ネパールでぼくらは。

#26ネパール料理はおいしい。
そのおいしいネパール料理の席で、
ちょっとした事件がありましたよ?
え、鴨さんがなにかやらかした?
いえ、主役は、古賀さんでした。

ネパール唐辛子の惨劇。

(古賀史健)

鴨が食べ、山田が食らいし、とうがらし。
小池に続いて、おれがかじって。

そんな即興歌を詠みつつ
がりっとかじったネパール唐辛子。
鴨さんは「辛いけど、まあだいじょうぶ」と言い、
山田さんも「たしかに、だいじょうぶ」と言い、
小池さんも「うん、古賀さんならイケる」と保証した、
ハバネロみたいな形状の、ネパール唐辛子。
正式名称は知らないし、調べるつもりもない。

ぼくは豪快に、種までがりっと、
ししとうの天ぷらを食べるくらいの勢いでかじった。

「があああああ!!!!!」

これ、もう、
過去に食べてきた辛味成分を
ぜんぶ足して二乗したくらいの激辛で、
食べた2秒後に玉のような涙が吹き出し、
その玉が眼球の下から
ポンポンと景気よくジャンプしていく。
こんな辛さも初体験なら、こんな泣きかたも初体験だ。

その場にいる全員がゲラゲラ笑い、
ことにライくんはじめ、ネパールの人たちは
腹を抱えて大笑いしている。

舌がちぎれそうな激痛を感じながら、
ぼくはもう、旅のおわりがさみしくなってくる。

せっかくライくんが
「このお店のダルバート(カレー定食)をぜひ」
と案内してくれた有名店だったのに、
ぼくはネパール唐辛子の激痛と、
みんなの笑い声しか憶えていない。
旅ってだいたい、そういうものだ。

写真:永田泰大

ネパール料理

(幡野広志)

モモという鶏肉や水牛の肉が入った
蒸し餃子のような料理は絶品だ。
これを書いているいまもモモが食べたくなってきた。

ネパール料理は美味しいけど、
見ためからは想像がつかないような辛い料理もたくさんある。
ぼくは辛いものが得意ではないが、
ついつい好奇心で食べてしまう。

料理を食べることで、その料理の味を知ることができる。
知らないことを知るというのが旅のたのしみでもある。

カトマンズでの夕食時にシャラドが笑いながら、
ネパールのプチトマトを紹介してくれた。
いたずらをするときの少年のような笑顔だ、
あれ絶対にプチトマトじゃない。辛いやつだ。

鴨さんが最初に一口食べる。
「辛いけどまぁ食べられるよ」とわりと普通の反応だ。
鴨さんの反応を見て
辛いものが好きな古賀さんがパクッと食べた、
ぼくもゴマ一粒ほどの大きさをフォークでちぎって食べる。

ゴマ一粒ほどの大きさにも関わらず、とんでもなく辛い。
辛い(からい)を飛び越えてもはや辛い(つらい)。

パクッと食べた古賀さんはどうなったかというと、
あまりの辛さ(からさ、つらさどちらでもいいです。)
に涙を流している。

シャラドは笑っている、
ほかのネパール人たちは
辛いプチトマトを普通に食べている。
鴨さんは「あー、からかった」と満足そうだ。

ネパールで一番美味しいと感じたのは、
このときに飲んだ水だ。

明日につづきます。

2019-07-10-WED

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