おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson1050
読者の声

苦悩する人の胸中に問いがある。

「なぜ私がこんな目に」
「よりによってうちの人がなぜ」
「いったいこれからどう生きれば」

私たちは、苦悩する人を
癒そうとするよりも前に、
理解するよりも前に、
そこに苦しみの問いがあると気づけるだろうか。

という先週の「そこに哀しみの問いがある」に、
読者が尊い体験談を寄せてくれました。

それを含め3通、今日は「読者の声」をお届けします。

……………………………………………………

<あの日、大切な人はなぜ>

私には自ら命を絶った大切な人がいます。

大学時代に知り合い、
学部も趣味も全く異なり
共通点がほとんどないながらも、
なんとなく向いている方向が同じ気がして、
気付けばお互いの下宿に寝泊まりするほど
仲良くなっていました。

その報せが届いたのは、就職して一年経った頃。

お墓に刻まれた日付を見て涙が止まりませんでした。
私たちが最後に連絡を取った翌日、でした。

その日は、
彼女からの“最近どう?”
という他愛もない問いかけに、
私が当時抱えていた深刻な悩みを打ち明け、
相談に乗ってもらったのでした。
彼女からの最後の文章は、
“またいつでも相談してね。
大学の時に散々助けてもらったからさ。”

「どうして?」

いつでも相談してと言ったのに、
という気持ちと同時に、
あれが彼女からのSOSだったのなら、
どうして気付けなかったのだろう、
と自分を責めに責めました。

「あの日彼女がなぜその道を選んだのか」

という問いは消えないし解決しない。
どんなに正当化しても、
どんなに仕方なかったと思ったとしても、
自責の念が消えることはないと思います。

ただ、その思いは消えなくても良いし
解決しなくても良い、今はまだ、

「その問いが存在する」

ということだけを受け入れれば良いのではないか
という気持ちになりました。

(S.N)

……………………………………………………

ズーニーです。

文章表現教育の仕事を通して、
たくさんの人の心の叫びのような文章表現を
拝読してまいりました。

その中には、
大切な人が自ら命を絶ってしまった、
という方もおられます。

死の少し前から相談を受けていたという人、
死の前日電話で話したという人、
連絡をくれていたのに応答できなかったという人、
それぞれ切実な状況のなかで、

「なぜ自ら命を‥‥」

という問いを、自責や後悔とともに
抱き続けてきた人々も多くいます。

ですから、最初、故人に伝えたいことは、
謝罪、ごめんなさい、が多いです。

ですが、心の底にある本当に書きたい想いを
丁寧にすくい上げていくうちに、

主題が変わる。

本当に書きたいことは、
死という人生最後の1ページではない、
故人がそこまで生きてきた999ページのほうだと。

その人がしてくれたこと、
その人のかけがえのない素晴らしさ、
その人と自分が関われた歓び、
そこにこそ主題があると。

最初は、ごめんなさいを書こうとしていた人が、
考え抜いた果てに、「ありがとう」に変わったり、
「継承、その人から受け継いでいくもの」に
主題が変わったりしていきます。

……………………………………………………

<線>

1年半くらい前、仲間と思っていた男性から、
人としてとても酷いことをされました。

「あの出来事さえなければ、私は、
もっと自由な、違う道を選べていたかもしれない」

「どうして、酷いことをされた人が私なのだろう」

その出来事をきっかけに、
今まで一緒に歩いてきた人達との間に
1本の線が引かれてしまった感じがします。
その線は、私にだけ見え、
ほかの人たちには見えません。

ても、私はやはり、人と関わるのが好きです。
人薬、時間薬を信じて、日々、
何とか生きていきたいと思います。

(S)

……………………………………………………

ズーニーです。

「この辛いことさえなかったら‥‥」
私もその問いを何年も抱え続けたことがあります。

「この辛いことさえなかったら‥‥
私は仕事で、もっともっと先へ進めていたはず」と。
いかん、いかん、と打ち消しても、
湧きあがってきます。

だんだんと抑えきれなくなりピークに達したころ、
いつものように眠れなくて、
「この辛いことさえなかったら‥‥」
悶々としていた果てに、くるっと戸板返しに、

「この辛いことを経験した私だからこそ‥‥」

できることがある。
わかることがある。
届くメッセージがある。

にひっくり返りました。
ほどなくして一本の文章表現を書きあげました。

ほんとうに何年もかかりました。
それまで希望が見えかけては、
ずどーんと突き落とされる月日でしたが、
その文章表現を境に、出口に手が届いた。

今日は、このおたよりを紹介しておわります。

“あの人は何を考えているのかわからない”
という空白がある時、人はその空白に耐えきれず、
憶測をしてしまう、それが誤解の種になる。
誤解を防ぐには空白をつくらないことだ、という

「空白をつくらない-誤解に、学ぶ。2」
いただいたおたよりです。

相手に不安を与えまいとする読者が清々しい。

最初に勇気を出すことで、
自分をとりまく世界はずいぶん変わる
と気づかされます!

……………………………………………………

<私のリベンジ>

今から15年以上前、海外旅行をしました。

英語が苦手なのにも関わらず、
料金の安さと興味から
ユースホステルの相部屋にしたのです。

相部屋では極力会話を避けていました。
恐れと、相手に迷惑をかけたくないから。

でも私が話さないことは、相手側に、
「何を考えているか分からない」という
気持ち悪さを与えてしまったのです。
その旅行は後味の悪いものになってしまいました。

それから数年後、

別な国へ旅行することになり
ユースホステルの相部屋にしました。
リベンジしたくなったのです、
同部屋の人たちを不安にさせるようなことは
したくないと。

私がしたことは自ら進んでの自己紹介です。

名前、出身国、そして
「英語がほとんど話せないけど、
ここでの旅をすごく楽しんでる」
とだけ伝えたんです。

そうしたら、紐がふと緩むような感覚を
相手に感じました。

皆笑顔で自己紹介を返してくれ、
英語が苦手なことを伝えたことで
易しい内容にしてくれました。

おかげで気持ちよく過ごせたのです。

自分のことを正直に少し伝えただけで
こんなにも相手の不安を和らげるなんて
そして自身にとってもラクになるなんて。
安心を与えると返ってくるんですね。

(ポル)

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「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.com までメールでお送りくださいね。
★仕事のご依頼はここに送らないでください。
山田ズーニーtwitter( @zoonieyamada )へお願いします。
または山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をおたずねください。


お申込みはこちらから
https://www.kinjo-gakuin.net/event/open/

お問い合せ 金城学院大学 入試広報部
TEL:0120-33-1791 Mail:nyushi@kinjo-u.ac.jp


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●お問い合わせは
株式会社ウチダシステムズ フェア事務局
TEL:03-3537-0888
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TEL:0120-33-1791  Mail:nyushi@kinjo-u.ac.jp


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メールアドレス:kitanippon.kinet@gmail.com 
電話:076-445-3337(平日9:00〜17:00)「とやま就活」まで


【満員御礼!】この講座は満席になりました。
キャンセル待ちも締め切りました。
たくさんのお申込みありがとうございました。

宣伝会議 表現力養成コース

編集・ライター養成講座20周年記念講座

山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く

山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
大学・高校生から
ビジネスマン・プロのライターから作家まで
幅広い層に、数えきれないほど表現講座を開いてきました。
その原型が生まれたのが、
宣伝会議の編集・ライター養成講座でした。
現在も講師をつとめており、毎回、
受講者に次のような声をいただき手ごたえを感じています。

 

・自分の想いの根幹を探るという経験を
こんなにじっくりと時間をかけてやったことはなかった、
得難い経験でした。

・終了したとき、この講義の意図が
身体にしみわたるように理解できた。
コミュニケ―ションが苦手だったが、
非常に楽しく有意義に受講できた。

・自己開示が苦手だったが、一気に開くことができた。

・現実の出来事を多角的に見て、表現のヒントを探すことは
全ての実務に活かせると思います。

・自分の可能性を信じようと思えた。
自分はつまらない人間ではない。

今回20周年を記念して、ご担当者の、
「この先を行く特別な講座をひらきたい。
表現力をつけたい気持ちはあるものの、
そもそも自分に伝えたいことはあるのか、
と悩む人も多く、その人たちに、
自分を貫くテーマを発見したり、
相手の心に響くように伝えるコミュニケーション力を
つけたりできる場を提供したい。」
という志に共感しました。
2時間×12コマで、
文章表現の本格的な基礎づくりから始まって、
相手に伝わる表現、社会に説得力を持って書く、
さらに、自分にしか書けない主題を発見して書く!
までを責任を持ってサポートします。
ひとりでは気づけない自分の潜在力も、
多彩な仲間とともに引き出しあえるから開花します!
表現を通して他の受講者と心底通じ合える
「感動」の授業です。
心を揺さぶる文章を書きに、ぜひ、来てください。

あなたには書く力がある。

●詳細・お申し込み・お問い合わせは、すべて
こちらのページから
(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。


表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
河出文庫

会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
無職のおばさんと見ることだった。

それまで仕事をがんばって経験を積んできた
他ならぬ私をわかってほしい。

この発想・考え・想い・感性が、
かけがえなく必要とされたい。

理解という名の愛がほしい。

「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。

 

●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=699

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

 

ワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

――3回で一生ものの書く力・話す力が育つ

書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
意志が芽生える。

さらに、

言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。

あなたには表現力がある。

山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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