日本に戻ってきたTraveling Hobonichiには、
「Little Black Book」という題の
創作マンガのページがありました。
これは、Traveling Hobonichiのメンバーの一人であり、
ほぼ日手帳のページの
英語訳なども担当しているリンジーと
その職場「ファンゲーマー」社の
仲間たちによって描かれたもの。
リンジーが、自分のところに回ってきた手帳を
仲間うちでリレーして物語にしたら、たのしそう!
と思ったことがきっかけだったようです。
「私たちは、職場がいっしょで毎日会っているし、
何人かはほぼ日手帳を使っているから、
みんなで参加したらたのしそうだなって思ったんです。
自己紹介だけしてもおもしろくないから、
ストーリーを作ってみることにしました」とリンジー。
2007年に設立し、アメリカ・アリゾナ州のツーソンに
オフィスをもつ「ファンゲーマー」。
ゲームをモチーフにしたグッズの販売やイベント企画、
ファンサイト運営などをおこなっている会社です。
社員はもちろんゲーム好きで、日本のゲームをきっかけに
日本に興味を持ったというメンバーもいます。
また、2008年に『MOTHER3』の
ハンドブックを制作したことをきっかけに
ほぼ日のことを知り、ほぼ日手帳を使ってくれている
人も多いのだそうです。
この夏、日本に社員旅行に来ていた
「ファンゲーマー」社の仲間たちが
ほぼ日のオフィスに遊びに来てくれたので、
みんなでマンガを描いたときのエピソードなどを
聞いてみることにしました。
小さな手帳の物語を、どうぞおたのしみください。
ある日、日本の東京で美しい花が咲き、
中から小さな黒い手帳が生まれました。
小さな手帳くんは荷物をまとめ、
世界旅行に出かけました。
リンジー・モール
どんなストーリーにしようかと考えて、
なにかTraveling Hobonichiに関係している
話にしてみようと思ったんです。
旅はちょっと窮屈でした‥‥。
でも、彼には気になりませんでした。
長旅の間にも夢中になれることが
たくさんあったのです。
とはいえ、もし窓があったら、
彼はとっても喜んだでしょう‥‥。
ステファニー・カンポス
主人公が本なので、本はどうやって
旅するのかなって考えました。
それで、飛行機じゃなく箱にして、
ちょっと苦しいけれどワクワクしているようすを
描いてみました。
アリゾナのツーソンに着きました。
美しい山々とサボテン、
それから太陽の光に囲まれた街。
アディル・モヒュディン
ちょうどTraveling Hobonichiが届いたのが、
ぼくがイスタンブールとドバイの旅行から帰ってきて、
シカゴからツーソンに引っ越したばかりのころだったんです。
いろいろな土地の違いに、びっくりすることも多くて。
山とかサボテンとか、きれいだなあって感動したものを
話に入れたいと思ったんです。
しかし突然、突風がかわいい手帳くんから、
かわいい帽子を持って行ってしまいました!
旅するかわいい手帳くんは
どうしたらいいのでしょう?
「ぼくの帽子が!」
オードリー・ウェイナー
ストーリーを次につなげていくために、
なにかを起こさないとと思ったんです。
リンジーが、最初のシーンで帽子を描いていたから
これを使おうと思って。
すごくかわいいなと思ったんだ。
おや、砂漠のトカゲに助けを求めました!
ツーソンのトカゲが、
探しもののプロであることは有名です!
「よかった!」
「この岩の上にあったよ!」
トニー・クチャー
ぼくたちの会社のあるツーソンには
トカゲがいっぱいいるんです。
これを描いたときは、ぼくがツーソンに来て
4~5ヶ月目ぐらいだったんですけど、
どこを見てもトカゲだらけで、かわいくて。
それで、描こうと思いました。
でも、1匹のトカゲが、
小さい手帳くんの帽子を
とても気に入ってしまい、返してくれません。
「だめだよ~」
「オーノー!」
「いじわる!」
そこで、手帳くんはひらめきました!
「そうだ!」
ジェナ・ポスト
トカゲにはまだ登場していてもらいたかったから、
手帳と友達になるようにしたんです。
手帳くんは、サボテンの花を摘んで、
新しい帽子にしました。
ハイジ・マンデリン
黒い小さな手帳くんは、
勇気を持ってトカゲに立ち向かいました。
手帳くん「ガオー」
クライド・マンデリン
トカゲは、これまで抑えていた思い出が
頭にあふれてくるのを感じて、
動けなくなりました。
それはまるで、呪われた花瓶の深みから
泡が湧き上がるようでした。
〈トカゲちゃんは手帳くんに恋をしました〉
リード・ヤング
手帳くん「どうしたの?」
トカゲ「なんでもないわよ」
トカゲ「ほら、トカゲ!
そんなに難しいことじゃないでしょ!
前にも人を好きになったことがあるじゃない!
しっかりして!
でもまた傷つきたくない!」
ダン・モール
リードの描いたページを見ると、
トカゲが手帳を見て、恐ろしいことを
思い出しているんですね。
でも、ふたりを戦わせたくないなあと思って、
その、恐ろしい思い出というのは
「以前の恋」っていうことにしました。
手帳がトカゲに、恋のアドバイスを
してあげていることにしたんです。
トカゲ視点
手帳くん「な、なに!?」
スティーブン・カンポス
なんだか変な展開になってきたので、
トカゲの目線から見た手帳を描いてみました。
恋に落ちてる、っていう。
この時点では、手帳は
自分がそう見られているとは知らないから
「えっ、何? なんでそんな目で
私を見ているの?」と思っています(笑)。
インスピレーションの源は
「ベルサイユのばら」です。
そして「セーラームーン」を
見ながら描きました。
突然!太陽が地平線に沈みました。
その日は6月の最初の新月の日。
新月の暗い夜は、トカゲたちは何者かに
獲物として襲われる心配がありません。
そして…
トカゲたちの夏のお祭りが始まりました!
トカゲ「一緒に踊ってくれない?
手帳くん…!」
ジャック・マーフィー
そのままラブストーリーを続けて
キスシーンを描こうかとも思ったんですが、
ちょうど日付のとなりにあった
「新月マーク」を使ってみようと思って。
新月で真っ暗だから
外に出てきても襲われないということで、
トカゲのパーティーを開くことにしました。
手帳とトカゲのキスシーンは、次の人にパスして。
トカゲが「私とダンスしない?」って誘うんです。
手帳「いいよ!でもまずタコスが食べたいな!」
トカゲ「いいわよ!」
手帳「タコスください」
「はーい」
ケビン・チャイ
「あっごめん、君のタコス落としちゃったよ」
「なんで」
タコス屋さんはうっかり
タコスを落としてしまいました。
手帳くんは悲しくなって、
タコスの屋台をひっくり返しました。
「キャー」
マイケル・F.
僕は、とくにアイデアがなかったから、
そのままタコスの話を続けました。
「さあ、トカゲちゃん!ここを出よう。
カリフォルニアにタコ・ブラボーっていう
いいところを知ってるんだ。
そこなら、僕達のタコスを落としたりしないよ。」
ジェナ・ポスト
2016-10-14-FRI
Photo:Yoshimi Sugawara / Hiroyuki Oe