(ブルーハーツの『リンダ リンダ』がかかっている)
「♪どぶねずみみたいに美しくなりたい」
- 糸井
-
‥‥あれ? 来ないね(笑)。
「♪写真には写らない 美しさがあるから」
- 糸井
-
ここで入って来てほしいなぁ‥‥。
(♪リンダリンダ!)
- 田中
- (踊りながら部屋に入ってくる)
- 一同
- (爆笑)
- 糸井
- あぁ、よかった(笑)。
- 田中
- どうも(笑)。
- 永田
- よろしくお願いします。
- 糸井
-
なぜ、ブルーハーツをかけたのか。
それは、追い追い判明するとして(笑)。
まずは、乗組員の永田さんから説明を。
- 永田
-
はい。今回の対談は「ほぼ日の塾」の
課題となっておりまして、
原則わりといろんなところが書かれてしまうっていう。
でも、「こことここは書いたらダメです」は
一応言います。
- 糸井
- そうですね。
- 永田
-
それで、塾の課題ということもあり、
1時間くらいで収まるとよいなと思っておりますが。
テーマが「人生」なんですが。
- 糸井
- 彼の人生を1時間で語れるかな。
- 田中
-
今日は本当に、何を喋っていいかわからないので、
聞かれたことを、とつとつと、
こうね、言葉を少なめに答えようかなと思っています。
- 永田
-
ということで、
どうぞよろしくお願いいします。
- 田中
-
あの、今日は、
モンドセレクションを
2年連続金を出して受賞した、
大阪キャラメルプリンケーキをお土産に。
- 糸井
-
いつもありがとうございます。
手土産のね、ミスター手土産。
いやいや、いらっしゃいました。
今日も、いつものようにですけど、
いくつかの紙袋に手土産が入っていて。
僕は「手土産研究家の田中さん」というふうに
認識しています。
- 田中
- いつそんなことになったんでしょうか(笑)。
- 糸井
-
もうすごいじゃない。
どうしてあんなにいつも手土産を?
営業やってたんですか。
- 田中
-
いやいや、まったく。
やったことないですけど
自分が貰うとうれしいっていう経験がすごく大きくて。
- 糸井
-
大きくて。
田中さんは、
「僕が持ってくるものはだいたいつまんないものです」
ってだいたいいう。
- 田中
-
「つまんないものです」って言うの、
とってもいいコミュニケーションですよ。
それは、受け取った側に、
「いやいや、そんなことないですよ」って
いわせるためじゃなくて。
- 糸井
-
うん。
田中さんは「つまんない」のハードルを
ものすごく下げた状態で、
だいたい選んでこられますよね。
- 田中
- そうですね。
- 糸井
-
駅で買えそうなっていう、
だけど、
駅とも限らないみたいなところがあって。
- 田中
-
まぁ新幹線に乗る直前に買うんですけど(笑)。
大阪のいいところは「面白い恋人」とか、
大阪にまつわる手土産自体のネーミングが
ほぼくだらないっていう。
- 糸井
- そうか。すでにね。
- 田中
-
それで、中身のおいしさとか
全く問われないっていうところで。
- 糸井
- うんうん(笑)。
- 田中
-
コミュニケーションツールになる。
微妙に小ずるく生きてますから(笑)。
- 糸井
- そういえば、お花見問題。
- 田中
- はい、はい。
- 糸井
- あれ、言っていいですかね。
- 田中
- ええ。
- 糸井
-
この方がもともとおられた、
電通関西支社の部署は
梁山泊みたいなところなんです。
- 田中
-
もう、はぐれものの集まりで。
堀井さん(:堀井博次)っていう親玉が40年ほど前に現れて、
そこで、東京のね秋山晶さんや土屋耕一さんとかが
作っているカッコいい広告に対して
カウンターパンチを食らわせようと、
どんどん人が集まっていった梁山泊みたいな集団で。
なぜかそこに糸井さんがつながって、
30年くらい前ですかね。
堀井さんが「一緒に仕事をしよう」っていうことになって。
久しぶりの再会が
そのお花見だったんですよね。
- 糸井
-
電通の関西のチームにセットで会うのは
僕は生まれて初めてで。
- 田中
- 30人くらいの大集団でした。
- 糸井
-
その大集団に、つまり、圧の強い人たちが
集まっているわけで(笑)。
- 田中
- はいはい。
- 糸井
-
そこで、当時、若手だった田中さんの案内で、
そのお花見に行くっていう日があったんですよ。
京都の駅で待ち合わせしたんです
田中さんと。
その時に田中さんと初めて会って。
- 田中
- はい。
- 糸井
-
「どうもどうも」って言って会ったわけですね。
そうしたら、その時も紙袋を下げてるわけです。
複数の。
- 田中
- はいはい(笑)。
- 糸井
-
今日みたいに「つまらないものですが」って。
でも、「荷物になるからこれは、
そのまま僕が帰りまで持っています」と。
だから、渡さないっていうのにも
ちょっと知恵を使っているわけです。
- 田中
- そうでした。
- 糸井
-
それで、もう1つ。一升瓶を持っているんです。
なんだろうと思ったら、
「あの梁山泊の方々は酒さえあれば機嫌がいいので」
そう言って、
「申し訳ないけれど糸井さんからの差し入れってことで、
勝手に用意したので渡すときだけ持っていただけませんか」
っていう。
もうね、歌舞伎のプロンプターみたいなの(笑)。
この人は何十年営業畑にいたんだろう
と思ったんですけど。
- 田中
- まったく営業畑じゃなかったという。
- 糸井
- なんですよね。あと、さらに、
- 田中
-
そのお酒っていうのは、
開けると、のしに大きい筆文字で、
「糸井」って書いてある。
- 糸井
- もうすでに(笑)。
- 田中
- この小ざかしさ(笑)。
- 糸井
-
その念の入れ方があんまりなんで、
もう笑うしかなくて。
だから、ここは、
田中泰延に任せて言われた通りに
やろうと思ったんだけれど
僕は芝居ができない人間なんで
ただ「これ」って言って渡したら、
案の定、湧くんですよ。
たしか、僕たちは少し遅れて行ったんだよね。
- 田中
-
そうです。
糸井さん、「あのぅ、これ、僕が」って
すごい小さい声でおっしゃって(笑)。
後ろめたそうに出すんですよ。
そうしたら、みんなすでに酔っ払いだからその瞬間に
「ワーッ!」ってその包みの紙をグシャグシャって取ると、
「糸井」って書いてある。
それでまた「ウワァーッ!」って(笑)。
- 糸井
- すごいんだよ。
- 田中
- 喜びかたが浅ましい(笑)。
- 糸井
- いやいや、もう。
- 田中
-
ひょっとしたら、
糸井コールが
起きるんじゃないかくらいの。
- 糸井
- 酒を渡しただけなのに。
- 田中
-
「酒あるぞ!」って
全員いっせいに注いで一気に飲んでましたね。
- 糸井
-
そうそう。
また、そのメンバーは馬鹿じゃないんです。
- 一同
- (笑)
- 糸井
-
馬鹿じゃないっていうのと、
馬鹿が同一平面に2つ置いてあるんです。
すごいことですよ。
- 田中
- なんでしょうね、あの人たちは。
- 糸井
-
「なんでしょう」なんですよ。
たとえば、僕がよく行っていた旅館の若女将という
年取った女将が(笑)ここにいるとして。
「うわぁ、タミちゃん!」
みたいな。
- 田中
-
タミちゃんです、
タミちゃんです。
- 糸井
-
いやぁ、芝居のようでしたね、
あの場所は。
- 田中
- あれはすごかった。
- 糸井
-
田中泰延っていう人が
このチームの中でどういう存在なのか
まったくわからないんです。
つまり、誰も何なのか
よくわかんないチームだったんですよ。
- 田中
-
そうですね。
なんでしょうね。
とりあえず、呼び方は「ヒロ君」なんですよ。
- 糸井
-
ヒロ君なんですよね。
つまり、
27歳くらいの呼ばれ方ですよね。
(つづきます)