たのしげな人たち
担当・山田真寛
第5回 責任持って、にぎってる
- まーさー
- ゆりえーが「てぃんがまシリーズ」
1冊目の絵本つくったときは、
京大の共同研究の仕事だから、
いっぱいサンプル作ってくれたり、
どんどんデザイン側からの提案したって言ってたでしょ。 - ゆりえー
- うん。
- まーさー
- でもその後もさ、
頼んでないことをたくさんやってくれてるじゃん。 - ゆりえー
- え、だって必要だから。
- まーさー
- あ、必要…だよね。
はい、そして、誰もやらないからね、特にオレが…。 - ゆりえー
- それをやるために必要なことは、
やってしまうのよね、気が付くと。 - まーさー
- それをやるっていうのは?
あ、研究か、言語復興のこととか。 - ゆりえー
- うん、まあ言語復興のことだけじゃないけど、
自分が関わってることで「あ、これがたりない」とか
「あ、こうしたらいいのかも」とかで、
自分ができそうなことがあったら、
やってしまう、やるよって言っちゃうわ。 - まーさー
- ふんふん。

- ゆりえー
- あと楽しそうって思ったことも、やっちゃう。
昔、クラブイベントのオーガナイザーチームにいて、
その頃からそうだったかな。 - まーさー
- あ、そうだ、DJやってた。
- ゆりえー
- や、最初はね、フライヤーのデザインをしてた。
- まーさー
- あ、デザイナーとしてまっとうな入り方だったんだ。
- ふーみー
- ふふふふふ。
- ゆりえー
- クラブで遊んでる人たちと、
イベントやろうやってことになって、
フライヤーつくってって言われて。 - まーさー
- はー、噂のそのノリか。
- ゆりえー
- そうです、そうです。
学生DJとか。 - まーさー
- はえー。
「イベントやろうぜー」って。 - ふーみー
- (笑)
- まーさー
- じゃあオレなんとかやるー、あたしなんとかやるーつってな。
- ゆりえー
- フライヤー作ってって言われて作り出して、
VJやってた先輩が「VJやる?」って言うから、
やるーたのしそーって、VJもやって。
気づいたら運営に関わってたりとか。
外から入ってって、中にずっといるみたいな。 - まーさー
- 友だちと何かやってたらそうなるよね。
友だちとやるのがいいのかな? - ゆりえー
- 友だちとっていうか…
- まーさー
- 仕事で発注されてると、けっこう住み分けが大きくない?
- ゆりえー
- それはやっぱり、お金が発生してる範囲が、
担当区分があるから、
そこから先は口出しちゃいけないことが多いので。 - ふーみー
- 担当は分けた方がいいと、私は思うかな。
なんか友だちとやったりっていうのは、
すごくよくあるし、楽しい、けど、
なんかうまくいく場合とうまくいかない場合があって、
なんでそれは違うんだろうって思ってたら、
担当区分がはっきり、
わりとそれぞれの専門がはっきりしているとき、
できてたように思う。 - まーさー
- はーん。
- ふーみー
- この人はこういうスキルがあって、
こっちはこういうスキルがあって、
私はこういうものがってって、
みんなそれぞれこう、おたがいに尊重しあってやると…。 - ゆりえー
- 適材適所で、そこを侵さないってことができてると、
うまくいく。 - ふーみー
- うまくいく。
同じような役割の人が二人いたりすると、
ちょっとうまくいかないかったことが…。 - ゆりえー
- ある。
- ふーみー
- あるから、きっと、ある程度分けてね。
重なったりとかはしてもいいと思うんやけど。 - まーさー
- ふんふん。
- ふーみー
- この人がいてくれると、こういうときいいな、
みたいなのが、それぞれあると、
うまくいくような気がします。 - ゆりえー
- お願いしちゃおうとか。
- まーさー
- そうだね、頼みやすいもんね、
誰に頼めばいいかとかがわかりやすかったら。 - ふーみー
- あとは、実行力がある人たちが集まってると、
うまくいく。 - まーさー
- そっか、役割分担ができてたら、
これが必要だなって思ったときに、
あ、これやるのオレかってわかるし、
そしたらやるもんな。 - ふーみー
- でもさ、港の私たちは、
それぞれの分野にも興味あるもんね。
自分の範囲内だけに興味があるわけじゃなくて、
なんかその、ことばの人も…。 - まーさー
- 絵描いたりとかするしね(笑)
- ふーみー
- そうそうそうそう(笑)。
絵を描いたり、興味を持ってくれたりとか。
こっち側も、別に詳しくはないけど、
ことばのこと読んだりとかは好きだし。 - まーさー
- フィールドに出かけて行って、
フィールドの人たちと仲良くなるのもそうじゃないかな。
僕らフィールドワーカーの仕事でしょ、そういうの。
でも、二人とも声かけたら一緒に来てくれるし、
島の人ともすっかり仲良くなっちゃって。 - ふーみー
- それはちゃんと、先に場を作ってくれてるからです。
いきなり行っても、そんな仲良くなれないから。

- ゆりえー
- その役割分担の話だけどさ、
仕様の裁量のところをあたしが責任持って握ってるから、
楽しいのかなって思った。 - ふーみー
- 他のプロジェクトでも、
それぞれが握ってるところがあるもんね。 - まーさー
- あ、そっか!
責任持って握れるところがあるっていうのが。 - ふーみー
- そっか!
誰も、言われて動かされてないというか。 - まーさー
- なるほど!
- ふーみー
- ことばチームはことばチームで。
- まーさー
- 握れるところが。
- ゆりえー
- ある。
- ふーみー
- そうだよねー。
- ゆりえー
- 絵は絵で、じゃあふーみーよろしく。
- ふーみー
- はーい、責任持って好きにしまーす、
みたいなのが全員できるから。
まったく不満がない。 - まーさー
- はっはーん。
- ふーみー
- あーもうそれは楽しいよ。
- ゆりえー
- それ楽しい。
- ふーみー
- 好きにできるし。
- ゆりえー
- 握ってる部分がそれぞれ違う。
- まーさー
- んあー。
- ゆりえー
- だから楽しいし、うまくいくんだ。
- ふーみー
- そうですねー、そうですねーほんとに。
- まーさー
- そうだね、それぞれ重要なところ、違うところを握ってて。
- ふーみー
- こんなにみんな、立場がすごくイコールな感じなのに、
うまくいってるのはおもしろいですよね。 - まーさー
- ふむ。
- ふーみー
- 方針とかゴールは決まってるけど、
別にボスとかがいるわけじゃなくて。 - まーさー
- ふむふむ。
そうな、僕が港のパンフレットに書いたこととか、
すべてがみんなに共有されてなくても、
それぞれが楽しいと思うことをやってくれてたら、
それで言語復興の研究が進むように仕組んでる、はず。 - ふーみー
- なんかこう、くるくるまわりつつ動いて行ってるみたいな。
- ゆりえー
- みんな対等に相談できるし、意見もらえる。
上から一方的に、「これはこうだよ」
「こうじゃなきゃいけない」っていうのがない。 - まーさー
- そう言うのはさ、自分が握ってるところだけじゃない?
- ゆりえー
- うん、そうそうそう。
このチームが楽だし楽しいのは、
ことばがダイレクトにその人のことばで反ってくるところ
っていうのもあるわ。 - ふーみー
- ふんふんふんふん。
- ゆりえー
- 誰かが言ってたこととかじゃなくて、
その人の感覚で反ってくるから、
おもしろいっていうか、嘘がないっていうか…。
例えばふーみーに、
今度の絵本はじゃばらのかたちにするのどう、とか…。 - ふーみー
- ふんふん。
- ゆりえー
- そういう話をしたときに、
それはそれでいいと思うけど、
こういうふうにもできると思うとか。
まーさーは、このロゴ正方形じゃなきゃだめなの?とか。 - ふみまさ
- ははは。
- ゆりえー
- つくったものに対して、
ガツンって反ってくるのが、おもしろい。 - まーさー
- うんうん。
- ゆりえー
- あ、そっか。
そこまで考えてなかったな。 - まーさー
- ほう。
- ゆりえー
- これはこうじゃなきゃだめだよ、
みたいなことを誰も言わない。 - ふーみー
- あーそれはー、みんな尊敬してるからです。
- まーさー
- あ、それはそうだね。
おたがいが握っている部分は。 - ふーみー
- それはあると思います。
尊重というか。 - まーさー
- うん、尊重、尊敬っていいことばな感じがするけど、
だってそれ、オレの仕事じゃないからねとか思うよ。 - ふーみー
- うんうん。
自分にできないことできる人って、すごいじゃないですか。 - まーさー
- 自分ができないことを、できる人がやってるんだからさ。
- ふーみー
- すげーこんなことできるんやみたいな。
それを、おたがいに対して思ってる。 - ゆりえー
- 確かに。
- まーさー
- そうだよね、口出し…思ったことは言うけど、
それを最終的に決めてもらうのは、
それを握ってる人なんだから、当然っちゃあ当然だ。 - ふーみー
- うん、そう。
相手に対してそういうふうに思ってるから、
自分もいい加減な仕事もしたくないって思ってるし。 - まーさー
- そうだよね、だってことばのこと僕がやんなかったら。
- ゆりえー
- そう。
- まーさー
- 誰も、やってくれないからね。
- ふーみー
- そうだよね、判断できないですもんね。
- まーさー
- そっかー。
人数増えて、今ことばチームは増えてきてるけどさ、
同じ役割の人が複数いるときにどうなるかって、
おもしろいよね。 - ふーみー
- おーほんとだー。
どうなるんでしょう。
それって普通に会社とかはそれでやってることですよね。 - まーさー
- 僕らはどうなるかな。
へへへ。