向井さん | こちらがハイジュエリーのフロアです。 |
伊藤 | うわっ、すごい。カッコいい! 私、でもなんだか、 顔が負けてしまいそうです。 |
向井さん | こちらは「バロック」ですね。 真ん丸が当たり前みたいに並んでいましたけど、 こういったいびつな形もいくつか採れるんです。 こういったものは昔は評価されていなかったのですが、 最近はあえてその形の面白さを楽しむというジュエリーも 増えております。 先ほどおっしゃっていた吉田沙保里選手の 国民栄誉賞もゴールデンパールですが、 こちらはあえて色がふぞろいなんですね。 マルチカラーと言いますけれども、 色とりどりでソフトな雰囲気を出しています。 |
伊藤 | こちらは? |
向井さん | これはコンクパールと言いまして、 天然真珠なんです。 サンゴに似てるんです。 ピンク貝という大きな巻貝がカリブ海に生息してまして、 その巻貝から採れる天然真珠です。 身は食用になるそうですよ。 |
伊藤 | ふと思いましたが、こちらでは お値段がちゃんと見れるようになってるんですね。 |
向井さん | そうですね。隠してらっしゃるお店もありますが、 お客さまにわかりやすいように。 向こうの壁面は、本店ならではの品々になっています。 |
伊藤 | すごい! |
ほぼ日 | 1億3650万円のものもありますよ‥‥! |
伊藤 | こういったものは、社内でデザインを? |
植野さん | はい、すべて社内のデザインです。20名ほどおります。 |
伊藤 | 毎年新しいデザインを入れるんですか。 |
向井さん | 年に数回、新作をご紹介しています。 |
植野さん | ハイジュエリーのほとんどは、 もう二度と作れない、一点ものです。 ほかにも明治、大正期のデザインを復刻したものですとか。 |
向井さん | これは大正期のデザインですね。 |
植野さん | 明治時代、「御木本真珠店」の頃から、 ジュエリーのカタログがあったんですね。 そこから復刻を行なったりしています。 この当時は、たいへん細かい細工で。 |
向井さん | シードパールといいまして、 核入れして養殖した真珠以外に、 ぽろぽろっと出て来た、 偶然採れた核のない真珠をセッティングしています。 ダイヤのパヴェのように。 |
植野さん | 脇から金属を盛り上げて留めてるんですね。 普通の真珠だと、穴をあけて、 芯を通して留めるんですけれど、 この小ささだとそれができないので、 穴をあけずにここから金属を盛り上げて。 こういったデザインは──、 もともと日本って着物だったので ジュエリー文化がなかったんですね。 |
伊藤 | 帯留めくらいでしょうか。 |
植野さん | そうです、帯留めぐらいしかなかったんですね。 それで、大正期から修行のため、 当時のデザイナーをロンドンですとかパリに派遣して、 デザインと製作技術を学ばせたりしていました。 それから、もともと日本にいた錺職(かざりしょく)。 刀の‥‥。 |
伊藤 | 鍔(つば)? |
植野さん | はい、鍔の細工の職人さんを派遣して。 ですからちょっと西洋のアンティークっぽいデザインも。 |
伊藤 | 真珠の帯留めも、カッコいいですね。 |
向井さん | 素敵ですよね。 |
伊藤 | 真珠は、肌に当ててみないとわからないですよね。 肌との相性がありますから。 |
植野さん | そうなんです。 そしてたとえばネックレスとかチョーカータイプのものは、 長さも大事なんです。 鎖骨の上に乗るようにするのがいちばん美しい。 |
伊藤 | 人によって首の太さとか顔の大きさも違いますものね。 きょう、じつは、ピアスをひとくみ、 買わせていただこうと思っているんです。 |
向井さん | ありがとうございます。 |
伊藤 | 大きめのものを‥‥。 |
向井さん | 7ミリぐらいでしょうか。 いちばん人気のサイズです。 あんまりピンクがかったお色じゃないほうがお好きですか。 これがちょっと白っぽい落ち着いた感じです。 |
伊藤 | こちらも可愛いですね。 |
向井さん | ほんの一回り大きい、7.25ミリになります。 |
伊藤 | ほんとだ。これがいいです! |
向井さん | 当ててご覧になりますか。 金具はホワイトゴールド、 18金を使っております。 保証書代わりのミキモトの刻印が このポストのところにも、 キャッチのところにも入っております。 |
伊藤 | これは‥‥こうやって。 |
向井さん | とてもいいですね。ぴったりです。 0.25ミリだけ大きくなりますけど。 |
伊藤 | いつも使っているものと、 まったく印象がかわりました。 これにします! わーいわーい。すごーい。 これだと毎日‥‥。 |
向井さん | 毎日、お風呂に入る時、 寝る時、メーキャップ、ヘアスタイルを整える時は 外していただければ。 パールの表面は、ひじょうにデリケートですので、 お化粧品がかかってしまうと、光沢に影響します。 ヘアスプレーもいけませんから、 メイクが終わって最後に着けていただけると よろしいと思います。 お手入れのシリコンクロスをお付けしますので 使った後、パールの表面を必ず拭いていただいて。 このクロスじゃなくても、 柔らかい乾いたクロスで拭いていただけると。 |
伊藤 | じゃ、シャワー浴びるなんて絶対駄目ですよね。 |
向井さん | そうですね。海外の方とかでも多いんですけどね。 ネックレス着けたままシャワーという方も。 そんなふうにお使いいただくと、 中の核が出てきてしまうことも。 お修理を承ることもありますが、 そうなってしまうと直せないので、 取り替えるしかないんです。 (つづきます!) |
2014-03-31-MON
取材協力:ミキモト 写真:有賀傑 |
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