- 糸井
- 「ドコノコ」ってアプリを考えたときに、
ユーザーと一緒につくりあげていくもので
当然おもしろいと思ったんだけど、
ちゃんと本部機能を整えないといけないな、と思って。
そしたら浅生さんがフリーになったっていうじゃない。
で、すかさず「一緒にやらない?」って誘ったんだよね。
頼まれると「嫌」って言わない人だから(笑)
- 浅生
- はい(笑)
- 糸井
- あれ、参加してもらってからどのくらい経つの?
- 浅生
- 2年です。
- 糸井
- 2年か。
フリーになってわりと早くにね。
- 浅生
- そうです。ぼく7月いっぱいでNHKを辞めて、
8月に始めたと思うんですよね、たしか。
- 糸井
- そうでしたね。
もう8万とか登録している人がいるんでしょ?
野球場2つ分の観客の数ですね。
- 浅生
- そうですね。
- 糸井
- しかも、ハートマークを付けてあーだこーだ。
- 浅生
- やってるわけで。
東京ドーム満員でライブができますよね。
みんな集めたら。
- 糸井
- 念のために聞くけど、
先日、読売新聞に「これが俺だ」みたいな感じで
顔写真が出ちゃっていたから、顔出しはもう問題ない?
- 浅生
- もういいです、はい。
- 糸井
- 今までメディアに顔を出さないでいた理由っていうのは?
- 浅生
- なんか、めんどくさくて…(笑)
- 糸井
- 「めんどくさい」が理由って、漫画家とかと同じですね。
今の時代、顔を出さなくても商売はできますしね。
- 浅生
- そうなんです。
- 糸井
- そういう虫のいいことを考えてるわけですね。
- 浅生
- そうです(笑)
- 糸井
- NHKで仕事をしてたときは、
NHKのペンネームじゃないですか「NHK_PR1号」っていう。
「あれは自分です」と教えるのはマズイわけですよね、
あの時代は。
- 浅生
- あの時代はそうですね。
- 糸井
- そうですよね。
あのときは、あのときの隠し事があったわけだ。
- 浅生
- はい。常に隠し事があるんです。
- 糸井
- 幼少時からずっと?
- 浅生
- 常に隠し事だけが、つきまとう。
- 糸井
- 読売新聞に載った写真でわかっちゃったことだけど、
「あなた日本人ですか?」って質問されて
「ワッカリマセン」って答えたら、
浅生さんは日本人ではない、とみんな信じるでしょうね。
- 浅生
- ただ、意外にそうじゃないんですよね。
- 糸井
- 「お前日本人だろう」って言うの?
- 浅生
- うん。言われるんです。
- 糸井
- 半分。
- 浅生
- うん。半分。
- 糸井
- そうか。
- 浅生
- そうなんです。
- 糸井
- ハンパですね(笑)
- 浅生
- ハンパなんです。そのハンパなところを
いちいち説明するのがめんどくさくて。
「ぼくは、日本生まれの日本人なんですけど、
父方がヨーロッパの血が入ってて‥‥」
みたいなことを、毎回言わなきゃいけないわけです。
質問する人にとっては1回きりなんでしょうけど、
ぼくは子どもの頃から何万回っていうぐらい
答えているので、もう飽きてるんです。
- 糸井
- カードにして持ってたら?(笑)
- 浅生
- うちの母なんかは、
「1回100円で再生ボタンを押させたらどう?」って。
- 糸井
- 母、商売っ気があるねぇ(笑)
この対談でもこれ以上は質問しないほうがいい?
- 浅生
- そんなことはないです。ただ、なんですかね。
怪我をしてギプスをしていると
「どうしたの」って聞かれると思うんですけど、
最初の2回くらいはいいですが、
50回聞かれたら答えるのも飽きるじゃないですか。
飽きてくると、ちょっと茶目っ気が出てきて。
- 糸井
- 嘘を混ぜる。
- 浅生
- …そう。
ちょっとおもしろいことを混ぜちゃったり。
そうすると、こっちと、あっちで混ぜたことが、
気がついたら、すごいおもしろいことになっていたりして。
それを訂正するのもめんどくさいから、
あまり世に出ないようにしようっていう…。
- 糸井
- 1回か2回聞かれるぐらいだったら、
飽きずに本当のことを言っていたんだろうけど。
- 浅生
- 相手が誤解して聞いてきた場合でも、
「そうです、そうです」と、つい。
だから、AさんとBさんの間では、
ぼくが言った「そうです」に違いがあって、
「いや、もう両方合ってます」みたいなことを言うと、
完全にぼくと違うものがそこに存在し始めて。
- 糸井
- なりますね。人は信じたいことを信じるからね。
ぼくも最初に会ったとき
「この方は日本語がとても流暢だな」って思ったもん。
- 浅生
- 「日本語上手ですね」っていう人はいて、
「いや、お前よりな」って思うことが多いです。
…「お前より絶対流暢」って(笑)。
- 糸井
- ペンネームに、「○○流暢」っていうの付けたいね。
「大和流暢」とか。
- 浅生
- 本当にほしいですよね。
(つづきます)