インタビュー前編では、小学生〜中学生のころの話、
音楽を作るきっかけ、初めて作ったCDの話など、
今の活動につながる背景について話を伺いました。
こどもの頃のはなし
生まれも育ちも大阪で、現在も活動の拠点は
関西に置いているSeiho。その影響もあってか、
話し方がとても気さくでオープンな雰囲気があります。
そしてファッションも作る音楽も独特な印象がありますが、
そもそも子供の頃はどんな風に過ごし、
音楽には何がきっかけで目覚めたのでしょうか?
「今とほんまに変わらないんですよ」と
小学生~中学生当時のことを振り返ります。
ーーー小学生の時はどんな子だったんですか?
- Seiho
- 小学生のときは、文化系でも体育会系でも
ヤンキーでもなく、どこにも属してない存在でした。
でも一匹狼みたいな感じでもなく、面白い人、
みたいな立ち位置でみんなそれぞれと遊んでましたね。 -
だから家でゲームしてる友達とも遊ぶし、
外でドッチボールする友達の所にも週に1回ずつ顔を出す、
みたいな感じで。
ただ、公園で遊ぶのだけはほんまに嫌でした…。
ーーーえっそれはどうして?
- Seiho
- だって公園って死の匂いしかしないじゃないですか?
公園って絶対ケガするから。
なのでブランコとか滑り台とか、
今も見るだけでめっちゃ怖いです。
ーーーそうなんですね。どんな遊びが好きでしたか?
- Seiho
- 僕、カードや自分のゲームを作るのが好きで。
当時は流行ってたバトルカードみたいなのを自分で作って、
友達とルールを決めて遊ぶ、みたいなのが好きでしたねぇ。
ーーー1人で遊ぶよりは友達と遊ぶことが多かった?
- Seiho
- 全然そうですね!
家がお寿司屋さんで商店街の中にあって、
友達もみんな商店街の中にいたこともあって、
ずっと友達と遊んでましたね。
一人で遊ぶことはあんまりなかったです。
ーーー学校ではどんな風に過ごしてました?
- Seiho
- なんというか小器用な方だったんで、
運動も勉強もめっちゃ良い訳ではないけど
悪くもない感じで。そつなく全部こなしてましたね。
あっでも音楽と美術の成績だけはめっちゃ良かったです!
ーーーへぇ~!それは自分でも好きだったんですか?
- Seiho
- そうですね。もともと音楽は、
親の趣味でジャズとかディスコミュージックが家で
よく流れてたので聴いてた環境がありました。
そして小学4年生のときにギターを買ってもらったことが
音楽にはまるきっかけかもしれないですね。
小学6年生の合唱コンクールで
ギターを弾いたの覚えてるなぁ。
ーーーなるほど。音楽は友達とも聞いたりしてました?
- Seiho
- いや、友達とはゲームとか外で遊ぶもので、
遊びの中に音楽を聴くってことはなかったですね。
だから音楽を聴くということは、
夜ごはんを食べるときに家族みんなで聴いたり、
日曜の朝に掃除するときにCDかけるとか、
そういった親とのコミュニケーションツールでしたね。
ーーーそうなんですね。習い事は何かしてましたか?
- Seiho
- 習い事はあんまりしてなくて、
手品とギターぐらいでしたね。手品は好きで、
毎週先生のいる梅田まで電車で通ってました。
ーーーなるほど、手品の影響もあって
カード作りが好きだったのかもしれませんね。
ギターはどれ位続けてたんですか?
- Seiho
- ギターは中学生になってからも続けてて、
先輩に誘われてバンドも始めました。
他にも中学校では吹奏楽部に入って、
トロンボーンもやってました。 - そしてギターは楽器屋の張り紙やネットの
バンド募集をみて学校以外の人ともバンドを組んだり、
トロンボーンも地域のジャズバンドに入って、
そこでも演奏したりして、
社交的に色んな人と演奏してましたね。
なのでやってることは今とほんまに変わらない感じですね。
平面と立体の音楽
ジャズが流れる環境で育ち、小学生の時からギターを習い、
中学生ではトロンボーンの演奏も始めます。
しかし、Seihoの作る音楽といえば電子音と
自然の音の組み合わせが印象的です。
音楽制作にはどの様な背景があったのでしょうか?
ーーー最初にパソコン持ったのはいつですか?
- Seiho
- Windows95の時なんで8歳の時ですね。
最初はポストペットで遊んだり、
たまごっちもパソコンでやってました。
そして98年以降はインターネットも使いだしたので、
中学生の時から海外の人と
音楽の情報交換をしたりしてました。 - 他にも、当時は着メロをネットで発表する場もあって、
パソコンで譜面を引いて
着メロを自分で作って投稿したりもしてました。
ーーー音楽は最初から自分で作ってたんですか?
- Seiho
- そうですね。中学時代の着メロを経て、
高校の時からは自分で曲を作って、デザインも自分でして、
それをCD-ROMに焼いたりするのがめっちゃ好きでした。
ーーー1番最初に作ったCDは?
- Seiho
- え~と、色々CD-ROMは作ってたから難しいですねぇ…
まぁでも、きちんと形にしたのは20歳のときに作った
「サカサマノモリ」がそうかもしれないです。
これは20歳の成人祝いのお金を
全部プレス代にして作ったCDで、
曲もフルアルバム作って、
大学の友人達にジャケットの素材をもらって、
デザインも、プレス業者に行くのも全部自分でして。 - そうして自分の作ったCDが自宅に大量に送られてくる、
という経験を20歳の時にしましたね。
ーーー毎月作ってたmonthly Seihoはその後ですか?
- Seiho
- あれは「サカサマノモリ」の後の、大学3年生の時ですね。
毎月1枚CDを作って大学の先輩に配ったりしてました。
学生当時はお金がなくて大変だったので、
飲み会代を自分のCDを売って稼いだりしてました(笑) - そしてそれを4月からしてたら、
8月には大学にCDを置いてもいいことになり、
大学内の丸善に自分のCDを卸してました。
今でも3枚くらい在庫があるらしいです…(笑)
ーーーもともと音楽はギターをやっていたり、
トロンボーンでジャズを演奏したりしてたと思うのですが、
どうして電子音楽を作る様になったんでしょうか?
- Seiho
- 確かに、作る曲は高校卒業位のタイミングで
完全に電子音楽に振り切ってましたね。
そもそも電子音楽を聞き出したのは、ミニマルテクノや
サイケトランスに詳しい友達の影響がありました。 - そして高1か高2のときに
青木孝允さんと半野義弘さんの音楽を聴いた時に、
自分の中ですごい衝撃があったんですよ。
ーーーそれはどんな衝撃だったんでしょう?
- Seiho
- 自分と同じ人がいる!という衝撃ですね。
基本的に、僕は音楽を聞いたら映像が見えるんです。
って言うと大それて聞こえるかもしれないですけど、
視覚情報が体感できる、って感じです。 - そしてほとんどの音楽って
平面的でストーリーがあるんですよ。
特に名曲と言われる音楽は、
絵画をみてる様な感じなんですよね。
でも自分で作る音楽はそういうのが全然なくって。
ーーー平面じゃない?
- Seiho
- そう、平面じゃないんです。
自分の作る音楽は、空間にセットを置いて
カメラを置く位置を自分が設定してる、
みたいな感覚で立体的に見えるんです。
だから作っても作っても、
平面的でストーリーのある音楽になれへんなぁ…って。
あれってどうやって作るんやろう?
ってずっとわからなくて。 - でもある程度電子音楽を聴いていったときに、
僕と同じ音楽の人がいる! 僕と同じで、
空間に物を置いて撮影してるだけの人もいる!
という発見があって。 -
それに気づいて改めて色々音楽を聴き比べたときに、
空間に物を置いてる音楽の方が僕は好きやな、
ってわかったんです。
じゃあこれは間違ってないんや、
こーゆう撮り方も正しいんや、
って思えたことがあって、今もそれはしてますね。 - しかも最近は、Sugar’s Campaignでバンドをやりだしたり、
ボーカルのプロデュースなどもするようにもなって、
あ~こうやって置いたら平面になるんや、
こーゆう色を重ねたらストーリーっぽく展開するんやぁ、
ってようやく平面の作り方もわかってきたんですよね。
ーーーなるほど。じゃあ今後、
歌詞を書く可能性なんかはありますか?
- Seiho
- 歌詞かぁ。シュガーズの方では歌詞も書いてるので、
ソロの方でも書こうと思えば書けるかなぁ…。 - でも、自分の音楽に言葉が必要になったら
ありえるかもしれないけど、
現状は言葉の方が邪魔することが多いから、
言葉を削ってることの方が多いですね。
もし言葉にするんだったら、言葉だけにしたいかも。
ーーー詩にしたり?
- Seiho
- そうそう、それを朗読にしてもいいし。
自分のやってる音楽を言葉で表現したらどうなるか?
という実験は一回してみたいですね。
photo:Aki Ikejiri
ーーー自分の音楽は聞きますか?
- Seiho
- 自分の音楽は高校~大学位まではめっちゃ聞いてました。
なぜなら、自分の一番聞きたい音楽を
自分で作ってたわけですから。
でも最近はあんまり聞いてないんですよねぇ…。 -
思うに、前は自分が言いたいこと・
伝えたいことが割とはっきりしてて、
それをどう音楽に沿わすか、
ってこともコントロールできてたんです。 - でも2013年以降は、
コントロールすること自体が
面白くなくなってしまったのと、
伝えたいことも、
形はあるのに言葉で言い表せないものになってきて。 - そうすると、自分で作る音楽が
自分より先にいってしまったんですよ。
だから向き合い方が以前とは大きく変わってきました。 - でも父や僕を昔から知ってる人には、最近の曲も
「高校の時から変わってない、一緒やん!」
って言われるんですけど(笑)
2013年以降は変化が起こり、
音楽が自分よりも先にいってしまった。
この話は後編へと続きます。