ラーメン業界ではまだまだ珍しいママさん店主。お店がオープンしてから半年が過ぎ、今度は新しいチャレンジもはじめるようになりました。持ち前の明るさで小さい子を育てながら日々奮闘中の大橋さんのインタビューも今回が最終回です。
- ——
- お店のSNSのコメントって、わりと見てるんですか?
- 大橋さん
- チェックはしてますね。
- ——
- なにか覚えてるものってあります?
- 大橋さん
- 最近あったのは「弟子入りしたいぐらいおいしかった」っていう・・・
- ——
-
ハハハハハハ(笑)
弟子入りしたい「ぐらい」ですか〜(笑)
- 大橋さん
- ぐらいです(笑)
- ——
- 弟子入り志願者って、まだ、来てないですか?
- 大橋さん
- 弟子入りは来てないですね、さすがに。
- ——
- ホントに弟子入りが来たら、どうします?
- 大橋さん
- どうしましょうかね。
- ——
- じゃあ、ここでイメトレしてみましょうか(笑)
- 大橋さん
- えー。
- ——
- 来るのは、男性、女性、どっちですか?
- 大橋さん
- まあ、イメージ的には「男性」ですかね。
- ——
- おお、そうですか。
- 大橋さん
-
はい。
女子にラーメン屋さんがつとまるってイメージできないです。ハードですから。
- ——
-
そうなんですか〜。
じゃあ、何歳くらいで?
- 大橋さん
- 30代くらい。
- ——
-
なるほど、では本題です。その男性がラーメンを食べたあとに
「実は少しお話があります」
「このラーメンが好きなんです」
「学びたいんです」
「弟子入りさせてください」
って真面目にいってきました。真剣に考えてみてください。
- 大橋さん
- ん〜・・・
- ——
- どうしましょう。
- 大橋さん
- ホントにどうしましょう・・・
- ——
- ・・・(フフフ)
- 大橋さん
-
ん〜〜〜。
うちに人件費の余裕があれば喜んで歓迎します。
- ——
-
ハハハ(笑)
味を教えるのは大丈夫なんですか?
- 大橋さん
- まったく構わないです。レシピは全部教えます。うちの味は門外不出ではないです。レシピを教えたところで作る人で味って変わりますしね、結局。
- ——
- そうですね〜。
- 大橋さん
- はい。
〜新作ラーメンに向けて〜
中華そば向日葵では11月から月ごとに限定ラーメンの提供をはじめました。
11月は「ムール貝の塩そば」
ムール貝、大山どり、魚介を加えたトリプルスープにガーリックバターとピンクペッパーを添えた洋風な一杯に仕上がっています。
- ——
- そもそも「限定メニュー」って、なんではじめようと思ったんですか?
- 大橋さん
- 月ごとのやつをですか?
- ——
- はい、そうです。
- 大橋さん
-
やっと体制も整って落ち着いてきたので、少しづつ「チャレンジもしていこう」と思ったんですよ。
あとは常連さんを飽きさせないためにというのもあります。少し変わったのもやってみようかなって思ってはじめました。
- ——
- どうして11月の限定メニューが「ムール貝の塩そば」なんですか?
- 大橋さん
- ずっと、貝を使ったラーメンをやりたかったんですよね。最初はぜんぜん違う貝ダシのラーメンを考えてたんですけど・・・ムール貝にしたのは季節感も出したいってことで・・・
- ——
- この時期のムール貝っていいですもんね。
- 大橋さん
- なんか「冬」って感じですよね。
- ——
- 確かに。
- 大橋さん
- あとバターを入れたのも冬を意識して。ムール貝だと洋風ですけど「あったかい」イメージもありますし。ブイヤベースとか「鍋」的な。
- ——
- ムール貝は大橋家の食卓によく並ぶんですか?
- 大橋さん
- 並びません(笑)
- ——
- どうですか、反響は?
- 大橋さん
-
そうですね。
好評はいただいてます。
- ——
- じゃあ、12月の限定メニューは?
- 大橋さん
- 今のところは「味噌ラーメン」にしようかと思ってます。
- ——
- 寒いから。
- 大橋さん
- はい。
- ——
-
味噌はどこのを使おうとか、
決めてるんですか?
- 大橋さん
- まだちょっと考え中なんですけど、1つは新潟を・・・
- ——
- で、合わせる?
- 大橋さん
- 3種類くらい合わせようかな〜と。
- ——
- トッピングは?
- 大橋さん
- 焼豚は火口が小さいので今の焼豚しか作れなくて、このままでいかなきゃいけないかな〜とも思うんですけど・・・あとは、アーリーレッド。
- ——
- アーリーレッド?
- 大橋さん
-
紫色のタマネギです。
合うかな〜と思ってます。見た目を華やかな感じにしたいので。
- ——
- 味噌ラーメンっていうと「もやし」「コーン」「バター」に「分厚い焼豚」みたいな印象がある。
- 大橋さん
-
そうですよね(笑)
たぶんそのへんは外していこうかな〜と思ってます、あえて。
- ——
- 麺はどうするんですか?
- 大橋さん
- 麺はね・・・そこは迷い中なんです。
- ——
- できあがりを楽しみにしています。
注)インタビューは11月中旬に行ったのでこのコンテンツがリリースされるころはきっと素敵な12月限定の味噌ラーメンができていることでしょう。
〜未来のお話〜
- ——
- でも、ホントにラーメン業界って生き残りが厳しい世界ですよね。
- 大橋さん
- そう思います。
- ——
- ラーメン評論家の石神秀幸さんってご存知ですか?
- 大橋さん
- ああ、はい。
- ——
-
番組でごいっしょする機会もよくあるんですけどね。
前におっしゃってたのは「3年続いたら大したもの。10年続けるのは相当に難しい。」
そんなことをふと思い出しました。
- 大橋さん
- はい。
- ——
- 1年くらいで閉店するお店もすごくいっぱいありますしね。
- 大橋さん
- そうですよね。
- ——
-
どうですか?
3年後の自分の姿ってイメージしてたりします?
- 大橋さん
-
そうですね。
3年後は見据えてはじめたつもりです。立地も考えて、飲食店が少ないところをねらった感じなので。埋もれないようにってのは考えてます。
- ——
- じゃあ、10年後は?
- 大橋さん
-
10年後はどうですかね〜。
やれてたらやってたいですよね。
- ——
- 10年後だと長男が中学1年生ですか。
- 大橋さん
- そこまでやれてたとしたら店舗は増やしたいですね。
- ——
- 店舗を増やしたい「野望」を持ってたんですか(笑)
- 大橋さん
- 若干あります(笑)
- ——
- そうなんですか(笑)
- 大橋さん
- ホントに若干ですけどね(笑)
- ——
- その野望は「ない」と思ってました。
- 大橋さん
- 自分はひとりでこの小さい店を続けてたいっていう思いはありますよ。
- ——
- 向日葵ブランドを増やしたいみたいな。
- 大橋さん
- いや、向日葵ブランドじゃなくてもいいんですけど(笑)
〜助っ人、現わる〜
中華そば向日葵では7/10から男性店員のいっぺーさんがお店に加わり、一時的にではありますが手伝ってくれることになりました。現在は「昼は大橋さん、夜はいっぺーさん」の営業体制でお店を運営しています。
- ——
- いっぺーさんは、お店の近くに住んでるんですか?
- いっぺーさん
-
そうです。
ここが自宅からいちばん近いラーメン屋さんなんですよ(笑)
- ——
- 貼り紙の求人を見て来たんですか?
- いっぺーさん
-
そういうのもありますけど、大橋さんのご主人の居酒屋(YAMATO)にお客さんとして行ってたことがありまして・・・
あそこの奥さんがラーメン屋さんをはじめたらしいよってのは前に聞いてたんですよ。
- ——
- なるほどね。
- いっぺーさん
- ボクは近い将来、自分のお店を出したいと思ってるんです。
- ——
- 前は別のお店でラーメン屋さんをやってたんですか?
- いっぺーさん
-
そうですね。
ここは5店舗目になります。今は勉強中です。
- ——
- 向日葵のラーメンは食べにきたことがあったんですか?
- いっぺーさん
- 3回くらい来ました。
- ——
- 食べてみてどうでしたか?
- いっぺーさん
- ボクもいろんなおいしいところを食べ歩いてるんですけどね。最初は「しょうもないのかな〜」と思って食べたんですよ。そしたらすごくおいしくて・・・
- ——
- はい。
- いっぺーさん
- それで「煮干しそばの醤油」を食べたときに「ここで働こう」って思いました。
- ——
- このお店の味を学びたいってことなんですか?
- いっぺーさん
-
いや、そういうのとは違うんですけど・・・
自分が独立した時に出すラーメンのレシピは、ほぼ決まってるんです。ただ焼豚の作り方とかは今まで自分で決めてたよりも、このお店で勉強したものを使おうとか思ったりはしています。
- ——
- 独立するのは何年くらい先を考えてるんですか?
- いっぺーさん
- いえ、もう、物件は探してます。
- ——
- え!? そうなんですか。
- いっぺーさん
- 探してはいますけど、なかなか出てこないと思ってますので・・・出てきたら「即決」すると思います。
- ——
- なるほど。
- いっぺーさん
-
なので、お店に入るときに大橋さんに・・・
「ボクは物件が見つかったら、すぐに辞めます」
「もしかしたら近くのライバル店になるかもしれないです」
この2つは最初にお話をして理解してもらって働きはじめたんですよ。
- ——
-
そうだったんですか〜。
じゃあ、ひょっとしたら、あしたにもいなくなっちゃうとか?
- いっぺーさん
-
そんな急にはないです(笑)
ただ、いい物件が見つかったら、工事をして、3ヶ月以内にオープンするのが目標なんです。
でも、大橋さんにはお世話になったので、独立するときはボクのかわりに働いてくれる人を見つけてあげたいって思ってますよ。
- ——
- いっぺーさんが来てから「夜営業」がはじまったんですよね?
- いっぺーさん
-
そうです。
昼は大橋さん。夜はボクです。
- ——
- 夜に働いてると「ダンナさんですか?」ってよくいわれます?
- いっぺーさん
- しょっちゅう言われます(笑)
- ——
- 私も最初はそう思ってました(笑)
〜お店のキャッチフレーズ〜
- ——
- お店で流してる音楽って、どんなものを流してるんですか?
- 大橋さん
- 日によって違いますよ。
- ——
- 有線放送ですか?
- 大橋さん
- いえ。iPodに入れた音楽を。
- ——
- 自分で見つけてきた音楽を流してるんですか?
- 大橋さん
- はい。
- ——
- そこも研究してやってるんですか。
- 大橋さん
- もちろんです。イメージに合う合わないを考えながら。
- ——
-
じゃあ、例えば・・・
お店のキャッチコピーをですね(笑)自分で考えてって言われたら、どうします?
- 大橋さん
- それは考えたこともありませんでした。
- ——
- アパレル時代にも考えたこと、ありますよね。
- 大橋さん
-
はい。
ん〜〜〜〜〜。
- ——
- どうしましょう。
- 大橋さん
- キャッチコピーか〜。
- ——
- 出たら、終わりにしましょうか(笑)
- 大橋さん
-
ん〜〜〜〜〜。
やっぱり・・・
「やさしいラーメン」ですかね〜。
- ——
- やっぱり、そこですよね(笑)
〜取材を終えて〜
後日、大橋さんから「タンポポ、ようやく見ました」と、うれしい連絡メールがきました。
そして、そのメールには、こう綴られていました。
『お店をオープンしてから何人もの方に「リアルタンポポですね」といわれ続けてきましたが、ようやく「なるほど!」と納得しました。タンポポさんは非常にかわいらしい女性でした。向日葵も「タンポポのようなお店」としてみなさんに親しまれていったらうれしいです。』
(中華そば向日葵 店主 大橋純子)
向日葵とタンポポが出会えてよかった。
(おしまい)
【中華そば 向日葵】
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休日:木曜・日曜
営業:11:00-14:30,17:00-21:00
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