じぶんの活動には、2種類ある。
1つは、常総市などで行っている、
被災した資料を復旧する作業、
もう1つは、日々の中で、
資料を伝えていく活動、と、
林さんは言います。
被災した資料を復旧する活動は、
21年前の阪神・淡路大震災以降に関わりだし、
東日本大震災後の一番忙しかった時は、
自宅と岩手を月2回往復していたとのこと。
その間をぬって、
自治体立の資料館で古文書の整理を行ったり、
古文書サークルなどでの講師をされたりしています。
古文書サークルの講師は、長いところでは、
30年以上行っているところもあるそうです。
具体的な活動内容は、ちがいはありますが、
活動の根っこは同じなのだと、
お話を聞いていて思いました。
それは、
「いつまでたっても、同じものが見られるのが一番いい」
ということです。
実際には、資料が作成された目的によって、
公開できる範囲を限らざるをえなかったり、
とても劣化している資料は、デジタル化を行って、
デジタルデータで見ていかざるをえなかったりします。
そのような個々の事情はあるにせよ、
「資料を多くの人に見てもらいたい、
知ってもらいたい。
その、多くの人というのは、
今の人だけではなく、将来の人もふくんでいます。」
そういう思いがあって、
そのためにできることをしていることが、
2種類の活動として示されているのでしょう。
活動を通して、やりたいことは、
「今を未来に伝えること」。
その内容を、こう説明してくださいました。
「『今』を伝えるってどういうことなのか。
今の写真を撮ったりして伝えることを
どうしても思い浮かべるけれども、
そうじゃなくて、
今伝わってきている過去を含めて、
将来に伝えていくことをしたい。
過去の人が伝えてきていることが、
かたちになって残っているものが、たくさんあるよね。
そういったものが未来に伝わらずに、今、消えてしまう。
災害はその一例だよね。
資料が被災することで、ごみとして捨てられてしまう。
少しでもそういうことがないようにするために、
被災した資料をそれ以上悪くならないようにして、
消えてしまうことがないようにしたい。」
それ以上悪くならないようにした後、
どうするかは、資料を伝える人の考え方によるけれどもね。
と言う林さんは、
「今を未来に伝えるために」と折にふれて発信しています。
(つづきます)