もくじ
第0回プロローグ 行政文書保全指導員になるまで。 2016-06-28-Tue
第1回「指導・助言」とは、できるように考えること。 2016-06-28-Tue
第2回無理をしないかたちで、どうやるか。 2016-06-28-Tue
第3回今を未来に伝えるために。 2016-06-28-Tue
第4回地域の資料を守る仲間をふやしたい。 2016-06-28-Tue

ことばに込められた思いをどのように残していくのかに関心があります。
多くの人に伝わる表現方法をまなび、
自分の伝え方をみつめなおしたく、塾に参加しました。

防塵マスクや刷毛などの、資料レスキューグッズは、
すぐ手の届くところに、まとまっています。

未来に伝えるために。
地域資料保全に挑む。

担当・uno

第2回 無理をしないかたちで、どうやるか。

現状では行うのはむずかしいことを、
どうしたらできるようになるかを考え、
みんなでできるように変換し、行動する。
常総市行政文書保全指導員の林さんは、
そのようにして復旧活動を行っています。

話は常総市での活動からややそれますが、
みんなでできるように行動する、で
印象深かったのは、数年前のお買い物。
東日本大震災の津波で被災した、
行政文書の復旧作業を行うために岩手県へ向かう途中、
一緒に100円ショップに寄ったことがあります。
その時に林さんは、クリーニングクロスや
スポンジ、刷毛、はさみなど約60品をカゴに入れ、
「これくらいあれば、何かが足りなくてもどうにかなる」と
言いながらレジへ向かっていました
(ちなみに、10人が作業できるくらいの量でした)。

被災した資料を復旧するために必要なものは、
被災した資料の状況や、かけられる予算、
作業の段階などによって変わりますが、
保存・修復の専門家が使うような道具ばかりが
求められているわけではありません。

ちなみに、話を聞く前に、
ページを開く作業を行っていたのですが、
そのときに使用していた道具が、こちら。

「災害時に対応するにあたって、
 汎用性のあるものを使うのは基本になると思うのね。
 100円ショップは、同一規格のものを、複数のお店で
 手に入れようと思った時に手にいれやすいよね。」

たしかに、ほかの人が持っているものを借りて、
便利だったから、後で買い足したという経験があります!

「あと、レスキューとかの活動に行った時には、
 基本的には参加者それぞれが、その活動に
 必要だと思うものを持ってきているから、
 同じものをもってきているかわからない。
 そういう場合、その後、自分が活動できないならば、
 現場で必要なものは置いて帰って、使ってもらえる。
 限られたお給料の中で生活して、ボランティアをする時に、
 1つ数千円の道具を置いていくのはむずかしいけれども、
 1個100円のものならば、1セット置いていってもいい。」
林さんが岩手で使うために揃えた道具は、
常総市に置かれて、適宜使われています。

「必要なものは、お金を掛けられるのならば、
 揃えてもらうけれども、だれでも揃えられるものを
 揃えるのも大切なことだと思う」。

現在、常総市の作業場には、
作業のために市が購入した購入した資材などをはじめ、
専門機関などから提供された道具類が配置されています。

無理をしないかたちで、どうやるか。
その考え方は、関東・東北豪雨後に培った意識でも、
また、被災資料に向き合った経験が原点でもなく
(ちなみに、災害時の資料保全に関わった最初は、
阪神・淡路大震災後に、淡路島で資料保全活動の
広報を行ったことだそうです)、
日々の資料との向き合い方がそうさせているようです。

(つづきます)

第3回 今を未来に伝えるために。