たのしげな人たち
担当・山田真寛
第4回 何を残すか
- まーさー
- ふーみーは絵描いてて、
港のことでどんなことが楽しい?
楽しい絵と楽しくない絵とかある? - ふーみー
- 基本的に描くのはすごい好きやから、
楽しくない絵っていうのは基本ないんやけど、
港の場合だと、なんだろうなー。
やっぱり、ことばと、自分の知らない響きのことばと、
今まで触れたことのないお話と。 - まーさー
- ふむ。
- ふーみー
- そういうのに対応しながら、
どうやって返していくか、
みたいなのがすごい楽しい。 - まーさー
- ほー。
- ふーみー
- あとは、現地で調べてわかったことどおりに、
どれぐらい正確に描くかっていうことと、
創作の範囲っていうことを、考えながらするところかな。
あまりにも考証が大きすぎても
おもしろくないかもしれないし、
創作が勝ちすぎても
独りよがりになるかもしれないし。 - まーさー
- 僕らはそういうのただ考えるだけで、
わかんないからね、どっちがいいのかとか。 - ふーみー
- そうやって考えてくれるのもありがたいし、
そういう考証しながら描くっていうのも楽しいよ。
新しい挑戦というか。 - まーさー
- 今まで描いてたのは、頭の中のことなの?
- ふーみー
- 仕事では、そのとおりに描いてください
っていうのもあるんやけど…。
なんていうんやろね。 - まーさー
- 台湾に行った後に描いたっていう絵があったでしょ。
- ふーみー
- うんうん。
- まーさー
- あれは見ながら描いたとかじゃなくて、
台湾行って楽しかったっていうのを、もぐもぐして。 - ふーみー
- ふんふん、もぐもぐ。
- まーさー
- その後に描いた感じが、するよ。
- ふーみー
- かみ砕いて描いた感じ。
現地に行って、空気を吸って、描くっていうのが楽しい。 - まーさー
- あ、それはそうだね。
港ではなるべく二人ともやってほしいね、
デザイナーもイラストレーターも。

- ふーみー
- それは基本しないとだめですよね。
- ゆりえー
- やっぱそれはしなきゃだめですよね。
デザインだとそういうのけっこうあるんだけど、
ばーって資料見て、わーわかんないーっていうのが。 - まーさー
- 頼まれ仕事をやってると…
そうなるときもあるのかな。 - ふーみー
- やっぱり、そこの土地とかがとっても魅力的だから、
それはすごくいいことだよね。
島って、どこ行ってもいいなーって思うなー、それぞれ。 - まーさー
- そっか。
- ふーみー
- 土地とか歴史の魅力とか。
それも結局突き詰めてくと、
人への興味とかになるんですかねー。
そこの土地とか、そこに住んでる人とか。
民話とかは、すごく長い時間をかけて、
そこの島に住んでる人が伝えて、
いろんなバージョンがあるって言ってたじゃないですか。 - まーさー
- そうだね。
それはしゃべるときどきでも違うんだろうね、
人によってっていうだけじゃなくて。 - ふーみー
- 自然と、何百年もかけて、
ちょっとずつブラッシュアップされてきたお話が、
今こういう形になってんのかーとか思うと、
素直にすごいなーって思う。 - まーさー
- 歴史かー、確かに。
そういうものの追体験が、
僕がやらないこと、絵とかだとさ、
入りやすい感じがするんだよね。
ことばで説明されるよりもね。
昔はこういうことをやっていて、
それは今はこうなって、とか説明されなくても、
絵で見えるから楽しそうだと思う。 - ふーみー
- しかも本みたいな形にして残せてしまうという。
自分がそういう昔から続いてきたものを受け取って、
しかも次に、わかりやすいような形で、
このメンバーだったら、一つの本として残せる。 - ゆりえー
- そうそう。

- ふーみー
- それがまた次に、
新しい民話の形になっていくのかと思うと、
もうたまんない、みたいな(笑) - まーさー
- そうだよね。
絵本読みながら話す人もこれからは出るかもしれないしね。
へーえ。
ステレオタイプだけど、
男の子のほうがそういうことに興味あるかと思ってた。
歴史に名を残す、みたいな。 - ふーみー
- あー、自分は残んなくていいんだけどね。
- まーさー
- あー、作ったものが?
- ふーみー
- 民話そのものが残っていけば。
- ゆりえー
- それはやっぱ、女性的かもね。
別に名前を残したいわけじゃなくて、
そのものが継承されてけばいいから。 - ふーみー
- ほんとそうよね。
- まーさー
- はーん。
僕も今はそう思うけど、つんつんしてた頃は… - ふーみー
- つんつんしてた頃はね(笑)。
オレの名を残すみたいな、ははは。 - まーさー
- すごい発見とか、「ヤマダ現象」とか呼ばれてさ。
- ふーみー
- フタバスズキリュウみたいな(笑)
- まーさー
- ていうか、オレそういうのやるんだと思ってたよ。
ほんとに信じてたよ。 - ふーみー
- なるほど、そういうのは特有かもね。
- まーさー
- でも、今はそうだね。
そのものが残ればよいというのは、確かに。 - ふーみー
- なんかほら、鳥獣戯画とかさ、
あんまり誰が描いたのかとかわかってないんやけど、
今でもすごい残ってて、めちゃめちゃおもしろくて、
いろんなパロディーとかも生まれたりしてて。 - まーさー
- そうだよね、そんなふうになってほしいね。
- ふーみー
- なんかそんな形で、こう、ね、
何百年も残ったらもうそれで死んでもいいみたいな(笑) - まーさー
- うんうん、もちろん港のゴールは、
今は消滅危機言語って言われているようなことばが、
ずっと残る、継承されることなんだけど、
港をやり始めてから、これの仕組みもさ、
もっとパクられるようになってほしいって思ってる。
絵描く人は違う人かもしらんし、
デザインする人も違うかもしらんし、
ことばも違うし、やる人も違うけど、
こうやればうまくいくことみたいな。
そんで、そういえばこの形のコンテンツは、
港のやつらがやりはじめたんだなって…。
あぁ、やっぱりオレ名を残したいのかよ…。 - ふみゆり
- (笑)