
10年前のインド
(幡野広志)
YouMe Schoolに向かう途中で
ガンジス川の源流を見ることができた。
10年前にインドを一人旅しているときに、
ぼくはガンジス川でツルッと足をすべらせた。
手をついたさきに割れた陶器があって、
左手をザックリと深く切る怪我をした。
血だらけの手をおさえて、困っていると、
ドラッグストアのようなところに、
知らないインド人につれていってもらった。
ぼくは怪我した手を見せて
「Give me drug」となんども繰り返した。
ぼくはまったく英語が話せない。
ドラッグストアだから薬はドラッグだと思っていた。
でも正しくはメディスンだ、
薬はメディスンというらしい。
メディスンのつづりもわからないけど、
「Give me メディスン」と繰り返すべきだった。
「Give me drug. Give me drug」と繰り返していると、
さっきの知らないインド人にまたつれられて、
覚醒剤や大麻など、
本当のドラッグを売ってるお店につれていかれた。
左手にはいまも傷跡が残っていて、
偶然なんだけど旅行線という手相の場所と一致するらしい。
手相をみてもらうと、
旅行線がはっきりしてますねぇなんて言われるけど、
旅行さきでできたものだ。