- 糸井
- 清水さんとか、先どうするみたいなこと考えるの?
- 清水
- 考えないけど、占いの人のところに行ったときがあって。
- 糸井
- 自分で考えたくないんだ(笑)。
- 清水
- 人に頼った(笑)。そしたら、なんか車椅子に乗って演芸やってるらしいです。
- 糸井
- ああ。でも、それを拍手で迎える人がいる限りは、OKですよね。
- 清水
- そうかもね、出るかもね。
- 糸井
- 自分としては嫌だって言っても、そんなに喜んでくれるなら、車椅子の両側に龍をつけてね。雷様みたく、雷鳴と共に登場。
- 清水
- 笑えないです(笑)。
- 糸井
- 「さあ、笑え!」、ドワワワァー!
- 清水
- 「ここだぁ!(笑)」って、ドラが鳴る。
- 糸井
- そう(笑)。
あ、じゃ、考えたくないのはあるんだね。
- 清水
- うん、そうですね。
でも、私、不幸になるような気がしない。
- 糸井
- ああ。それがすべてだと思うね。
その「運悪くないし」みたいなね。
- 清水
- うん、そうね。
- 糸井
- ボウフラでもそうなんだよね。
- 清水
- ん?
- 糸井
- ボウフラでも多分そうなんだよね。
- 清水
- あ、ボウフラ(笑)。失礼だな、この会社(笑)。
- 糸井
- いや、あんなやつらでも、
あれ「運悪くないし」と思ってると思う。
- 清水
- やめてよ(笑)。
- 糸井
- いや、思ったのよ。俺、孫ができたじゃん。
で、見てるともうね、うらやましいの、やっぱり。
- 清水
- あ、楽観性?
- 糸井
- そう。
- 清水
- 子どもって、でも、とくにそうなんですよね。
- 糸井
- うん、それないとやっぱり生き物ってダメでさ。
- 清水
- うまくいく人は大体そういう人多いからね。
- 糸井
- だけどさ、俺、3年か4年前に、武道館の最初やったぐらいのときに、ああ、清水さんもボスになったんだと思ったよ。
- 清水
- え、本当?
- 糸井
- うん。つまり、立候補しないのにボスになった人って一番いいなと思ったよ。何ていうんだろう、みんな利害関係なく集まってるじゃない。
- 清水
- ああ、そう、そう。よくわかりますね(笑)。
- 糸井
- その場所に立つのって、なかなか大変なことでさ。
- 清水
- 目指したらね、きっと大変だと思う。運もよかった。
- 糸井
- で、世話をしてきた覚えもないじゃないですか、人の。
- 清水
- うん……あんまりだな(笑)。ボウフラ扱い、あんまりだな(笑)。
- 糸井
- 改めてお聞きしますが(笑)、
何か「私は人の世話をしてきたんですよ」って思ってますか。
- 清水
- ああ、してない。でも、若い頃は思ったの。
私も永六輔さんみたいになって、新人のライブを見に行って、
「こうしたほうがいいよ」とか、背中を押してあげるようなおばさんになれたらいいなと。
でも、やっぱり自分は自分の明日というか、今日でいっぱいいっぱいなのよね。だから、人の背中を押してあげる人って、大したものなんだなと思った、
- 糸井
- つまり、してないって。
- 清水
- してなーい。これからもしなーい(笑)。
- 糸井
- (笑)。でも、「こんなんでもいいんだよね」は見せてるよね。
- 清水
- うん、そうだね。こんなんでも大丈夫ですよって(笑)。
- 糸井
- それから、あんまり、ツッパってないよね(笑)。
どうでもいい番組における、どうでもいい居方についても、
別にそれはそれでっていう(笑)。
- 清水
- (笑)。どうでもいい番組とは何だ、きみ(笑)。
- 糸井
- いや、一切ないんだけど(笑)。
- 清水
- 確かに、うん。
- 糸井
- 例えば清水ミチコがゲストなんだけど、結局二言ぐらいしかしゃべんなくても、お笑いの本職の人だとわりと気にするんだけど、全然気に(笑)‥‥。
- 清水
- しょうがないじゃんつって(笑)。
- 糸井
- 番が来なかった(笑)。
- 清水
- もう終わった(笑)。
- 糸井
- で、必要なときにはまあ、ピアノも弾くしみたいな(笑)。
- 清水
- 何かありゃ(笑)。
- 糸井
- あの、だから、全部アリですよねっていうのは、ちょっといいですよね。
- 清水
- うーん。初めて客観的に自分を見たような気がした。
- 糸井
- 清水さんも、いい気にならないモードを保っていられるのは、
いい気になっちゃいけないと思ってるからですか(笑)。
- 清水
- いえ、そんな立場にないからだよ(笑)。
- 糸井
- 役割としてさ、多少偉ぶってくれないと困るんですよねって場面に呼ばれることはないですか。
- 清水
- あ、審査員とかね? うんうん。
やっぱりちょっと偉そうなほうが、その場合いいんですよね、
おさまりが。
- 糸井
- おさまり、おさまり。で、それを経験していくと、そういう人にどんどんなっていっちゃうじゃないですか。
で、自分はその、いい気になって‥‥たぶんなってないと思うんです。なってないのは、なんないようにしようとしてるからだと思ったんですよ。清水さんもならない理由の一つはやっぱり、失われるものが大き過ぎるからだよね。
- 清水
- ああ、そうかもね、うん。
- 糸井
- 誰でもいい気にはなれるじゃない? 28、9だって。
- 清水
- うんうんうん。
- 糸井
- それを何回も機会があったろうに、ちゃんと逃げてるし。
- 清水
- ああ、そうね。
でも、気がつかずになってたかもしれないけどね。
- 糸井
- ああ、なるほど。こういうとこなんだよ、この人の面白さは。
なってたんだ。
- 清水
- しまったー。自白した(笑)。
- 糸井
- でも、奪われるもののほうが多いよっていうのは、
ちょっとなんかね、気づくね。
- 清水
- そうね、うん。あとやっぱりほら、
自分を客観的に見てナンボの商売だから、私たちは。
- 糸井
- ああ、そうかそうか。「こう見えてるよ」が仕事だからだ。
「こう見えてるよ」っていうの、実はプロデュースの原点だね。
- 清水
- あ、そうかね、うん。
- 糸井
- モノマネがプロデュースの原点です。
ほら、最後、キレイにまとまった。
- 清水
- やめてよ、ちょっと。軽薄(笑)。
- ――
- 年末の紅白歌合戦のあと、「ゆうべの紅白は最後までバレなかったみたい。よかった」という清水さんのツイッター、すごい面白かったです。
- 清水
- ああ、ひどいね(笑)。
- 糸井
- ああ。
- 清水
- なんか友達から、清水ミチコって名前がツイッターですごいからって聞いて。あの『紅白』で桑田さんと歌ってたのが、清水ミチコじゃないかっていう。だから、自分でちょっと言ってみるかと思って(笑)。
- 糸井
- それ言える権利のある人って、1人しかいないもんね(笑)。
- 清水
- 権利ないけどね(笑)。
- 糸井
- ああ、うらやましいなあ。いや、清水ミチコになってみたいよ。
- 清水
- あ、本当? 初めて言われた(笑)。
- 糸井
- うんうん。
- 清水
- 穴場。
- 糸井
- 穴場っていうか(笑)。いいね。
(おしまい)