もくじ
第1回おもいでぐらむとは? 2016-12-06-Tue
第2回父、SNSにはじめて投稿します。 2016-12-06-Tue
第3回記憶遊び。 2016-12-06-Tue
第4回母が帰宅した!参考情報を聞いてみた。 2016-12-06-Tue
第5回まとめ 2016-12-06-Tue
おもいでぐらむ。

おもいでぐらむ。

ツイッターやインスタグラムなど
SNSを人生で一度も使ったことのない
わたしの父親(60歳)と母親(54歳)。

久しぶりに実家に帰ってみると、
いまだに、パカパカ音がするガラケーが
シワがふえたその手のなかに握られていました。

ふたりとも、インターネットが好きではありません。
とてつもなく危なっかしい世界だと考えています。
(むかし、いったいなにがあったのか……。
いきなりアダルトサイトに飛んでしまい
架空請求されるイメージが強いのだとか)

今回、ほぼ日でコンテンツをつくるにあたり
父に取材をお願いしようとしたところ、
「イトイさんのサイトは、いかに安全で
信頼にあたるホームページなのか」
を地道に説得することから準備がはじまりました。

でもですね……予備知識がほとんどない
インターネットに興味のない人が、
現代のSNSやネットのしくみを理解して
「イトイさんのサイトは架空請求をしない」
と信じきるまでには、けっこう根気がいります。

さすがにしびれを切らしまして、
「ええい、これはもう酔わせてしまえっ!」
と持参した日本酒でカンパイをしました。

そして、『おもいでぐらむ』で遊んでみました。

すると、ぼろぼろ、ぼろぼろ、
父の口から、出てくるのです。

まるで、タイムライン上に流れてくるような
リアルで話すには恥ずかしくて、気が引けるのに、
なぜかSNSには投稿できちゃうような自慢話や、
ふたりのなれそめが……。

※最終的にきちんと趣旨を理解して
掲載許可をいただいているので、どうぞご安心ください。

第1回 おもいでぐらむとは?

取材しても取材しても明かしてくれない
恥ずかしがり屋の父から、母への愛の言葉を
どうにか聞きだすことはできないか?

当初、両親が結婚したワケを取材しようとしたわたしは、
直接相手に伝えられなくても、「つぶやきを投稿する」
という形であれば、思いを明かせるのではないか?
と考えて、即席でつくったのが
この『おもいでぐらむ』というSNSのアイデアです。

これは20年前でも、30年前でも、いつでも
過去の自分にもどって、そのときの気持ちを
投稿できるSNSなんです。

たとえば30年前、当時30歳のわたしの父が、
「今日は2回目のデート。急に思い立って
彼女と結婚しようと思うことを田舎の両親に電話したら、
公衆電話の外で、彼女がすごく驚いていた」

……と1987年にタイムスリップして
あらためてそのときのことを鮮明に
投稿することができたら、おもしろいなあ、なんて。

事実をつぶやくだけなら、恥ずかしくないでしょう、と。
(つぎへつづきます)

第2回 父、SNSにはじめて投稿します。