宮本 |
うん、ほんとにこの体制で
作るのかどうかっていう
判断をするところまで、
やっぱり、やってみないとわかんないですし、
僕も自由にやってもらうので、
やった結果がダメなときは、
最後までいけないですから。
ま、その中間のチェックがあって、
そこで、「どうです?」って言われて。
どれか言わなあかんですよ。
ま、3つ、
「止めよう」と
「直そう」と
「行け」という、3つ。
それしかないんで(笑)。 |
糸井 |
信号機みたいですね(笑)。 |
宮本 |
そうそう。
どうですか? って言われるので、
ちょっと、一晩ぐらいせめて考えさせてよ、
って(笑)言うんですけど、
だいたいウチ即決なんですよね。 |
糸井 |
即決できやすいですか? |
宮本 |
んー……。 |
糸井 |
「あかん」もあるんですか? いっぱい。 |
宮本 |
うん、「あかん」はね、あります。
「あかん」は、
頭動いてないなっていう感じがするものは
「あかん」です。
考えてない、とか、
その人が出てないとかいうのは、
も、全部、「あかん」か
「しょうがないなー」なんですよ。
ゲームをつくるっていうのは……。 |
糸井 |
「しょうがない」は「あかん」の意味なのね? |
宮本 |
いや、でも、このプロジェクトは
これで行こうか、って。
ここじゃなくても、
頑張れるパートがあるからね、
ともかく始めようって(笑)。
それが「しょうがない」ですね。
けど、それは、人に言うだけじゃなくて、
自分の仕事でもそうなんですよ、やっぱり。 |
糸井 |
ありますね。ただ、それは、
ほんとうにしょうがないときには
GOだけど、基本的には、
やっちゃいけないって思いながらも
やるんですよね。
話が戻りますが、
1年っていうところに、
今のコンセプトのほとんどは、
まずは入ってたんですか?
最初の1年の中に? |
宮本 |
……そうですね。入ってた、と思う。 |
糸井 |
はは~。それは昔と同じ? |
宮本 |
そうですね。
磨いたら良くなるっていう
原形が入ってたっていう感じかなぁ?
それ、わりと、昔から一緒です。
ダメと思いながら、
ゴール近くまで行って、
やっぱりダメよね、っていうので、
急場の手を打つプロジェクトもあるし、
もともと良くなるはずやけども、
どぉも良くならないけど、
きっと良くなるはずやっていうことで、
作り続けて、それで最後の方に、
噛みあってくるっていうのもあります。 |
  |
糸井 |
昔、宮本さんがおっしゃっていたんです。
「仕様書とかっていうのは、
僕は、書きますけど、
実際に動かしてみないと、
わかんないことがあって、
そっから見えてくるものがあるから、
とにかくいっぱいやってみるんです。
そういうふうに作ってるから、
ウチはややこしいんですわー」って(笑)。 |
宮本 |
うん。 |
糸井 |
よそが仕様書を完ぺきにつくってから
ゲームを作りはじめる、という時代に、
任天堂の作り方はとにかく、
とりかかってみて直してく、
っていうことが多かった。
でも、今の話だと、こんどのゼルダ、
1部、2部に分けるっていうのは、
もうすでに違ってますよね、そんときとね。 |
宮本 |
そうですね。やっぱり、ひとつには、
作るものがすごくでかい、っていうことと、
「ゼルダ」って、だいたい
どういうものかっていうひな型があるので、
そこは迷わないってことがあります。
また「ゼルダ」ですか? って
言われてもいいから作ろう(笑)、
っていうことでやってるので。 |
糸井 |
うんうんうん。そーか!
どういうゲームが欲しいかっていう、
「ゼルダ」っていうところは、
軸はずらさなくていいわけだ。 |
宮本 |
はい。そうですね。
いつも月並みに言うてるけど、
小っちゃい子がだんだん
力強く逞しく育っていく、
っていうので、
今回は青年パートはナシね、
っていうことぐらいしか
決まってないわけですよ。
けど、これがピクミンとかになると、
いったいこのゲームの目的は何にするんだ?
っていう、
その目的が間違ってるんじゃないか、
みたいなことを、
途中から言いだしたりとかするわけでしょ? |
糸井 |
うん、うん。 |
宮本 |
だから、そういう意味では
ものすごく、今回の進め方がやりやすい。 |
糸井 |
そうか。その、連作になっている
シリーズものっていうのは、
名字があって名前を決めてくゲーム、
の作り方だね。 |
宮本 |
あ、そう、ですね。
もう、名字は決まってる。 |
糸井 |
宮本家のヨシコちゃんとか。 |
宮本 |
うん。けど、今回は
ヨシコちゃんじゃイヤだよね、っていう。 |
糸井 |
(笑)。 |
宮本 |
やっぱり英語でも使える名前にしたい、
みたいなところでずっと悩んでる。 |
糸井 |
ジョニーみたいな、な。 |
宮本 |
うん、そうそう(笑)。
そこを延々と
やってたっていう感じですよね。
だから、最初に、あの、絵が出てきたときが、
第1回目の賭けで、
どうしようか?っていう感じで‥‥。 |