もくじ
第1回原点は「まわりの人がおもしろがること」 2019-02-05-Tue
第2回「自分は大したものじゃない」が根本にある 2019-02-05-Tue
第3回責任感は、だれもが少しずつ持っている 2019-02-05-Tue
第4回モノマネは、解像 2019-02-05-Tue
第5回わたし、不幸になる気がしないんです 2019-02-05-Tue

愛犬・ジヌが大好きな98年生まれ。映画館巡りと舞台がすきです。ラーメンはとんこつ派。

糸井重里×清水ミチコ対談</br>なにかを「思う」、そして「書く」

糸井重里×清水ミチコ対談
なにかを「思う」、そして「書く」

担当・高城 つかさ

「対談相手は、清水ミチコさんです」。
そう聞いたとき、ぱっと思い浮かんだのはモノマネをしている姿でした。
きっと、わたしと同じような方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

じっさいは、どんな方なのだろう。

しらべてみると、エッセイ本を出したり、ブログを綴ったりと
「文章」にも近しい、とのこと。

そこで、エッセイを読んだり、曲を聴いたりしながら紐解いてみると、
そこには日常で起きる出来事をしっかりキャッチし、言葉に、芸に還元していく
清水ミチコさんがいらっしゃいました。

今回は、むかしから交流のある糸井と清水さんが
仕事について、そして文章について語りました。

どうぞ、お茶でも飲みながら、ゆっくりとお楽しみください。

プロフィール
清水ミチコさんのプロフィール

第1回 原点は「まわりの人がおもしろがること」

糸井
ぼく、清水さんの文章を「みんな、このくらい書けるようになりなさい」って、言った覚えがありますよ。
清水
ほんとう?
糸井
うん。言ってはわるいですけど、文章の修業をしたつもりはないわけで。
清水
うん、うん。
糸井
「修業したつもりのない人がこんな文章を書けることに、もっと、おののいてください」って。社内で言ったことがありますよ。

清水
わあ、うれしい。頑張ろう。
糸井
ご本人は、文章をなんだと思ってるの?
清水
文章……。
ブログなら、1日がおわった寝る前に「こういうふうだった」ってことを書くとスッキリして眠れるから、トイレみたいな感じですかね、排泄(笑)。

糸井
ほう、排泄。
 
でも、なにも思わないで生きてたら、書く段になって書けないじゃないですか。
清水
うんうん。
糸井
たとえば、「アシスタントの子、気が利くなあ」と思ったから、
そのことを(ブログに)書けるわけじゃない?
清水
そうね。
糸井
なにかを思っている分量は多いよね。
清水
うん、きっと多いと思う。
 
わたし、高校生のときには、すでに自分のおもしろノートというものをつくっていたの。それに、真面目なエッセイ欄もあって。

清水
それを「今回も書きましたけど、どう? 読む?」みたいな感じでまわして。
読んでくれた人が笑ってると、もうすごくしあわせ! みたいな。
糸井
べつに、思っていることをだれかに言うわけじゃないけど、「こうしたな」、「あ、おかしいことしてるな」と見ていて(笑)。
清水
あとで、ちまちまと(笑)。
糸井
頭をとんがらせたりなんかしながら書いて。
清水
それで、本人はしあわせっていうね。
糸井
そう。
 
清水さんは、まわりの人がおもしろがることが原点なんですね。
清水
そうですね、うん。

清水
わたしの家系は、弟がほんとうに真面目なの。
それで、わたしはちょっと真面目そうな顔をした、そうじゃない子なのね。
 
ひいおじいちゃんが、エイザブロウっていうんだけど、「嘘つきエイザ」って呼ばれていて(笑)。
糸井
うん(笑)。
清水
人って、名誉やお金のために嘘をつくけど、そうじゃなくて、自分の楽しみのためにだけ嘘をつく人だったの。
糸井
ほう。それで、ちゃんといい子だったんですか。
おじいちゃんは嘘つきかもしれないけど、「わたし」は。
清水
うん。わたしは、いい子でも悪い子でもなく、パッとしないような子だった。
 
けど、糸井さんの「ヘンタイよいこ新聞」を高校生のときに読んだり、『オールナイトニッポン』を聞いたりして、だんだんお笑いの世界に……。
糸井
パッとしていった。
清水
自分のなかではね。
みんなが恋愛をしているなかで、「ビックリハウス(※)」に載ったとか、ラジオで投稿を読まれたとか。
わたしだけ、しあわせの度合いがちがう感じだった。

(※ビックリハウス:1974年から1985年まで発行されていた日本のサブカルチャー雑誌)

糸井
だけど、ラジオで選ばれたり「ビックリハウス」に載ったりするのって、じつはかなり難しいことで。
清水
そうかな。
糸井
うん。おれ、「いまやって」と言われて、載る自信ないよ。
清水
ほんとうですか。
糸井
うん。それができちゃったわけでしょう?
清水
そんなことばっかり考えてたからね、青春時代ずっと(笑)。
糸井
ハガキ職人ですよね、いわば。
清水
そうそう。ハガキ職人も、しあわせというか、夢がありましたよね。
第2回 「自分は大したものじゃない」が根本にある