よく晴れた6月のある日、
糸井を乗せた飛行機が
北海道の旭川空港に到着しました。
この日は、映画『愛を積むひと』で
主役を務めた佐藤浩市さんと、
はじめてお会いする日です。
旭川空港からはタクシーで
映画の舞台となった美瑛(びえい)町に向かいます。
その車中、糸井は同行のカメラマンと
『北の国から』の話で盛り上がったり、
窓の外の緑をじっと見つめたり。
運転手さんは、
「あそこに見えるのは、十勝岳で‥‥」と
目に映る風景を説明してくれます。
ゆっくりと進んでいたタクシーが
十字路の直前で、突然停まりました。
運転手さんは、
「ここを曲がるのかなぁ」
とつぶやきながら、
近くのお店の人に道をたずねるために、
車を降りていきました。
それも無理はありません。
映画会社の方からいただいた地図はあるものの、
我々が向かおうとしているのは
そもそも住所が存在しない、
映画の撮影のためだけに建てられた家なんです。
空港を出発してから約30分、
どうにかたどり着いたその場所には、
映画のシーンそのままの
すばらしい風景が広がっていました。