「畑deしぼり」を作ってくださっている
ベルファームさんのジュースは、
フレッシュで、透き通っていて、
おいしいのが特徴です。
どうしてこんなにきれいな色なんだろう。
すーっと飲めるのは、なんでだろう。
そしてなぜ、ペットボトルや瓶ではなく、
「冷凍パック」なんだろう。
いろんな疑問を、社長の鈴木さんと、
工場長の永島さんにうかがってきました。

第1回 安心できる「飲む野菜」を届けたい。
2021-03-30-TUE
第2回 しぼる機械も手作りなんです。
2021-03-31-WED
第3回 100歳になっても元気で働ける場所。
2021-04-01-THU

第2回
しぼる機械も
手作りなんです。

――
できあがったケールを
ジュースにする際の機械も、
手作りされたそうですね。
鈴木
はい、手作りです。最初はすごく小さいものでした。
ちょっとずつ改良を重ねていったので、
今の機械は、当時のものから考えると、
60倍くらいの能力があります。
写真
――
60倍!?
鈴木
甲田先生は青汁を搾らず、
つぶしてドロドロにして食べる方法を推奨していました。
でも、もともとケールって苦いものですし、
ざらっとしたものが口に残るよりは、
搾ってジュースにしたほうが飲みやすいので、
独自に搾る方法を模索しはじめたのが、
機械を作ることになったきっかけです。
――
独自に搾る方法。
永島
ヒントになったのは「すり鉢」です。
野菜をすり鉢ですりつぶすことによって、
熱がかかりにくく、
そのまま飲む野菜としていただくことができる。
高速だと熱が生じてビタミンが破壊されやすいから、
とにかく低速でゆっくり、というのがポイントで、
そこが、「低速すり搾り製法」の原点になったんです。
――
「低速すり搾り製法」によって、
熱を発生しにくくするんですね。
永島
さらに、低速のメリットは、
酸素に触れる表面積が少ないことです。
高速で回転すると、そのぶん空気に触れて、
酸化しやすくなるんです。
あとは刃物で切らない、ということも特徴です。
――
刃物で切らない。
よくある「ジューサー」って刃がついてますよね。
永島
会長に教わったことですが、
例えばビタミンCというのは風船のようなものなんです。
包丁みたいな尖ったものをスッと当てると
パンッと割れちゃうけど、尖っていないもので
ギューッと押してあげれば、風船は割れにくい。
だから昔の人は、野菜は手でちぎりなさい、
ということを言っていたそうです。
――
ああ、なるほど。
永島
実はうちの機械は、ギアとギアが
ぶつかりあってなくて、若干の隙間があるんです。
野菜を切らずに押しつぶしているイメージです。
回転も速すぎず、遅すぎず、
あくまでも手ですり鉢でつぶしている様子を
機械で再現しています。
写真
――
以前取材させていただいたとき、
企業秘密で見せていただけなかった機械内部の部分、
まさに、そこにノウハウがつまっているんですね。
永島
はい。できる限り素材の味を変えず、
新鮮なままで味わえる製法です。
会長が発案して、そこから30年、改良を重ねています。
――
工場を見学させていただいたとき、
搾りかす、つまり繊維質を取りのぞいて
ジュースを作られている様子を拝見したんですが、
それはなぜそのようにされたんですか?
永島
まず食物繊維には、水溶性と不溶性があります。
水溶性の食物繊維は、水分に溶けますので、
当然うちのジュースにも入っていますが、
不溶性の食物繊維は、
フィルターを通して濾しているんです。
ざらっとした食感の部分をのぞくことによって、
口当たりがなめらかになり、
透明感のあるジュースができます。
――
たしかに、透明感があって、
きれいな野菜そのものの色ですよね。
永島
不溶性の食物繊維も、
からだのおそうじをしてくれるなどメリットがありますが、
あえて取り除くのが、
いわゆる「コールドプレス」の特徴で、
不溶性の食物繊維を取り除くことによって、
体の消化吸収にかかわる負担が減り、
素材の栄養素を効率よく吸収しやすくなるんです。
ただ、取り除くといっても、
網目の細かいメッシュを通るだけなので、
少しは入っていますけどね。
写真
――
なるほど。
永島
そうして作ったジュースを、
よけいな保存料を入れずに冷凍保存して、
冷凍便でお届けしています。
そのぶん、もちろん送料が高いとか、
冷凍庫の電気料が高いとか、デメリットはありますけども‥‥。
――
それでも冷凍にした理由ってなんでしょう。
永島
常温で瓶詰めにした
ストレートジュースも存在しますが、
瓶詰めにする際、通常以上に殺菌をしないと、
常温で日持ちするような形態で保存できないんです。
私たちのジュースも、法律にそって
最低限の加熱殺菌はしています。
そのうえで、できる限り自然の野菜の味に
近い状態で保存するために、冷凍保存を選びました。
人間も、献血したあとの血液って、冷凍するそうですよ。
写真
――
輸血用の血液も‥‥!
知らなかったです。
冷凍について、何か工夫されていることはありますか?
永島
たとえば、冷凍庫の持つ能力を最大限に活かして、
どれだけ短時間で凍らせることができるか、ということは
常に改善しているポイントです。
冷凍する際、置く場所によって冷え具合が違うので、
ときどき場所を変えてます。
あとは、パックの下にステンレスの板を敷くことで
熱の伝わりを良くしたり、
製品がキチッと平らになる工夫をしたり、
剥がしやすいように網のネットを入れたり、
そういう工夫をしていますね。
鈴木
今はある程度台車に乗せた状態で
冷凍庫に入れるようになりましたが、
昔は2ケースずつ手作業で冷凍庫に入れてたので、
何十回も出入りしていたんです。
マイナス35度くらいの場所に何度も入るんで、
寒くて、凍えて(笑)。
――
ケールを育てることも、
「低速すり搾り」の機械をつくられたことも、
冷凍にする際の工夫も、
すべてが初めてのことだらけですよね。
鈴木
そうですね。
会長はとにかく甲田先生との出会いが衝撃的だったそうです。
先生に頼まれたというその使命感でやってきて、
今に至っています。
写真
――
奥様である鈴木社長と二人三脚で‥‥。
ご苦労もおありだったでしょうね。
鈴木
ええ、そうですね(笑)。
私、販売にも行ってたんです。
最初はつくば市の中心街、竹園というエリアで、
お茶屋さんのスペースを0.5坪間借りして販売していました。
毎朝4時に起きて、ジュースを作って。
――
うわぁ、朝4時!?
鈴木
そうですね。大変でしたけど、
そういう積み重ねで、
地元で飲んでくださる方が増えたので、
次は東京に出ていきました。
浅草と上野に店舗を構えて、そこでも販売して。
それから20年以上経ちますけど、
ありがたいことに、当時お店に来てくださっていて、
今も通販で取り寄せて飲んでくださっている方が
たくさんいらっしゃるんです。
写真

(つづきます)
2021-03-31-WED