ネパールでぼくらは。

#99このネパールの旅のなかで、
田中泰延さんは、
はっきりとテーマを持っていた。
彼の背中を見続けること、だった。

DAY 6 A Photographer

(田中泰延)※コラム内の写真も撮影

ここから先のぼくの話は、長くない。

旅に出る前は、ネパールという国、
故郷に学校を作った留学生、
余命宣告を受けたカメラマン、
見届けるぼくたち、
これはややこしい連立方程式だと思った。

だが、こうして立ち会うと、
その解はすべてこの瞬間、瞬間にあった。


ぼくらの解は、未来だ。それを幡野さんが証明する。
彼は進んでいく時間のために、今を描いているのだ。

ぼくは古賀さんと話した。
だれにとっても、時間は砂時計だと。
砂粒が落ちる一刻一刻を感じるために、
その瞬間を生きるために、
その先を生きるために、写真があり、
そして文字があればいいなあ、と。

写真修行中の身であるぼくは、
幡野さんがシュートする、そのすべてを見ようと思った。
撮ることは、砂時計の一粒一粒を見せること。
その一粒は、未来の時間に向けてはたらきかける。

背中を見続けた。

ぼくの取材が、終わった。

明日につづきます。

2019-10-21-MON

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