もくじ
第1回「言語復興の港」のこと 2016-06-28-Tue
第2回デザイナーのゆりえー 2016-06-28-Tue
第3回絵描きのふーみー 2016-06-28-Tue
第4回何を残すか 2016-06-28-Tue
第5回責任持って、にぎってる 2016-06-28-Tue
第6回なろうとしてこうなった 2016-06-28-Tue

立命館大学の研究員です。琉球のことばの研究をしています。
課題2が、すがすがしいほどのできなさだったので、課題3では、仲間のことばを借りて、お届けします。

たのしげな人たち

担当・山田真寛

第6回 なろうとしてこうなった

まーさー
こうやってしゃべってるときに、
いろいろなんかでるな、いつも。
ふーみー
そうだね、確かに。
まーさー
これはでも、大人になってからだな。
理論言語学やってたときは、一人の世界でやってた。
論文を人と一緒に書くのはおもしろいと思ってたけど、
考えるときは一人だったかも。
ふーみー
でもでも、一人の時間もあるから、
こうやって話したその後に、
自分の中で熟成しとけるんじゃない?
まーさー
ああ、そっか。

ふーみー
で、その後にみんなに自分の考えを、
こうやって会った時に話す、
みたいなことがいっぱいあるんじゃない?たぶん。
ゆりえー
ふむ。
まーさー
ふむふむ。
ふーみー
いつもこうやって話すっていうより、
一人の時間もないかな。
まーさー
論文のときはね、理論言語学やってたときは、
一人で考えるのが先で、その後人にしゃべって、
っていうこの順番でセットだった。
だけど、今は逆かな。
ゆりふみ
ふんふん。
まーさー
今は、しゃべってるところで考え付いたことを、
帰って一人で考えて、っていう順番かな。
ふーみー
大人になった(笑)、大人になったよ。
ゆりえー
(笑)
まーさー
ほんとだね。
人から学ぶという姿勢が身についている。
ふーみー
素晴らしい(笑)
まーさー
昔はもう人のことなんか信じてなかったんだ。
ゆりえー
ははは。

ふーみー
とがってたとがってた(笑)
ははは。
ゆりえー
どんだけ斜めだった。
ふーみー
でも、そうだよね。
若いときって、オレがオレがみたいな、
そういうのがやっぱり先にでちゃって。
まーさー
そうねー。
こういう感じで楽しめるようになったのは、
いつからとか、そういう努力をしたんだろうか、
わたしたち。
ゆりふみ
ふむ。
まーさー
最初っからこうだったのか、
こうなりたくてなったのか、
なろうとしてなったのか、
たまたまなったのかっていうのは?
ふーみー
なんでこんな感じになったのか。
まーさー
なんかね、人にそう聞かれて僕が考えたのは、
あ、その聞いた人はね、
ナチュラルボーンだと思ってたらしいの、
こういう人たちって。
でも僕は、アメリカに行ってたときに、
訓練して人としゃべる能力が身についたな。
ゆりふみ
はーん。
まーさー
パーティいっぱいあるのよ。
でも最初は、知らない人に何も興味ないし、
とか思ってた。
ふーみー
雑談とかから始めないといけないもんね。
まーさー
でもそういうのやんないと生きていけないからさ。
ふーみー
そうだね。
ゆりえー
確かに。
まーさー
学会の懇親会とかだと、そこは輪を広げるチャンスだから。
ふーみー
社交だ社交、確かに。
まーさー
そう、もう、血のにじむような努力を…。
ふーみー
血のにじむような(笑)、そんなに?
えー似合わねぇー。
まーさー
だってさ、そんな小生意気なとんがってたやつがさ。
ふーみー
血のにじむような?
バレエのピルエット100回みたいな(笑)
まーさー
大学院のときの先生が、めちゃめちゃ人に好かれる人で、
それを見てって学んだのかな。
ほんとに具体的に、どういう会話をしているのかとか、
どういうことを聞いてるのかとか。
ゆりえー
はあ。
まーさー
それで、今こんなふうに。
オレ今は人当たりいい…よね、たぶん。
ゆりえー
とてもいいと思う。
ふーみー
うんうん。
まーさー
これは、努力の結果です。
ふーみー
あ、そうなんですか。
じゃ、ちょっと10年前とかにお会いしてたらですね、
「ふん」みたいな。
まーさー
10年前とかはね、たぶんもう…
全員関係ない人と思ってただろうね。
ゆりふみ
あー。
ふーみー
自分とジャンルも違うし。
まーさー
そうだね。
ふーみー
じゃ、アメリカでもまれたってことか。
確かに、全然違うところ、
自分のこれまでのいろんなものが、
まったく役に立たないところに行くと。
わかりやすいよね、海外に行くっていうのは。
まーさー
イタリア行ったとき思った?
ふーみー
ほぼ赤ちゃんと一緒だから(笑)。
まーさー
赤ちゃんだったね、わたしたち(笑)。
ふーみー
そうそうそうそう、赤ちゃんで。
まわりのことばもね、イタリア語で。
一応勉強もしてったけど全然しゃべれないし、
赤ちゃん扱いみたいなのもされるし。
やっぱり大人扱いされないしね。
ゆりえー
あー。
ふーみー
そういう、ちょっと悲しい思いをしたりとか、
でもものすごくいいコミュニケーション
取れる瞬間とかもあるし。
でもやっぱり行ったからには生き残らないといけないので。
まーさー
そうそう、切実だよね。
ふーみー
無理やりにでも、泳ぐ力を身に着ける、みたいな。
まーさー
それまでは、ツンツンしてたの?
ふーみー
いや、ツンツンはしてないけど、
たぶん学生のときってみんなそういうところあると思うけど、
うん、生意気だった、すごく、心の中でね。

ゆりえー
たぶん、他にも身に着けたものは、スピード感…
あたしたちのスピード感があってるからいいんだと思う。
ふーみー
やーちょっと上げていかないとですね(笑)。
夏には、上げていきます、スピード。
ゆりえー
いやいや、そういう意味じゃなくて、
みんな住む場所とか仕事とか、動いてる期間がほぼ一緒。
これまでの転々としてる感じ。
あたしたちね、一年とか、二、三年で動いてきた。
まーさー
ああ、そういうところから僕らの同じようなスピード感が。
ふーみー
あーなるほどー。
ゆりえー
そのなんかこう、「ちょっと待って」感とかこう…
ふーみー
フラフラ感(笑)
ゆりえー
フラフラ感がないっていうか。
まーさー
はーん。
そのせいでほいほいやってるように見えるだけかもね。
ふーみー
はーん。
ゆりえー
かもねー。
まーさー
普通の人は何年かかけるところを、「よっ」て。
ゆりえー
とりあえずやってみようかみたいな。
まーさー
そう、やらないとさ、それで失敗してないと、
どうやってよくしたらいいかとか、
わかんない気がすんだよね。
ゆりえー
わかんない。
ふーみー
そうだよね、うん。
ゆりえー
頭の中でもやもやしてても。
まーさー
とりあえずかたちにしてしまう
っていうのがあるのかな。
僕らみんなそんな感じでやってんのかな。
ふーみー
やっとかないとね、すぐ一年終わっちゃうし。
ゆりえー
やってみないと、
それについてどういうことかっていうことを、
話すことができない。
まーさー
そりゃあそうだな。
それに、僕はそれが、あんまり苦じゃないかな。
ゆりえー
うん、楽しい。
ふーみー
だってもう、楽しいことしかしてないもん。
まーさー
ほんとにね(笑)
ふーみー
楽しいことが好き、みんな。
ゆりえー
楽しいことが好き。
ふーみー
楽しいことしかしたくない(笑)
ゆりえー
(笑)
まーさー
そうだよね、そう言われるとさ、
これやった方がいいかもなって思っても、
楽しくないことはやってないもんね。
ふーみー
やってないと思う。
ゆりえー
やってない。
ふーみー
楽しくないと思ったらね、もうたぶん…。
ゆりえー
なんか必要だろうなと思っても、やってない。
まーさー
論文書くとかな(笑)。論文書け、オレ(笑)。
ふーみー
いやいやいやいや(笑)
ゆりえー
書いてる書いてる(笑)
ふーみー
それはけっこう共通してるかも。
みんな無理しない。
やなことやってないもんね。
まーさー
…そりゃあうまくできるよ。
ふーみー
うん、だってまったくこのプロジェクトとか、
ストレスがないもん。
しなければならないみたいなのが一切ないから。
まーさー
研究助成金もけっこうもらってるから、
責任とかもあんのにね。
とりあえずやってみてうまくいかなくても、
楽しくやれることだから数打てて…。
ゆりえー
なんだかんだあっても、ちゃんとかたちにしてる。
まーさー
締切とかもけっこうあんのにね。
ゆりえー
締切あっても、それを締め切りと思ってないの。
それまでにやらなきゃいけないっていう感じよりは、
そうだ、いつまでだから、今やっとこうとか。
まーさー
ふむ。
ゆりえー
今手空いたからやっちゃおうとか。
今つくってるウェブがまさにそう。
まーさー
ふむふむ。
みんなそれぞれ忙しいからさ、優先順位つけるじゃん。
ふーみー
うんうん。
まーさー
そんときに、けっこう上に上げちゃうんじゃない?
港のことは。
ゆりえー
楽しいから。
まーさー
そう(笑)、楽しいからさ、上げちゃうんだよ。
ふーみー
ほんと楽しい。
ゆりえー
楽しくないことは下げがち。
まーさー
まあほんとの仕事だったら、
下げるにも限度があるけど。
自然にやっちゃうことが、
そのままできてるのかな、港では。
ゆりえー
そういうことなんじゃないかなー。
ふーみー
なるほどー。
まーさー
なるほどねー。
よかったね、みんな似てる感じで、そういうところが。
ふーみー
たまたま。ご縁ですね。
まーさー
じゃあそういうことで、そろそろ、その、
今最も楽しいと思われることを…
ゆりえー
いっぱいしゃべったし、冷えたやつをね。
ふーみー
喉をうるおしながらね。
それでまた楽しいこと考え出しましょうか。

おしまいです。
「言語復興の港」のようすは、
これからもウェブページで発信していきます。
まだできたてほやほやですが、少しずつ、楽しいことを。

取材場所を提供してくださった、
キッチンノリタ(京都・麩屋町三条下ル)さん、
ありがとうございました!