたは何歳ですか?
伊丹十三さんを知っている世代ですか?
三十代、四十代ならともかく、二十代だと、
伊丹さんのことをよく知らない人も多いみたい。
じゃあ、伊丹さんと親しかった、
南伸坊さんにいろいろきいてみよっか?
比較的若めの女性乗組員、
ゆーないと、シブヤ、みちこの3人が、
女子A、B、Cとして参加しました。
第1回 おもしろいと思ったことだけ |
|
|
第2回 「最初の人」になる |
|
|
第3回 制約を簡単に外していく |
|
|
第4回 ちゃんと自分で咀嚼できるもの |
|
|
第5回 伊丹さんのお父さん |
|
|
第6回 いまでいうと誰? |
|
伊丹さんは お酒、飲まれる方だったんですか。 |
|
うん。お酒はたくさん。 | |
へぇー。 | |
いっしょに飲まれたことも? | |
あんまりいっしょに飲んだことはないんですよ。 ぼくといるときは、どちらかというと 打ち合わせみたいなことが多くて、 そういうときにお酒を飲むことがあっても、 のんびりと話すような感じでしたね。 |
|
ふーん。 | |
妙に覚えているのは、 伊丹さんといっしょに 本をつくったことがあってね。 伊丹さんが翻訳をして、 ぼくがイラストをつけた。 そのとき、ぼくの事務所に来て話してたんだけど、 当時、マレンコの革のソファがあったんですね。 で、そのソファは、一時期流行ったんだけど、 こう、革がすごくゆったりしてて、 こう、ここのところの革が余ってるんです。 |
|
肘掛け的なところが。 | |
そう、肘掛けのところが。 で、伊丹さんは、こう、話しながらね、 その余った革を、ずうっと、こう‥‥。 |
|
さわってる(笑)。 | |
(笑) | |
ここの革のところを、いじってる。 それが、おもしろいなぁと思って(笑)。 ときどき、こう、たたんでみたりとかね。 |
|
(笑) | |
はっはっはっはっ、なんだろうねぇ。 妙に思い出すんですよ、それ。 |
|
なんか、想像できておかしい(笑)。 | |
うん(笑)。 | |
そういう話って、 どの本にも載ってないですね。 |
|
はははははは。 そういう話は、なにかあるかなぁ。 あの、なにかのときに、会ってね、 ちょっとお酒を飲んだときに、伊丹さん、 「毒蝮三太夫っておもしろいよね」って 言ってたんですよね。 |
|
(笑) | |
毒蝮三太夫。 「あの人はおもしろい」って伊丹さんが。 はっはっはっ。 あの人ってさ、芸風として、 ふつうの素人のオバサンとかにマイク向けて 「どうだ、元気かばばぁ」みたいなことを 言うじゃないですか。 あれは、伊丹さんにはできないですよね。 いっぺんに場を明るくしちゃうような、 そういうところを、たぶん、 おもしろく感じたんじゃないかなぁ。 |
|
ああー。 | |
なんだか、本気で感心してたみたいだった。 | |
おもしろいっていうと失礼ですけど、 おもしろいですねー。 |
|
うん。毒蝮ですからねぇ。 | |
(笑) | |
伊丹さんって、 いまで言うと、誰っぽい人なんですか。 |
|
ああ、うーん‥‥。 | |
いろんな面をお持ちですから、 誰かに置き換えるのが 難しいとは思うんですけど。 |
|
誰だろうなぁ‥‥。 あの、ぼくはね、「伊丹十三賞」の 最初の受賞者を選ぶときに、 糸井さんが推薦のリストに入ってるの見てね、 ああ、なるほどなーって思った。 「あ、糸井さん、ぴったりじゃん」って 素直に思ったんですね。 それは、なんだろう、伊丹さんも糸井さんも、 いろんなことに興味を持って、 いろんなことをやってみて、 それで、案外できちゃうっていうか。 |
|
あーー。 | |
いろいろなことに興味持っても、 ふつうは、そんなにできないよね。 だから、興味とか好奇心だけじゃなくて、 伊丹さんも、糸井さんも、いろんなことに、 もともと可能性を持っている。 そういうふうに考えると、 糸井さんって、伊丹さんと すごく似てるんじゃないかと思うんですよ。 |
|
そっかー。 | |
言われてみれば、共通点も多いような。 | |
そんな気もします。 | |
だから、授賞式のときに言いましたけど、 糸井さんが第一回の受賞者で よかったなぁっていうかね。 伊丹賞にとってもよかった、 っていうふうに思ったんですよね。 あ、そういえば、 どうでもいい話をもうひとつ思い出しました。 糸井さんがはじめて伊丹さんに 会ったときだと思うんだけど、 「伊丹十三って、顔、でかいよー」って。 オレに‥‥だよ? |
|
(笑) | |
(伸坊さんによる伊丹さんの話は今回で終わりです。 お読みいただき、どうもありがとうございました) |
|
2009-08-31-MON |