真珠。
 その5



伊藤 初めてネックレスを買いに来て
迷われた方にはどうやってお勧めしてますか。
向井さん まずだいたいひと粒7ミリ前後が人気のサイズですよ、
とお伝えします。あとは、
ちょっと失礼な言い方ですが、ご予算なども。
伊藤 そうですよね。そうでした。全然違いますものね。
向井さん 色はお好みなんですが、わりと皆さん、
ほんのりピンクがかったお色をお好きな方が多いですね。
ここの照明ですとかなり色の違いが出やすいんですが、
お着けいただいたり、あとはお外の自然光でご覧になると、
ここまでの色の違いは出て来ないかとは思うんですが。
伊藤 私も、ぜひつけさせていただけますか。
向井さん もちろんです。このへんのサイズでいきましょうか。
もう少しピンクが強いもの。
7ミリから、センターが7.5ミリぐらいになります。
同じ大きさに見えるんですが、
まったく同じ大きさで揃えてしまうと、
目の錯覚で中央がちょっと小さく見えてしまうんですね。
伊藤 じゃ、ちょっとずつ違うんですか。
向井さん そうなんです。後ろと前とで
0.5ミリだけ差をつけてます。
どこのお店のネックレスも
じつはだいたいそうなってるんです。
伊藤 エッ、そうなんですか!
向井さん 同じように見えても、じつは真ん中がすこしだけ
ボリュームアップしてます。
植野さん ミキモトでは、ネックレスの真珠の美しいつながりを
「連相」と呼んでいます。
「連相」がうまくいっていないというのは、
たとえば色が違っている、
大きさがちぐはぐということです。
真珠を選別する専門の者がていねいに、
いちばん美しい連なりに見えるようにしています。
── そのプロの人はどこにいらっしゃるんですか。
植野さん 鳥羽におりますよ。
向井さん こちらが基本の長さです。
チョーカータイプと呼んでいます。
留め金を入れて400ミリぐらいです。
鎖骨に少しかかるぐらいの長さ。
今日の、お襟が少し浮いてらっしゃるお洋服ですと、
ちょうどよろしいと思います。
植野さん 可愛いですね。
向井さん 全身をごらんください。
伊藤 普通にできそうですね、ほんとに!
向井さん そうなんです。冠婚葬祭じゃなく、ぜひふだんの装いに。
伊藤 そうですね。だんだん着けられるような年齢になりました。
向井さん とてもいい大きさです。
伊藤 ちゃんとバランスを客観的に見れるお客様は‥‥。
向井さん なかなか客観的な方は多くはないかもしれないです。
伊藤 いっぱいあるから迷っちゃいますものね。
── 見るのと似合うのは
ちょっと別だったりするじゃないですか。
伊藤 そうそうそう、たしかに。
向井さん どこかで迷われたら、ご用途をおたずねします。
「いや、そうは言ってもふだんは使わないわ、
 私はもうフォーマルな時しか」ということでしたら、
少しサイズを大きくしておかれても。
せっかくだからふだんも
頻繁に使いたいということで、
同じような価格帯でお迷いでしたら、
少し小ぶりのほうで
クオリティーをアップされたらいかがでしょうと
お勧めしたりとか。
伊藤 そうですよね。
嬉しい。真珠ってきれいです。
植野さん チョーカータイプのネックレスを選ばれるときは、
こういった襟の開いているお洋服でいらしていただければ
当ててご覧になりやすいと思います。
向井さん そうですね、またそうすると、
秋冬、たとえばタートルネックのニットとか、
極端に分厚いニットでなければ、
セーターの上からでもお使いいただけると思います。
伊藤 それも可愛いですね。
丸首のニットとかも可愛いでしょうね。
向井さん もし、たとえばフォーマルな場面に
行かれる首のつまったお洋服ですと、
中心がえりの下に潜ってしまって、
ちょっと‥‥というときは、
お品物をお持ちいただければ、少し珠(たま)をはずして、
その時だけ短くお作りすることもできます。
ミキモトのネックレスでしたら、
糸替えは何度でも無料で承っていますし。
またパーティーが終わって、
秋冬のタートルに使うんだという時は、
そのはずした珠をもう一度お持ちいただければ、
足して、もとの長さにすることができます。
お預かり、約1〜2週間ぐらいしますけども、
そういった長さ調整は無料でしていますので。
伊藤 じゃ、けっこう思い切ってぴちっとしたいんです、
みたいな時でも。
向井さん はい、今度はパーティーに向けてチョーカーにとか。
そういった意味で、ロングだと襟ぐり関係なく、何でも。
伊藤 たしかに三重にしても!
向井さん 結んだりとか、襟が立っているようなシャツの上でも
着けることができますね。
伊藤 ありがとうございます。すごい。
なんかもじもじしちゃって。
植野さん 最初から着けてらした感じですよ。
向井さん さすがです。
── すばらしいですね。
たぶんこれでレストランに行ったり、
空港やホテルのチェックインカウンターなどで、
上等な対応を受けられるような気がしますよ。
「この人にちゃんとしなきゃ」って思いますもの。
伊藤 そうかな?!
向井さん ピアスと一緒に着けるときは、
ネックレスよりもピアスを気持ち大きくされておくと
バランスがいいですよ。
ネックレスは連なって迫力出ますけど、
ピアスはひと粒ですから、
同じだとちょっと小さく見えてしまいます。
伊藤 ふむふむ、ピアスとかイヤリングの時は大粒にすると。
3連にしてみてもいいですか。
向井さん 3連にしてみましょう。
無造作な重なり方も、すごく素敵な着け方です。
お鏡ご覧になりながら、ご自身でするするっとどうぞ。
伊藤 3連にした時のこの長さがすごくいい!
向井さん ですよね。
伊藤 欲しくなってきちゃった、きゃーっ。
向井さん もう少しお行儀よくすることもできますので。
── そうとういいですよね。
旅行に持ってくと、かなりバリエーション、使えますね。
伊藤 たしかに。昼間はカジュアルに1連で、夜は重ねて。
植野さん 夜のパーティーシーンとか、すごくお顔が華やかに。
伊藤 ほんとうに変わるんですね。
へぇ、はぁーっ。
── 伊藤さんがなんだかポーッとしてしまいました。

(研究所編につづきます!)

2014-04-02-WED 

まえへ
このコンテンツのトップへ
まえへ



ツイートする
感想をおくる
「ほぼ日」ホームへ
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN
 取材協力:ミキモト 写真:有賀傑