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河邊 |
ショーは、
もうごらんになりました? |
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糸井 |
観ました、昨夜。
昨日のあの舞台の
どこかにいらっしゃったんですよね?
知ってて観たほうがよかったかな。 |
北尾 |
いや、どうでしょう(笑)。 |
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糸井 |
おふたりとも、シンクロの選手として
オリンピックで活躍したあとに、
再就職先としてシルク・ドゥ・ソレイユに
入ったわけですよね。 |
河邊 |
私の場合は、オーディションに受かってから
半年後に連絡がありました。
それで、シルク・ドゥ・ソレイユの
国際本部があるモントリオールで
4か月間トレーニングして、
その後日本に帰って10か月間、
役が来るのを待っていました。
空きがなかったので。 |
糸井 |
オーディションを受けてから
ショーに出るまで
1年半以上かかったことになりますね。 |
河邊 |
あれは「半受かり」みたいな状態だったかな?
北尾さんは、また違いますよね。 |
北尾 |
私は、オーディションに受かっても
すぐにオファーは来ないだろうと思ったんです。
ですから、サンフランシスコで
3か月ぐらいシンクロの選手をやりました。
試合が終わって、日本に帰ろうとしたときに
ちょうど連絡があったので、
日本で1か月間準備して
モントリオールへ行ってトレーニング。
トレーニングは3か月の予定だったんですが
2か月経った時点で
「オー(O)」に来てほしいと言われたんです。 |
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糸井 |
シルク・ドゥ・ソレイユの
舞台に立つには、
技術はもちろん必要でしょうが、
そういうことだけじゃないと思うんです。
何かしらあるわけでしょう、
選ばれた理由が。 |
北尾 |
オーディションのときはもちろん、
採用する側はいろいろ見ていると思いますが、
事前にも、
かなり調べてるんじゃないでしょうか。 |
糸井 |
おもに何を見てるんでしょう? |
河邊 |
もちろん技術は絶対に最重要項目です。
その次にはその人が持ってる
芸術性や個性。
そして、私が思うに、おそらく
性格も見てると思います。 |
北尾 |
うん。たぶん、そっちのほうを
重視してるんじゃないかな? |
糸井 |
実は、おふたりを拝見していて、
そんな気がするんです。 |
河邊 |
性格は、モントリオールの
トレーニングキャンプ中に
かなり見ていると思います。 |
糸井 |
つまり、シルク・ドゥ・ソレイユの
チームの中では
「性格」がとても重要だということですね。 |
北尾 |
やっぱりそこが
選手のときとぜんぜん違うところです。 |
河邊 |
選手は、もちろん実力重視です。
たとえちょっとチームを乱す人がいても、
試合までの1年間は一緒にやります。
でも、試合が終わったらもう解散。
でも私たちは、ね? |
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北尾 |
うん。 |
河邊 |
長い間、ずーっといっしょにいるわけです。
真の意味で、チームワークとか、人間関係が
重要になってきます。
ですからその部分を
採用する側、人をアレンジする側は
かなり見ているんじゃないでしょうか。 |
糸井 |
毎日のように公演が2回あって、
同じ人たちとそれを
半年やり続けることだって
難しいですもんね。 |
北尾 |
みんな、国も言葉も文化も
ぜんぜん違いますし‥‥。
でも、なかいいですよ。 |
河邊 |
なかいいですね。
もちろん、いろんなことがありますが、
チームのなかで解決しますし。 |
糸井 |
ああ、つまり
「なかよくする能力」というものが
あるんですね。 |
河邊 |
ええ、そうかもしれないですね。 |
糸井 |
ただ自然になかよくできちゃうんじゃなくて、
なかよくするための努力とか、
なかよくするための工夫とか、経験とか。 |
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北尾 |
それは、あると思います。
(続きます) |