Miknits2023 三國万里子さんの編みもののお店、はじまります。

Miknits2023

三國万里子さんの編みもののお店、はじまります。 三國万里子さんの編みもののお店、はじまります。

10th Anniversary

ニットデザイナー・三國万里子さんの
編みもののお店がオープンします。

Miknitsは、2023年で10年目を迎えました!
これからもたのしく、おだやかに、
ときに冒険をしながら。
次の10年に踏み出していくような
今までになかった作品がならびました。
10周年を記念して、
foodmoodのなかしましほさんとつくった
スペシャルなクッキー缶もお届けします! 三國万里子さんプロフィール

04

姉妹の故郷・新潟の佐渡バターでつくる
foodmood・なかしましほさんの
特別なクッキー缶。

ほぼ日ではおなじみ、料理家のなかしましほさんが
店主をつとめるおやつのお店・foodmoodさん。
厳選された食材でつくられた、
うっとりおいしい焼き菓子は、
いつまでも食べていたい味わいです。

今回、Miknits10周年を記念して、
foodmoodさんが特別なクッキー缶を
つくってくださいました!

それは、三國万里子さんとなかしましほさん、
姉妹の故郷・新潟がほこる食材「佐渡バター」を使った
クッキーがぎっしり詰まった缶です。
じつは、この佐渡バター、以前からなかしまさんが
「いつかこのバターでおかしをつくりたい」と
長年想いをあたためていた、貴重な食材なんです。
そのクッキーの、おいしいこと‥‥!
クッキーがたっぷり入っている贅沢さも魅力。
foodmoodにとってもあらたな挑戦となった
クッキー缶ができるまでのお話を、
なかしましほさんにうかがいました。

今年のクッキー缶について
はじめて打ち合わせをした日のこと、
覚えていらっしゃいますか?

そうですね‥‥
なにか、変わったことがありましたっけ?

しほさんが、すごい熱量だったんです。

「せっかく10周年だから、
ずっとあこがれている食材で
クッキーをつくってみたい」と。
しほさんのなかで、
いま最も食べたい”クッキーの理想形“が
完成されていらっしゃるんだなと感じました。
「ぜったいにつくりたい」と、熱い想いがメラメラと。

そうだったかもしれないですね(笑)。
せっかくMiknitsが10周年ですし、
なにか特別なことをしたい
という思いは強くありました。

あと、この缶だからこそできるクッキーって、
ぜったいにあるんですよね。
缶という形状でしかできないことを
やってみたいとあれこれ考えたときに、
子どもの頃に大好きだった
クッキー缶を思い出したんです。
あこがれというか、夢みたいなものというか。

夢みたいな、クッキー缶。

クッキーが、缶いっぱいに
ぎっしり詰まっているクッキー缶を
見たことがありませんか?
小さな頃、外国に行った方のお土産で、
もらったことがあったんですよね。
縁にジャリジャリとした砂糖がついていて、
縦にぎっしり詰められていて。
日本のおかしにはない、
ふくよかなバターの香りがしてくるんです。

ああ、なんとなくわかります。
たくさん入っているので、ちょこっとずつ食べて、
その一ヶ月が幸せに過ごせる、みたいなやつですよね。

そうそう、それがあるだけで、
ずーっとうれしい缶です。

私も姉も、すごく好きでした。
滅多に食べられないから、
缶がおうちにあると
とてもうれしかった記憶があります。

わかります。
素朴な味だったりするんですけど、
缶にぎっしり詰まっている感じに
気持ちが上がるんですよね。

そうなんですよ。
ギューギューに詰めこまれたものって、
心のどこかで惹かれますよね。

私たちはふだん紙のボックスなので
袋に入れる必要があり、
箱にぎっしり、という形状は難しいんです。
なので、Miknitsが缶をつくってくれたことで、
あたらしいものがつくれて、うれしいです。

こちらこそ、ありがとうございます。

ただ、この缶は一般的なクッキー缶の
倍くらいの大きさなので、
とにかくたくさん入れなければいけなくて‥‥。

たしか、深さもあるとおっしゃっていましたよね。

はい。深くて、大きいんです。
相当な枚数を入れないと「ぎっしり」にはならなくて。

食材や価格面など、
たくさん試行錯誤いただきましたよね。
大量生産ではなく、ひとつひとつ手製ですし、
上質な材料には限度があって。
結果的にみんなで「おいしいものをつくろう」
というところに着地して、
価格ははりますが、そのぶん食材も手間も量も、
自分たちが納得いくものを目指すことができました。

姉も含めてみなさんが、
私の思いを汲んでくださってうれしかったです。

あれだけの熱い想いを受け取ってしまうと、
「しほさんとfoodmoodさんがつくる、
おいしいバタークッキーを食べてみたい」、
という気持ちが勝ちました!
結果的にバタークッキーがたっぷり入った、
贅沢なクッキー缶になりましたね。

どんな味わいのバタークッキーに
なったのでしょうか?

たまに食べるのなら、
厚みがあって、バターの風合いが強い、
1枚で満足するクッキーが好きなのですが、
今回は枚数が多いので、
日々食べても飽きのこないものにしたいと思いました。
すこし素朴な味わいで、適度な厚さと噛みごたえで、
バターの風合いや甘さがくどくない上質なもの。

「毎日、3枚ずつ食べるのが楽しいクッキー」、
みたいなイメージだという話をしましたよね。

そうですね。
味わいの決め手は間違いなくバターなのですが、
「佐渡バター」を使えるようになったのは
ほんとうにうれしかったです。

しほさんの目が、キラキラしている‥‥!

とても貴重なバターなんです。
難しいのは承知の上でご連絡したところ、
引き受けていただけることになって、
いまでも夢のようです。
ちょうど昨日お返事をもらったのですが、
スタッフと大よろこびしました

しほさんは、いつ頃から佐渡バターへの
あこがれを募らせていたんですか?

帰省したときに、新潟のお土産屋さんで
見つけたのが最初でした。
「バターでこんなにおいしいものがあるんだ!」と
ものすごく感動して、いろんな人に話した記憶があります。
新鮮で、品のあるおいしさというか。

おかしをつくる方々は、
夢のように語りますよね。
佐渡バターのことを。

そうですか。

以前、別の料理研究家の方に
お話をうかがったときも、
「いつか佐渡バターで」と仰っていました。

佐渡バターについて調べたところ、
生産地は新潟県の佐渡ヶ島。
その日しぼりたての生乳を原料に、
木の樽で手作りされている
限定生産の希少なバターだとありました。

私たちも、取り寄せようとしたのですが、
たくさんの方がオーダーするので
届くまでかなり時間がかかってしまうようで。
いつか食べてみたいと思っていたんです。

人によっておいしいと思うバターは
違うのかもしれませんが、
佐渡バターは風味が強すぎず、適度にコクがあって、
今回のクッキーによく合うと思いました。
バターによってクッキーの味わいが変わるので、
いろいろなもので試してみたんです。
ぜひ、食べてみてください。

こんなにたくさん!
いただきますね。
‥‥‥‥わあ。すごい!

ぜんぜん違いますよね。

ぜんぜん違います。
素人でも味の違いがわかるくらい、
後味というか、風味が変わるんですね。

佐渡バターは風味もありつつ、
余韻があるいい味だと思います。

全粒粉の素朴な感じとも、すごく合いますね。
ほんとに、いくらでも食べられそう‥‥。

何枚食べても、飽きないですよね。
これが発酵バターを使うと
バターの風味が強く立つクッキーになるのですが、
今回の厚みのクッキーだと「強すぎる」という話を
スタッフとしました。

それよりも、素材と合わさったときに主張しすぎない、
上質なバターというのが選択肢のひとつだったので、
佐渡バターはぴったりだと思います。

しかも、おふたりの故郷の食材、というのが
ますますうれしいですよね。
そのほかの材料はどんなものを?

foodmoodのクッキーで使っている、
北海道産の薄力粉をベースにしています。
適度などっしり感と口どけのいい粉です。
そこに全粒粉や強力粉をくわえて、
香ばしさと歯ごたえを出しました。

ただのきれいな味のクッキーだと物足りないので、
全粒粉はかならず入れたいと思っていました。
ひとえに全粒粉といっても、
小麦の品種や挽き方によってたくさん種類があります。
強力粉の全粒粉と、薄力粉の全粒粉も違いますし。

そうなんですね。

どれを選ぶかがポイントになってくるので、
今回は粗く挽いたものと細かいもの、両方使っています。
香ばしさを感じつつ、口当たりはなめらかで、
口の中でザクッとほどけるような味わいです。

全粒粉ときくと、マクビティビスケットを
イメージしましたけど、
だいぶ口当たりがなめらかですよね。

北海道産の薄力粉と全粒粉、それに強力粉、
3種類の粉を配合してベースをつくりました。
そこに、きび糖をくわえたのですが、
甘さはグッとおさえています。

控えめな甘さで、
紅茶や浅煎りの珈琲にも合いそうですし、
罪悪感なく食べられそうですね。

ああ、それはうれしいです。
ほっと一息つきたいときに気軽に食べられる
味わいをめざしました。

もうひとつ特別なのが、
三國さんのイラストを型押ししていただきました!
Miknitsを代表するキャラクター、黒猫さんに
「10th」と描かれたアニバーサリークッキーです。

この、ちょっと悪っぽい表情がいいですよね。

表情にも繊細に手を加えてくださっていると。

はい。そこはスタッフの想いがこめられているので、
ぜひ製作工程を見ていただけたらと思います。

温度や湿度によって生地の状態が変わってしまうので、
少量ずつ生地をつくって、伸ばして、
型を抜いて、冷やして

冷やすんですか?

バターがやわらかいうちに焼いてしまうと
生地が広がったり質感や食感が悪くなってしまうので、
すこし冷やしてから焼くんです。

一回で焼ける枚数も相当限られているんですね。

天板にたくさん乗せてしまうと
端っこの焼き加減が変わってしまったり
表面が持ち上がってしまったりするので、
いつもより時間がかかっているかもしれないです。

焼き加減によって、すこしずつ表情が違うのも、
手づくりならではですよね。

やっぱり、たくさん入っているのは魅力的だなと思いました。
枚数が少ないと、なくなってしまうのが悲しくて、
家族が食べようとするのを阻止していました(笑)。
大事なやつだから、食べないでって。
でも、これなら「いいよ」っておおらかに言えそうです。

2週間は賞味期間をもたせるようにしているので、
家族やお友だちと
分け合って食べてもらえたらうれしいです。
あとは、ひとりでちょっとずつ毎日食べるのも、
ご褒美みたいで楽しいかなと思います。

Miknits缶のデザインは、
三國さんオリジナル。
タイトルは
「マリーさんの猫が見つかった日」です。

今年も、三國さんオリジナルの編み地を
缶にプリントしました。
草花が生い茂った村のなかに隠れた黒猫を、
マリーさんが探し歩くような様子。
空想がどこまでも広がっていきそうな
物語のある絵柄のタイトルは
「マリーさんの猫が見つかった日」です。

息子さんが幼い頃一緒につくっていたお話から
うまれたものなんだそう。
「息子が小さい時、一緒に作っていたお話があります。
イエピッテという「家の小人」たちが活躍するサーガ(冒険物語)で、
タイトルは「イエピッテの小さな小さな大冒険」。
イラストは息子が描いたものです。

今回はそのサイドストーリーを、わたしが勝手に作って刺繍しました。

マリーさんという女性が、
居なくなった飼い猫を探しているうちに、
「イエピッテの森」にたどり着いて…というような筋書き。
わたしの中では、彼らは今も生きて冒険しているんです」(三國さん)。
絵柄もじっくりと眺めて、
空想を広げてみてくださいね。

なかしましほさんから届きました
長津家で、佐渡をおとずれた日のこと。

佐渡バターをつくる佐渡乳業があるのは、新潟県の佐渡島。
なかしまさんが、ご両親と三國さんに声をかけて
佐渡におとずれた日のことを綴ってもらいました。

念願の佐渡バターさんを使ってお菓子を作れることになり、
お礼を伝えたくて佐渡に行くことを決めました。
実は新潟生まれなのに佐渡に行くのははじめてで、
姉に相談すると「じゃあ一緒に行こうよ!」と
姉と両親も一緒に、何年ぶりかの家族旅行をすることに。

祭りが終わったばかりの佐渡の町は、
のんびりとしていて、ぷらぷら散策するのが楽しい。
どの店に入っても佐渡乳業さんの商品が並んでいて、
とても愛されているのがわかります。

レンタカーを借りて事務所に
ごあいさつにうかがいました。
もともとたくさんは作れないバター、
SNSなどの影響もありさらに品薄になっているそう。
そんな中、引き受けていただいたのがとてもありがたく、
「大切に使わせていただきます」とお礼を伝えました。
帰りはしっかりソフトクリームも味わって
(人生でいちばんのおいしさかも)、
その日は海が見えるホテルでゆっくり家族と過ごすことに。
小さい頃は毎年楽しみにしていた家族旅行。
何年経っても私はおみやげ売り場が好きだし、
父は朝ごはんを何度もおかわりしていたのでした。

2023-08-25-FRI
撮影|清水奈緒(イメージ写真)、沖田悟(商品写真)
スタイリング|田中美和子
ヘアメイク|茅根裕己(Cirque)
モデル|Eniko(Donna)