ネパールでぼくらは。

#25全員がネパールで集まった。
これからみんなで旅を‥‥んん?
浅生鴨がまたしても別行動。
iPhoneをどうにかしようとしているみたいだけど、
うーん‥‥よせばいいのにねぇ。

隣にあった

(浅生鴨)

合流した僕たちは、みんなで同じ宿に入った。
昨日僕が訪ねたホテルだ。
ようやく今日からはミスタータナカも
ここに存在することになるのだ。

部屋に入ってひと息ついたら、シャラドの知り合いが
経営しているレストランへ食事に出かけるという。
そういえば、ここまで僕はシャラドのことを
何ひとつ書いていないけれども、
きっとほかの人が書いているだろうから、
あえて説明はしないでおく。

とにかく、このあとみんなで出かけるのだ。
でも僕にはその前に
どうしても行っておきたいところがあった。
例のiPhoneを売っている店だ。
今日ここで手に入れておかなければ、
ぜったいに困るという予感があったのだ。

僕は宿に荷物を入れると、すぐに一人で先ほどの店へ
向かうことにした。宿からだと歩いて15分ほどの距離だ。
午前中に一度訪れていたこともあって、
迷うこともなく僕は店に無事到着した。
今度は店も開いていた。
ちゃんと12時に開けてくれていれば
こんな二度手間にならなかったのに。
つい文句を言いたくなる。

広々とした店内は壁も天井も真っ白に塗られていて、
ギャラリーのような雰囲気だった。
壁際にアップルの製品がポツンポツンと展示されている。
僕がカウンターに近づくと
店員が緊張したような面持ちでこちらを見た。

「iPhoneはありますか?」
「iPhoneはあります」
「私はiPhone7かiPhone8が欲しいです」
「iPhoneXがあります」
「iPhoneXではなく、iPhone7はありますか」
「iPhone7はありません。iPhoneXがあります」

どうやら最新の機種しか置いていないようだった。
ううむ、これは参ったぞ。僕は頭を抱えることになった。
ドローンを飛ばすには、別にどちらの機種でも構わない。
参ったのは僕ではなく僕のお財布だった。
これまで僕はいろいろな国でさんざん財布を掏られたり、
カードのスキミングをされたりしているので、
今回は、安全のために普通のクレジットカードではなく、
デビットカードしか持って来なかった。
デビットカードなら、たとえ盗まれても、
あらかじめチャージしてある金額以上は
使えないから安心なのだ。
ところがである。iPhoneXは、
僕がチャージしている金額よりもはるかに高いのだ。
つまりこのままでは買えないのです。
いつもなら、こういうときには、ネットバンクを使って
デビットカードに連動している口座へ
お金を振り込めばそれですむのだけれども、
今日は土曜日なので、今から振り込んでも
実際に入金されるのは月曜日になってしまう。
参ったなあ。どうすりゃいいんだろう。
「iPhone7は古いです。もうありません」
そうだよなあ。中古ショップを探すしかなさそうだ。
これからどうするかは、あとで考えることにして、
ひとまず戻ってみんなと食事に行こう。
中古ショップの情報は現地の人に聞くのが一番いいだろう。

再び15分ほど歩いて宿へ帰ると、
たった今、みんなはレストランへ向かって出発したという。
あと5分早ければ一緒に車で行けたよと、
フロントスタッフがなぜか嬉しそうな顔で教えてくれた。
歩き疲れてぐったりしているところに
トドメを刺すような情報をありがとう。
僕は彼に笑顔でうなずき返してから、
チャットでみんなに連絡した。

「宿に戻りました。これから追いかけます」
「ここにいます」
店の名前と場所が届いた。
地図の上には赤いマークが記されている。
スマホの画面を拡大して、
その地図を見た僕は、げんなりとしてしまった。
マークは、たった今、
僕が行ってきたばかりのiPhoneショップの隣にあった。

明日につづきます。

2019-07-09-TUE

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