- ──
-
2代目総本部長は、500回‥‥いや
1000回に1回くらい、
真面目なコメントをおつけになりますね。
- 古矢
-
それは、アレですね。
おもしろいことを書けないときですね。
- 藪下
- 堂々と言わないでくださいよ。
- ──
-
でも、たくさん来ますものね‥‥投稿。
どくれい来ますか、月で言うと。
- 藪下
- 500以上は来ますね。
- ──
-
え、そんなにですか。
じゃあ、来たものに対する掲載数って、
かなり少ないってことですか。
- 古矢
-
ただ、こんなこと言ったらアレだけど、
どこがおもしろいんだってのも、
ま‥‥けっこう混じってくるからねえ。
- ──
- 玉石混交。そうでしょうね、それは。
- 古矢
-
でも、おもしろさがわかんないときは、
自分の感性が古ボケてんのかと、
ちょっと考えちゃうことがありますね。
だって、わざわざカメラ出して撮って、
プリントして、コメントつけて、
切手なめて貼って郵送してくるわけで。
- ──
-
そうまでするからには、
実は、おもしろいのかもしれない、と。
- 古矢
-
こっちがクスリともできない投稿に
「ギャー大爆笑!」とか
書かれてたらさ、ちょっと考えるよ。
俺だって藪下さんだっていい歳だし、
若者の文化とかも、わかってないし。
- ──
-
そこまで自信満々にこられたら、
総本部長の軸もブレそうであると(笑)。
- 古矢
-
だから年々、
うかつに捨てられなくなってきてる。
- ──
- ああ、ボツネタを。なるほど。
- 古矢
-
でも、だからといって、
「俺には、どこがおもしろいのか、
わからないんだけど」
っつって載せらんないからなあ。
- 藪下
- 本物のボケ老人ですよ、それじゃ。
- ──
-
ともあれ、2代目総本部長は、
そのようなお仕事を、
四半世紀も続けてらっしゃいますが‥‥。
- 古矢
- ええ、そうですね。わるかったな!
- ──
-
時代によって、投稿ネタの変遷だとか、
移ろいのようなものを感じますか?
- 古矢
-
そうですね、まじめなこと言うとね、
「その時代時代で、
いちばん元気のあるメディアが
間違いを犯す」ということは、
言えるんじゃないかと思ってますね。
- ──
-
おお、いかにも総本部長っぽい。
詳しく聞かせてください。
- 古矢
-
勢いのあるものが、勢い余って犯す。
それが『VOW』ネタ。
今ならインターネットだと思うけど、
雑誌がよかった時期は、雑誌がね。
- 藪下
- たしかに。
- 古矢
-
プロレスが盛り上がってたころは、
『週刊ゴング』とか間違いだらけだった。
それってつまりプロレスに勢いがあって、
人の出入りがたくさんあって、
雑誌にも勢いがあって、
だからこそ雑誌の内容もおもしろくて、
おまけに、
勢い余って犯す間違いもおもしろかった、
ということでね。
- ──
- なるほど。
- 古矢
-
いまも覚えてるのだと、
「手に串握る凄いカード」とかあってさ、
「汗」じゃなくて「串」かよと。
そんな豪快な間違い、ありえないでしょ。
- ──
- 斜陽産業には生まれなそうな誤植です。
- 古矢
-
ただ、
「手に串」が間違いとも断言できないけどね。
実際ブッチャーは「手にフォーク」なわけだし。
- ──
- どういう状況ですか(笑)。
- 古矢
-
オグリキャップとか武豊が大人気だった
90年代には、
競馬雑誌もナイスな誤植やらかしてたよ。
- ──
- たとえば?
- 古矢
-
競馬用語で
馬場の状態が悪いことを意味する
「道悪(みちわる)」
ってあるけど、
「道悪なんて、気にしない。」
となるはずの見出しが
「道徳なんか、気にしない。」
になってたやつとか。
- 藪下
-
公営とはいえ、ギャンブルですからね。
その見出しはマズいでしょう。
- ──
- 逆に深読みしたくなりますね(笑)。
- 古矢
-
元気のいいときほど、
勢い余って、派手に転ぶっていうね。
で、今は雑誌まわりも元気がないって
言われて久しいし、
昔より、いろいろ洗練されてるから、
豪快な間違いも生まれにくい気がする。
- ──
-
インターネットの場合は、
間違ってもサッと直せちゃいますしね。
- 古矢
-
そう、雑誌の間違いは絶対に直せない。
だからこそ、余計にありがたい。
それに、編集やライターだけじゃなく、
校正・校閲の人だとか、
たくさんの人のチェックの目を
クリアというか、スルーしたうえでの
「手に串握る」でしょ?
- ──
- まさに「ありがたみ」の一語です。
- 藪下
-
雑誌の担当者は、はやく時間が過ぎて、
次の号が発売されないかと、
本屋に並んでる間中、
もう胃をキリキリさせてるわけですが。
- 古矢
-
で、1週間過ぎて、1か月過ぎて、
やっとほとぼりが冷めたなと思ったら、
『VOW』に載る(笑)。
- ──
-
そして、そのまま、
国立国会図書館に収蔵される‥‥。
- 古矢
-
編集者には『VOW』に載った時点で、
救われてほしいよ。
成仏と言うか、そんな意味で(笑)。
- 藪下
-
載せられたほうからしたら、
大きなお世話だって話ですけどね。
- ──
-
そういえば、クレームみたいのは、
来たことあるんですか?
- 藪下
- ほとんどないけど‥‥。
- 古矢
-
『宝島』のすごいところは、
もう、ちょっとでもクレームが来たら、
すぐに謝って、
すぐに削除しちゃうところ(笑)。
- 藪下
-
僕は、自慢じゃないけど、
訴えられたことないです、1回も。
何かあったらすぐ飛んで行くから。
菓子折り持って。すぐに。
- ──
-
謝罪のフットワークが軽い(笑)。
でも、「おもしろいからゆるされる」
という面は絶対あると思います。
- 藪下
-
それは、そうかもしれないですね。
実際、クレームってほとんどなくて、
新聞でも雑誌でも、みんな、
なぜだか、ゆるしてくれるんですよ。
- 古矢
-
というか、怒る気も失せてくんだよ。
フニャフニャするんです、怒る気が。
くだらなすぎて、きっと。
2017-10-01 SUN