つくっている野菜、300品種以上!鈴木農場の鈴木光一さんに聞く 野菜のおはなし。

美術、音楽、言葉の世界で
後世に名を残すだろう3人の大人たちが
神戸の横尾忠則現代美術館に集まり
トークイベントを開きました。
それぞれに長いつきあいのこの面々が
公開で話をすることはたぶんはじめてで、
もうないかもしれない。
いつだって、同じことを、同じようには
やってこなかった人たちだからです。
その話の内容をここにまとめてお伝えします。

横尾忠則
1936年生まれ。美術家。
もっとくわしく→

細野晴臣
1947年生まれ。音楽家。
もっとくわしく→

糸井重里
1948年生まれ。ほぼ日刊イトイ新聞主宰。

もくじ
第1回
よく知らない人と、インドへ。
糸井
えーっと、さっきまで3人で
控室にいたんですが、
このトークイベントのどこに
横尾忠則さんがいるべきかを
さんざん話し合っていました。
細野
そうそう。
糸井
横尾さんがこのトークに参加しないのであれば、
ソデか後ろのほうで聞くのがいいよね、
ということになったんだけど、
ご本人が
「遠くにいたら聞こえないんだ」
と言いはるので。
会場
(笑)
糸井
近くに来てもらうことにしましょう。
細野
そうしましょうよ。
糸井
ではさっそく、横尾さんを呼びます。
横尾忠則さん、どうぞ。
会場
(拍手。横尾さん登場)
糸井
横尾さん、マイクは持ちますか?
ぼくの声は聞こえてますか?
横尾
かろうじてね。
では自己紹介します。
細野
積極的ですね。
横尾
横尾です。
よろしくお願いします。
会場
(拍手)
細野
横尾さんはいま、耳が少し
聞こえにくくなっておられるんですよね?
横尾
ええ、去年の9月6日に、
突発性難聴になっちゃったんです。
それから聞こえづらくなって。
今日も、おふたりの話が
どの程度聞こえるかわかりませんけれども、
とりあえず、このまま進行しましょうか。
細野
あのね、さっき控室で、
横尾さん、
こうやったら聞こえるって
おっしゃってました。
▲控室での横尾さん。
糸井
すごくいいんですよ。
みなさんも、聞こえにくい場合はこうしてください。
横尾
こうすると、よく聞こえるんです。
聞こえないときはこうやって聞いてます。
糸井
この感じで、トークをはじめます。
よろしくお願いします。
‥‥でね、さっそくですが、
ぼくは細野さんに前から
聞きたいことがあったんですよ。
細野
ほほぅ。
糸井
横尾さんが、もともと
YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)の
一員だったという話、ありますよね?
細野
あぁ、はい、はい。
糸井
そのことを、ぼくはちゃんと聞いたことがないんです。
細野
それは、まぁ、
事実ですよ。
糸井
うん、そうなんですよねぇ。
細野
でも横尾さんは、YMOのメンバーに
なったわけじゃないんです。
横尾さんは、なりそこねた。
結果的に、それがよかったんでしょうけどね。
糸井
時系列でお話願えますでしょうか(笑)。
細野
ええ、わかりました。
まず、YMOというものがまだ、
名前しかなかったときに、
高橋幸宏がやってきました。
糸井
YMOは、まず、
メンバーがなくて
名前があったんですね?
細野
そうです。
イエロー・マジック・オーケストラという名前だけを
まずは考えていました。
まだテクノなんて言葉がなかった時代のこと、
コンピューターで音楽ができそうだと思ったぼくは、
「これはちゃんとやらなきゃいけない」
と思っていて、
人を通じてメンバーが集まってきました。
まず高橋幸宏が来て、
それから坂本(龍一)くんが来た。
彼は、わりとこう、最初は反抗的だったんですよ。
バンドなんて経験、なかったから。
糸井
ああ、坂本さんは。
細野
ユキヒロはそれまで
サディスティックスというのやってて、
バンドの経験があったんですよ。
それで、3人でどうにかやりはじめたとき、
ぼくは横尾さんの『インドへ』という本を
読んでいたんですね。
糸井
うん、うん。
細野
そして、そんなことはそれまで
やったこともなかったんですけど、
なんだかやみくもに、ある日、
横尾さんのところを訪ねたんです。
糸井
横尾さんと、面識はあったんですか?
細野
ないです。
押しかけですよ。
糸井
へぇ、すごいな。
細野
お会いしにお宅に行ったら、横尾さんが突然、
「もうすぐインドに行くけど、いっしょに来ないか」
とおっしゃった。
糸井
知り合ってすぐに?
細野
ええ。知り合ったもなにもない、すぐです。
横尾さんは、そのとき
ぼくのことをまったく知らなかったと思うんですよ。
糸井
ほんとうに(笑)?
細野
横尾さん、聞こえた?
横尾
うん、聞こえてる。
細野さんのことは、知ってたよ。
糸井
細野さんの音楽を聴いてたんですか?
横尾
音楽は、聴いてなかった。
糸井
音楽は聴いてなかったけど、
細野さんのことは知ってたんですか。
細野
へぇえ、横尾さん、知ってたんだ‥‥。
横尾
うん。
細野さんの「はらいそ」の、
アルバムのジャケットデザインね、
「ちょっとぼくのデザインに似てるなぁ」
なんて、思ってたわけ。
糸井
‥‥(笑)そんで、
知り合うもなにもない状態で、
いっしょにインドに行っちゃったんですか。
細野
横尾さんの本の、『インドへ』には
下痢になった話が書いてありました。
糸井
はい、はい。
インドに行ったら下痢をする話。
細野
そうしたら、ほんとうにインドで
ふたりで下痢になった。
まぁそれで、1ヶ月弱インドにいて、帰ってきて。
糸井
1ヶ月間、いっしょにいたんですね。
細野
2人だけじゃないですよ。
5、6人ほどいました。
糸井
横尾さんのほうが年上だから、
リーダーシップとか発揮されましたか?
細野
ないです。
糸井
じゃ、誰がその旅を仕切ったんですか?
細野
仕切る人がいなかったんですよ。
野放しです。
2人で、下痢の病気になったまんま
インドにいました。
(つづきます)
神戸の横尾忠則現代美術館へどうぞ。
横尾忠則現代美術館は、
横尾忠則さんの作品を中心に、
横尾さんに関わるさまざまなテーマの作品展示、
保管、研究を行う美術館です。
ここに掲載した公開鼎談は
横尾忠則現代美術館の展覧会
「ヨコオ・マニアリスム vol.1」の
関連プログラムとして開催されました。
「ヨコオ・マニアリスム vol.1」は
2016年11月27日をもって終了します。
次の展覧会は12月17日からはじまる
「ようこそ!横尾温泉郷」です。
くわしくは横尾忠則現代美術館のサイト
ごらんください。
「細野晴臣 A Night in Chinatown」
12月21日にBlu-ray/DVD発売。
2016年5月に横浜中華街にある
同發新館で開催したライブイベント
「細野晴臣 A Night in Chinatown」が
12月21日にBlu-rayDVDになって
発売されます。
バンドメンバーは高田漣さん、伊賀航さん、
伊藤大地さん、コシミハルさん、
林立夫さん、斎藤圭土さん。
スペシャルゲストとして星野源さんも4曲参加。
特典映像として2016年7月に行われた
デイジーワールドの集い特別編
女性限定「細野晴臣 七夕ライブ」から
レア映像4曲も特別収録。
トータル25曲のボリュームです。
横尾さんの大人気の近著
『死なないつもり』を冬休みに。
横尾忠則さんの近著『死なないつもり』には
今回の鼎談でも登場する
「未完で死ぬ」「飽きっぽい」など、
横尾さんのいまの考えとキーワードが
びっしりつまっています。
版を重ねている人気の書なので
すでにお読みの方も
たくさんいらっしゃると思いますが、
この連載をごらんになって
横尾さんの考えを掘り下げたくなった方、
ぜひこの冬休みにどうぞ!
『死なないつもり』横尾忠則著
(ポプラ新書 864円)
東京ステーションギャラリーの
『追悼特別展 高倉健』へ。
2016年11月19日(土)から2017年1月15日まで
東京ステーションギャラリーで
『追悼特別展 高倉健』が開催されます。
この展覧会のなかで、メイン会場の映像
(マリチスクリーンの予告篇6本)と
滝のポストカード7~8000点を並べた
インスタレーションを
横尾さんが発表しています。
入館券は完全予約制なので、
くわしくは
東京ステーションギャラリーのページ
ごらんください。
2016-11-25-FRI