- みき
-
この前、ポーズを決めて愛犬の写真を撮ろうとしている
ご家族を見かけて。
たとえば、視線を向けさせるためにも
いろんな方法があるんだなって感心したよ。
けっこう寒い日で、人も犬もがんばっているなあ、と思った。
- 潤子
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命あるもの同士が同じ時間を分かち合って生きていくので
たのしい思い出が多い方がいい。
飼い主さんは、もちろん写真を撮りたいよね。
でも、犬は、家族と過ごせていたら
家のコタツの方が良かったりするの。
犬にとって、すごく寒かったり、暑かったり
お出かけ続きだったりが、良いことなのかどうかを
少し考えてみましょうって、
状況をお聞きして、カウンセリングならそうお伝えするかな。
- みき
- そうか。
- 潤子
-
犬を擬人化しない、ということをわたしは大切にしていて。
それが、自然への敬意につながると思っているので。
- みき
- ある意味、野性的だね。
- 潤子
-
そう、動物同士なんだから。動物同士、敬意を持って。
だから逆に、疲れてクタクタになって
いやだな、と思いながら作る手作りごはんに
栄養はないですよ、ということも伝えているの。
- みき
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飼い主さん自身の気分が良くないし、
それは犬にも伝わるよね。
- 潤子
-
そうそう。
だったら、体質にあったカリカリでいいんじゃない?って。
- みき
-
そこ、そこが好きだなあ(笑)。
誰かのために自分が犠牲になることの割合が増えすぎると、
ちょっとつらいよね。
- 潤子
- うん。つらい。
- みき
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「作らなきゃいけないんです、愛犬のために」という方は
まじめな、とってもがんばりやさんなのかもしれませんね。
- 潤子
- そういう方の肩の力を、ふっと抜いてあげることは大事ね。
- みき
- そもそも、犬と関わりを持ったのはいつ頃からなの?
- 潤子
-
もともとは動物が怖い子供だったの。
家の近くの通学路に、少し暗くて怖いところがあって、
そこにグレーの生き物がいて。
追いかけられないように、残した給食を置いて逃げていたら、
ある日、家までついてきていて。
その子をポチと名付けたその日から
わたしなんだか、世界がフルカラーというか、
彩りを帯びたように楽しくなって。
- みき
- すんなり飼うことになったの?
- 潤子
-
両親に反対されて、
許してもらえないなら、こんな家は出てやるって
ポチを連れて家出をしたんだけれど。
すぐに捕獲された(笑)。
- みき
- お世話も自分で?
- 潤子
-
両親から、ごはんと散歩は責任を持ってやるように言われて。
ごはんは自分のお小遣いで、スーパーに行って
安いお肉とお米を買って、煮て、混ぜて。
- みき
- 自分で作っていたの?!
- 潤子
-
たぶん田舎すぎて(笑)。
ドッグフードっていう発想がなかったんだろうね。
だから、愛犬のごはんを作るという事は、
わたしにとっては、その頃からもう生活の一部で、
すごく当たり前のことなの。
今はもちろん、栄養学や病気の勉強をして
そのご家族に合った方法を提案する、ということを
やっているんだけどね。
- みき
- ポチは男の子?
- 潤子
-
それが女の子でね。しばらくして赤ちゃんが生まれたの。
そこから時代が時代なので、自由に恋愛して
ファミリーが増えていって、多い時で13頭。
- みき
- すごーい。
- 潤子
-
でもきちんと犬の家族としての調和がとれていて。
家族の関係がきちんとできていて、
その愛情を目の当たりにして。
- みき
-
潤子さんとの関係は?
まさかポチの家族として扱われていたわけじゃないでしょ?
- 潤子
- 毛のない親分みたいな?(笑)
- みき
- (笑)。ごはん持ってきてくれるしね。
- 潤子
-
親分が、おいで!って言うとみんな集合するような。
看取った子もいるし、悲しいこともたくさんあったけれど、
犬がいない、というのは考えられなくて。
大学生で一人暮らしをしていた時とか
会社員の時代で、面倒を見られない時期は
実家には犬がいたけれど、自分で迎えることはできなくて。
一緒に暮らせない時期は、やっぱりさびしかった。
- みき
-
潤子さんがよくね、
犬は魂の片割れ、counterpartですって言ってるでしょ?
- 潤子
- ああ、ありがとう!
- みき
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わたしが夫と結婚した時に
仕事でお世話になっていた60歳くらいの男性から
「あなたもcounterpartを見つけたんだね」と言われて。
なんと洒落たことを言うんだ、この人は、と思って
意味を調べたら、なるほど、魂の片割れかあ、と。
結婚って、確かに
それくらいじゃないとできないよなあと思って。
counterpartっていう言葉を
こういう風に使っている人に出会ったのは、
潤子さんがふたりめです。
- 潤子
- 本当に?
- みき
-
うん。
わたしは動物と親しくする機会がなかったから、
この言葉で、動物と一緒に暮らしていこうとする人も
同じ感覚なのか、とわかった気がした。
- 潤子
- わかってもらえてうれしい。
- みき
-
昔の、30年とか40年とか前の動物の飼い方と
今の飼い方は全然違うじゃない?
わたしは昔の飼い方の感覚でいたところに、
糸井さんちのブイちゃんを知ったりなんかして、
時代は変わったんだなあってすごく思ったの。
犬は、動物はcounterpartだ、という考え方は
これからもっと
みんなが受け入れやすくなるのかな、と思う。
- 潤子
-
それはとっても嬉しい。
ポチが来るまでも、わたしは楽しかったと思うんだけど
でも、彼女が来てくれたことで
お互いにもっと必要だと思う部分に気づけたの。
counterpartって、必ずしも1対1じゃなくて
同じような心を持った人、共鳴できる人たちが
一緒になったときに、補いあっていたり
外から見て、すごくきれいな形になっていたり、というか‥‥
- みき
-
しっくりくる、みたいな感じ?
つまり、これ?
写真提供:潤子
- 潤子
- そうかな。
- みき
- これでしょう。
- 潤子
- 似てきたのかな。
- みき
- きっとそうなんでしょうね。