- ——
- 大学は何学部だったんだっけ?
- ゆうくん
- 普通に教育学部だよ。
- ——
- ああ、それで教職取って。
- ゆうくん
- うん。大学院は美術。そこで美術の免許を取ったの。
- ——
- 美術ってなにやるの?
- ゆうくん
- デッサンしたり、彫刻したり、写真撮ったり、デザインしたり。
それをしながら、ワークショップをやってた。
最初は美術館でやって、
NPO法人CANVASでインターンとして入って、
ワークショップを作るようになったり、ファシリテーターやったりとか。
教育専攻だったんだけど、じぶんで何か作品を作りたかったの。
で、最初は絵を書いたり、粘土を掘ってきて、
焼き物焼いたりとか。
あと、謎のコーヒー焙煎機を作って、
その場で焙煎したコーヒーを
焼いた粘土に入れて、
その場で通り過ぎた人にコーヒーを渡すっていう、
コンセプチャルアートみたいなことしたり(笑)。
- ——
- あはは(笑)
- ゆうくん
- なんか変な、そういうことしてたの。
- ——
- 大学院はもともと行くつもりだったの?
大学出て、そのまま先生にはならなかったの?
- ゆうくん
- 俺ね、教員になりたくなかったんですよ。
- ——
- じゃあなんで教育学部に?
- ゆうくん
- 元々はなりたかった。教員になりたいっていうより、
教育に興味があって。
それで教育学部に入ったんだけど、
教育学部の人とね、とことん気が合わなかった(笑)。
- ——
- あら(笑)。
- ゆうくん
- 教員になるために、私は教育学部に来ました、みたいなね。
- ——
- だいたい親が先生だったり?
- ゆうくん
- そうそう。なんで教員になりたいの?って聞くと、典型的な答えが二つあって。
一番多いのが、
子どもの時の担任の先生がすごく好きだったから、
小学生の時から先生になりたかった。
もう一つは、うちは両親も教員、家族が教員だから。
- たねちゃん
- 学校の先生になる人って、たぶん優等生で、
学校が居心地がよかったという人が、
私も、てなるひとが多いと思うんだけど、
ゆうさんの場合、「この野郎」っていう目線があった人が、
先生をやってる。
- ゆうくん
- (笑)
そんな中で一人コーヒー焙煎機作ってさ、
粘土でコーヒー配ってたら、完全に浮いちゃってて、
友達ゼロ(笑)
- ——
- あはははは(笑)
- ゆうくん
- 友達がいなくって、本当に大学がつまらなかった。
でも教育学部の人って優しいのよ、
でもその優しさはいらないというか。
- ——
- 哀れむな、と(笑)
- ゆうくん
- そう(笑)。で、大学3年の時に、入りたいゼミがないから、
先生に頼み込んでゼミを作ったの。
図工とか、表現系のゼミがなくて。
それがいいゼミでさ、先生がデザナーの人だったんだけど。
普通のゼミって大学の中に研究室があるんだけど、
そのゼミは平屋の一軒家で、裏が畑で。
みんなでさつまいも植えて、焼き芋焼いたり、粘土掘って来て焼き物を焼いたり。
そんな中で、自分が作りたいのって、
作品じゃなくてワークショップだって思ったんだよね。
粘土掘りに行くのって楽しいけど、それを一人で行くんじゃなくて、いろんな人と行く。
そこに子どもがいたら、すごい楽しいんじゃないかって。
それまで映画がすごく好きだったんだけど、
それも時間とか出来事を作っていくっていう、
時間がそこに含まれているから。
ワークショップもそうじゃない? その人がその時間の中で変化して行くっていうのが、
一つの表現になっている。
映画の世界っていうのはすごい予定調和だし、
仕組まれているんだけど、ワークショップみたいに、
何が起こるかわからない時間の流れがすごい好きで。
進路について考えるときに、大学院について調べたら、
自分のやりたいことができそうだったから、
受けていた就職も途中で自主的にやめて、
大学院の試験を受けて、大学院に入った感じ。
そこで、ワークショップの研究したいって言って。
そのときは、
独立したフリーの図工の先生みたいな人になりたくて。
公立の先生に興味がなかったのは、大学の時から、
公立の独特な身動きの取れなさというのは知ってたので。
それに、教育学部の人たちとは本当に気が合わなかったから、
絶対学校に行ったらこういう人たちだけだから、
教員になりたいっていう気持ちが、大学1年の4月に終わったんだよね。
- ——
- 子どもに接する仕事というか、子どもというものへの興味はどこから来たんだと思う?
- ゆうくん
- 子どもに対する興味…わからないね。
- ——
- なんでだろうね?
- たねちゃん
- (洗い物をしながら)なんかさ、
子どもっていう話じゃないけどさ、
ゆうさんは中学校の時に、授業がつまらなくて授業中に自分で授業を考えてったって言ってたよね。
- ゆうくん
- それは小学校からずっと。
- たねちゃん
- うん。
- ゆうくん
- だから、ある意味では学校に対するトラウマみたいなものかな。
学校がとことんつまらないっていうのは知っていたので、
学校がどうにか面白くならないかっていうのは思っていて。
- ——
- じゃあ、子どもっていうより、学校をおもしろくしたいっていう気持ちが先にあって、
その対象として子ども、っていう流れなのかな。
- ゆうくん
- そうなのかね。
- ——
- ねえ、どうなのかね(笑)。
- ゆうくん
- 子どもって本当にすごく自由だし、
すごくクリエイティブだし、そういうのがすごく刺激的だからなのかもしれない。
(後ろでのんさんが自由に動き回ってる)
(つづきます)